超簡単な料理なのだよサバ粕汁

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このところ寒い日が続いているね、というと、
「去年からずーっとでしょ」と市場の若い衆が言う。
そうだ師走の声を聞いた途端に寒くなったのだ。
時間に区切りをつけたのは、単に生物の一種でしかない人類で、
去年と今年は一週間くらいしか違わないけど、
そのいち生物・人間の作った区切りのせいで
なんだか一週間前が遠いのである。
さて、年末年始、2日以外は完璧に仕事人間に徹した。
と、書いて、なんとなくこそばゆい思いがする。
ボクの仕事はいくつかあるが、
そのひとつの担当者の女性を見ていると、気の毒になる。
明らかに働き過ぎであって、大丈夫だろうか?
声をかけたくなるが、実はボクはその仕事では単に末端の
ひとつの、例えば有機物で言えば元素のようなものなので、発言権はない。
彼女にはできることならば「頑張りすぎないでね」と声をかけたいね。

ただボクにそんなことを言っているほど余裕があるのか?
というとわからないのだ。
「仕事とはなんだろう」
例えば食材を調べることはボクにとっては息抜きだった。
「なんとなくやっていると楽しいもの」。
実際やっていて楽しい。
うきうきするから、目覚めるとすぐにデータベースの整理をし、
撮影をし、料理を作り、撮影をする。
別の仕事から帰っても、この続きである。
毎日楽しいのだけど矢鱈疲れるのだ。
食材(水産物だけじゃない)に関するメモ書きというか、
文章は毎日膨大に増えていく。
画像はそれにも増して膨張して洪水状態だ。
これが仕事だったら、過労死してしまうのだろうけど、
息抜きなのだから、使命感がなく、緊張しているわけでもないし、
苦痛でもないので、限界らしいものが感じられない。
まことに仕事と、遊びの境目が見えなくなって、
身体がギコギコしていて、何時壊れても可笑しくないのだけど
やめられない、止まらない。

そのせいだろうか?
なんだかこのところ肌寒く、肌寒いは11月の言葉だとしたら、
むしろ「冷たい」と言い換えるべきなのだけど、耐えられなくなって、
生まれて初めてマフラーを買ってしまった。
ボクはちくちくするので毛糸がダメなのだけど、
マフラーのほとんどが毛糸で、
チクチクしないものを選んだら、すごい値段だった。
でも、寒くて寒くて耐えられないし、
比較的これくらいの贅沢は許されるくらいに頑張っているつもりなので
デパートの店員さんに「これくださいな」とお願いしてしまった。

さてマフラーよりも寒さにきくのではないか? と思うのが粕汁である。
粕汁の材料はサバとかサケがいい。
また完全な生で作るよりも塩蔵品とか干ものの方がいい。
この加工品は冷凍保存がしやすいので、冷たすぎる寒の夜に便利である。

それが証拠に深夜になり、冷凍庫をがさごそやっていたら塩さばがあった。
意外に知られていないのが、「塩さば」と「サバの干もの」の違いだ。
基本的に塩味を塩水に漬けて加えるところまでは同じ。
後は干すか、そのままか、の違いだけだろう。
最近の傾向で干ものの干し加減が低いので、
ますます両者には違いがなくなった。
でも粕汁を作るなら塩漬け、すなわち塩蔵品がいい。

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今回はタイセイヨウサバ(ノルウェーサバ)の塩さばなのだけど
3切れ入りが近所で428円だった。
これで粕汁が4人前。
椀で4杯作れる。
まずは適当に切り、鍋に水を張り、ガスをつける。

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コトコトいってきたらアクをすくい、
根菜類の大根ニンジンなどを加える。
大根などが柔らかくなったら酒粕加えるのだけど、
煮汁をすり鉢などに取り、酒粕をうるかしてすりこぎでする。
温かい液体に触れると、酒粕はすぐにクリーミーになる。
これを煮汁に溶かし込む。

ここでしばし煮る。
酒粕のアルコール分を飛ばすためだが、
これによって甘みが出るような気もする。
そこにみそを適宜溶かすのだが、
サバの塩加減で量を加減する。
味が調ったら、青味に小松菜などを加える。

酒粕はとにかく熱いうちに食うべし、なのだけど
汁でありながら酒の肴としてもよい。
ふーふー吹きながら、口に含んで、
そこに日本酒を流し込みながら、
またふーふーとすする。
関西では酒のアテに汁は〝あり〟、なのだけど
関東では〝なし〟、なのはいかなるわけだろう?
酒の肴に汁ものが一品あるだけで、
心も体も和むのだけど、ね。
未だに料理店に関しては西高東低だな、と粕汁をすするたび思う。

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このページは、管理人が2012年1月 8日 22:58に書いたブログ記事です。

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