今年いちばんのうま飯は島根県隠岐郡知夫里島知夫村にある
『ホテル知夫の里』で食べた「ばくだん」である。
「ばくだん」とは板状にした
岩海苔(たぶん和名のウップルイノリ)に醤油を塗り、
大ぶりのおにぎりにしたもの。
まるで大砲の弾のようなので、この名があるのだろう。
知夫里島の美しさといい、このホテルの料理、そして「ばくだん」の味、
希にみる楽しき旅であった。
そして今回の「ばくだん」は岩海苔ではなく、
島根県出雲市『出雲わかめ養殖研究会』が養殖した
「かしかめ(ハバノリ)」を
板状に広げて干したもので作った。
ハバノリには、和名のハバノリとセイヨウハバノリ2種があり、
同定が非常に難しいのだが、
養殖の指導などをしている
県水産技術センターでは後者としている。
島根県の水産アドバイザーをしているので、
今回のものは提供していただいたもの。
いただきものをほめるのもなんだが、
関東周辺で売られているものに比べても
より柔らかく、より薄く作られていて、
最上級品であることは間違いない。
さて、オーブントースターでほんの3~5秒あぶり、
醤油を塗って、炊きたての麦飯をくるみ、
大砲の弾のように形作る。
おもしろいもので、ご飯の湿度が入ると途端に、
得も言われぬかぐわしい海藻の香りが鼻を刺激する。
熱いうちにかぶりつく「ばくだん」のうまさは名状しがたい!
「かしかめ(ハバノリ)」は年内の走りの時季が良質で
春になると硬くなる。
まさに最旬の味ここにありと、出雲の「かしかめ(ハバノリ)」は
強く強く口の中でうま味を発散して、口福感いっぱいにしてくれる。
さて知夫村で食べた岩海苔のと
今回の「かしかめ(ハバノリ)」の味は当然別物である。
岩海苔は紅藻類、
「かしかめ(ハバノリ)」は褐藻類でワカメなどに近い。
前者の特徴は香りと甘み、後者は香りとうま味といったらいいだろうか?
この香り、甘み、うま味の配分が微妙に違っている。
出雲市の「かしかめ(ハバノリ)」が
市場に出回る日も近いと思う。
多くの方にこの口福感を味わっていただきたいものである。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
2012年12月14日 土曜日 後の記事 »
「ねぎま」じゃなくて「ねぎめか」もいいよ