3月、明石海峡春景色の旅 03

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イカナゴ漁の最盛期なので「鰭もの(魚)」の水揚げは少ない。
タイ科はマダイ1尾、クロダイ2尾、キチヌ1尾くらいか。
ただこのクロダイが大きくて太い。
最近ではクロダイというと安い魚の代名詞になってしまっている。
安いために扱いが悪く、また生息域によって味が違うので、
評価の基準が最底辺に置かれているからだ。
ただ明石浦(本当は瀬戸内海全域かも)のクロダイは
取り扱い方以前に非常にうまいのだ。
特に寒い時期から春にかけてのクロダイは
盛んにノリ(スサビノリ)を食べているので
名だたる明石鯛に負けないくらいだという。
 
これを宮部さんが締めて見せてくれる。
明石伝統の締め方が実は想像以上にすごかった。
頭を右に向けておき、手かぎをトンと落とすと、
魚は小刻みに震えながら瞬時に動かなくなる。

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鰓蓋をめくり刃物で脊髄のあたりを突くと、血が噴き出て
尾の方から切れ目を入れることなく
勘で脊髄に串を差し込み、神経を完全に殺してしまう。
延髄に金串が通るとクロダイの体表が
黒くなり白くなりして明滅する。
神経を殺したクロダイを海水につけ、
鰓から血液を絞り出して明石〆が完了する。
たぶん宮部さんはボクに見せるために
いつもよりもゆっくりやったのだろうけど、それでも実に素早い。
締めた鰓の色は赤ではなく臙脂色だ。
 
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次に宮部さんが水槽から持ってきたのがスズキ。
手鉤の入れる場所、神経の抜く位置など
魚によって締め方を変えるのである。
これもかなり驚異的に思える。
スズキも関東では安い魚となっている。
なぜなら活魚でなければ身色が悪いためだろう。
でも明石〆されたスズキは関東に来た時点でも
死後硬直しておらず、身に透明感がある。

明石の魚の美味は明石海峡の海流の早さと、
瀬戸内海の豊かさ、そして伝統の技が作り出しているのだ。

明石浦漁業協同組合

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このページは、管理人が2012年3月25日 01:38に書いたブログ記事です。

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