6時半過ぎ、米倉鮮魚店の米倉宏太郎さんに
佐世保朝市まで送っていただく。
佐世保魚市場から15分ほどで
『佐世保朝市』の看板が見えた。
asaa001.jpg
asaa002.jpg
九州北部にある佐世保はまだ夜明け前。
非常に寒い。
暗闇からのぞく朝市は屋根だけでがらんと広く、
床面の6割がたしか出店者がいないように思える。
いつもながらに市場歩きの前は
うきうきふわふわして落ち着かない。
あたりはまだ暗く、市場の中の明るさとの対比が大きく、
入り口近くにあった水仙の花の前で
一息ついて浮き立つ心を静める。
台に板を渡しかけたくらいの簡単な店舗ばかりで、
なかにはちくわを入れた段ボール、かごだけという人もいる。
野菜、相物、練り製品、魚などが売られている。
寒さのせいだろうか、野菜の種類は少なく、
お客もまばらで閑散としている。
asaa005.jpg
花やさんを見ていると「沖縄菊」という文字を見つける。
たぶん厳冬期、沖縄から菊の切り花が送られてくるのだろう。
asaa006.jpg
練り製品が豊富なのも長崎県の特徴である。
今回気になったのが高島竹輪。
高島という島には竹輪やさんがたくさんあり、
どれも味がいいのだという。
1本だけ買い、食べて見るととてもうまい。
なんといっても表面のやや強い焼き具合が、
いい風味を作っている。
asaa004.jpg
魚店はそれぞれ大きく地魚中心で魅力的だ。
野田鮮魚店、松本鮮魚と魚屋が二軒並び、品揃えが豊富だ。
イカが並んでいて、スルメイカ、アオリイカ、
ケンサキイカ、メガイアワビ、アサリがある。
マガキは地元九十九島産で小振り。
これがまことにうまそう。
九州ならではのもので「びら」というものがある。
タイラギの貝柱以外の部分で
ヒモ(外套膜)が「びらびら」しているのでこの名があるのだろう。
これが実はまことにうまいもので、
関東で売っていないのが残念でならない。
asaa003.jpg
ウチワエビ、キシエビ、サルエビ、アカエビ、イセエビ。
ヒラマサ、マダイ、シマアジ、イサキ、サヨリ、スマ、
ホウライヒメジ、サワラ、スズキ、アカムツ、クロダイ、
アオハタ、キジハタ、メイタガレイ、マイワシ、キビナゴ、
マサバ、マアジ、キダイ(レンコ)、カサゴにメバル。
活魚槽のなかもにぎやかそうである。
場内には他にも鮮魚を売っている店がある。
佐世保に観光に来たらホテルの朝食の前にここを散歩して、
素晴らしい魚をお土産に自宅に送ってはいかがだろう。
わざとらしい観光客目当てのものよりも
数倍魅力にあふれていると思う。
agogogo.jpg
さすがに長崎にはアゴ(ホソトビウオ)の干ものが多い。
乾物などを売るお母さんのところで
「あごのみりん干し」、「あご丸干し」を買い、
和菓子などを売る店で白い餅状の生地に
あんこを巻き込んだ「けいらん」
仏壇などに飾るという鯛をかたどった
「こうさこ」というものを買う。
asaitiokasi.jpg
kousako.jpg
「こうさこ」の意味、漢字は売っている人も知らなかった。
地納豆があったので買い求める。
朝市内の食堂でうどんとおでん。
うどんを食べていると市場で店を出している人だろう、
「今日のおかずは?」なんていいながら顔を出す。
8時前、疲れが足に来て朝市を後にする。
この朝市、厳冬の季節なので、
この寂しさなのかもしれない。
また来なくてはならない。
mu001.jpg
さて、朝市の食堂で昔の写真が貼っていた。
昭和30年代ではないかというその白黒写真が魅力的だ。
路上にそのまま置かれた野菜。
たくさんのトラック。
木造家屋の上にある空が広い。
朝日がまぶしく、差し込んでいて早朝なのがわかる。
こんな写真を見ると、最近の街作りは
空間を作りすぎていると思う。
実は人類には密集が心地よいのだ。
密集する場がないと心が空虚で攻撃的になる。
この密集した市場の健全な空気感と
無味乾燥な大阪駅・京都駅周辺とを比べてみて欲しい。
時代はすでに縮小、密集に変わりつつあり、
堺屋太一などのいうコンパクトな街作りを行うべきなのだ。
まったく最近の街作りをするヤカラ、
建築家の頭にはコンクリートが詰まっているに違いない。
その作り出す物には腐敗臭がして困る。
午前8時、ホテルに帰り、少々休息。
メモの整理。
10時前に戸尾商店街に向かう。
魚屋でクジラとマントの湯引きと
すぼかまぼこを買い、送ってもらう。
高島竹輪とともに平戸でつくっている
「すぼ蒲鉾」は非常に興味深い。
suboooo.jpg
「すぼ」とは「わらすぼ」のことで
「わらすぼ」とは「わらしべ(藁蘂)」のこと。
すなわち魚のすり身を板にのせるのではなく、
棒状にして藁(わら)をまとわせ、
くっつかなくして蒸したものだ。
ちなみに関東でお馴染みの板にのせた蒲鉾を
西日本では「板つき」もしくは
「板つけ」ということが多い。
後でアミガレイ(コケビラメ)の干ものを
買い忘れたことに気がつく。
長崎でもコケビラメのことを「アミガレイ」ということ、
アミガレイの干ものが珍しくないことがわかったのはいいが、
非常に残念。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
佐世保朝市まで送っていただく。
佐世保魚市場から15分ほどで
『佐世保朝市』の看板が見えた。
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九州北部にある佐世保はまだ夜明け前。
非常に寒い。
暗闇からのぞく朝市は屋根だけでがらんと広く、
床面の6割がたしか出店者がいないように思える。
いつもながらに市場歩きの前は
うきうきふわふわして落ち着かない。
あたりはまだ暗く、市場の中の明るさとの対比が大きく、
入り口近くにあった水仙の花の前で
一息ついて浮き立つ心を静める。
台に板を渡しかけたくらいの簡単な店舗ばかりで、
なかにはちくわを入れた段ボール、かごだけという人もいる。
野菜、相物、練り製品、魚などが売られている。
寒さのせいだろうか、野菜の種類は少なく、
お客もまばらで閑散としている。
asaa005.jpg
花やさんを見ていると「沖縄菊」という文字を見つける。
たぶん厳冬期、沖縄から菊の切り花が送られてくるのだろう。
asaa006.jpg
練り製品が豊富なのも長崎県の特徴である。
今回気になったのが高島竹輪。
高島という島には竹輪やさんがたくさんあり、
どれも味がいいのだという。
1本だけ買い、食べて見るととてもうまい。
なんといっても表面のやや強い焼き具合が、
いい風味を作っている。
asaa004.jpg
魚店はそれぞれ大きく地魚中心で魅力的だ。
野田鮮魚店、松本鮮魚と魚屋が二軒並び、品揃えが豊富だ。
イカが並んでいて、スルメイカ、アオリイカ、
ケンサキイカ、メガイアワビ、アサリがある。
マガキは地元九十九島産で小振り。
これがまことにうまそう。
九州ならではのもので「びら」というものがある。
タイラギの貝柱以外の部分で
ヒモ(外套膜)が「びらびら」しているのでこの名があるのだろう。
これが実はまことにうまいもので、
関東で売っていないのが残念でならない。
asaa003.jpg
ウチワエビ、キシエビ、サルエビ、アカエビ、イセエビ。
ヒラマサ、マダイ、シマアジ、イサキ、サヨリ、スマ、
ホウライヒメジ、サワラ、スズキ、アカムツ、クロダイ、
アオハタ、キジハタ、メイタガレイ、マイワシ、キビナゴ、
マサバ、マアジ、キダイ(レンコ)、カサゴにメバル。
活魚槽のなかもにぎやかそうである。
場内には他にも鮮魚を売っている店がある。
佐世保に観光に来たらホテルの朝食の前にここを散歩して、
素晴らしい魚をお土産に自宅に送ってはいかがだろう。
わざとらしい観光客目当てのものよりも
数倍魅力にあふれていると思う。
agogogo.jpg
さすがに長崎にはアゴ(ホソトビウオ)の干ものが多い。
乾物などを売るお母さんのところで
「あごのみりん干し」、「あご丸干し」を買い、
和菓子などを売る店で白い餅状の生地に
あんこを巻き込んだ「けいらん」
仏壇などに飾るという鯛をかたどった
「こうさこ」というものを買う。
asaitiokasi.jpg
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「こうさこ」の意味、漢字は売っている人も知らなかった。
地納豆があったので買い求める。
朝市内の食堂でうどんとおでん。
うどんを食べていると市場で店を出している人だろう、
「今日のおかずは?」なんていいながら顔を出す。
8時前、疲れが足に来て朝市を後にする。
この朝市、厳冬の季節なので、
この寂しさなのかもしれない。
また来なくてはならない。
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さて、朝市の食堂で昔の写真が貼っていた。
昭和30年代ではないかというその白黒写真が魅力的だ。
路上にそのまま置かれた野菜。
たくさんのトラック。
木造家屋の上にある空が広い。
朝日がまぶしく、差し込んでいて早朝なのがわかる。
こんな写真を見ると、最近の街作りは
空間を作りすぎていると思う。
実は人類には密集が心地よいのだ。
密集する場がないと心が空虚で攻撃的になる。
この密集した市場の健全な空気感と
無味乾燥な大阪駅・京都駅周辺とを比べてみて欲しい。
時代はすでに縮小、密集に変わりつつあり、
堺屋太一などのいうコンパクトな街作りを行うべきなのだ。
まったく最近の街作りをするヤカラ、
建築家の頭にはコンクリートが詰まっているに違いない。
その作り出す物には腐敗臭がして困る。
午前8時、ホテルに帰り、少々休息。
メモの整理。
10時前に戸尾商店街に向かう。
魚屋でクジラとマントの湯引きと
すぼかまぼこを買い、送ってもらう。
高島竹輪とともに平戸でつくっている
「すぼ蒲鉾」は非常に興味深い。
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「すぼ」とは「わらすぼ」のことで
「わらすぼ」とは「わらしべ(藁蘂)」のこと。
すなわち魚のすり身を板にのせるのではなく、
棒状にして藁(わら)をまとわせ、
くっつかなくして蒸したものだ。
ちなみに関東でお馴染みの板にのせた蒲鉾を
西日本では「板つき」もしくは
「板つけ」ということが多い。
後でアミガレイ(コケビラメ)の干ものを
買い忘れたことに気がつく。
長崎でもコケビラメのことを「アミガレイ」ということ、
アミガレイの干ものが珍しくないことがわかったのはいいが、
非常に残念。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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