鳥羽から伊勢市二見に入った右手に海が見えてきた。
入り江に沿った緩やかなカーブの手前で
アオサ(ヒトエグサ)の養殖場を発見。
今回のテーマのひとつがこれなので、
海に出られるところを見つけて海岸に出る。
穏やかな湾に支柱が並び、網が沖に向かって伸びる。
鳥羽から伊勢湾にかけて
ヒトエグサ(三重県ではヒトエグサを「アオサ」というらしい)
の養殖が盛んだとは聞いていたが、
陸から、これほど間近に見られるとは驚き。
長靴を履いて砂浜に降りる。
細かい砂で、長靴はほとんど沈まない。
石積みの波止などを見ても、
ムラサキインコ、ヨメガカサにタマキビがつくくらいで
あまり生きものがいない。
砂浜でムラサキガイの貝殻を拾う。
養殖家の方がいて、「一番つみが終わって、
これから二番つみ」だとのこと。
海苔ソダの壊れた竹を交換しているが、
ほとんど音を感じない静謐な情景である。
こんなところでのんびりした時を持ちたいな、
などと思うが、無理だな、なんて
「日暮れて道遠し」の愚かなオヤジは考える。
食料品のなかに青海苔というものがある。
言語としての「アオノリ」と、
一般概念としての「青海苔」を整理するのが、
今年の目標でもある。
ちなみに単に「アオノリ」という生物はいない。
一般的な「青海苔」とされるのは
【ヒトエグサ、アナアオサ、スジアオノリ】の
3種の生物の加工品、生鮮品のこと。
基本的に3種すべてが養殖されていて、
日本各地で採取もされている。
採取されているアオノリにはボウアオノリや
ヒラアオノリなども含まれそうだが、
これはローカルなものなので割愛する。
この食料品としての「青海苔」ひとつとっても
生物(種)までたどるのは非常に難しいのだ。
余談だが、ヒトエグサにはヒロハノヒトエグサという
近縁種がいるとされているのだが、
これはシノニムであるよう。
実を言うと海藻の分類は非常に難しく、
最近頼りにしている
鈴木雅大さん(この人偉大である)が作る
目録を見ているだけで頭がくらくらしてしまう。
目や綱、その上の門のクラスから整理する必要ある。
ちなみにこの浜で養殖されているのはヒトエグサだ。
砂浜にもどったのが4時半。
振り向くと日は陰り、群青色の空の下、
養殖のソダに潮がひたひたと満ちてきている。
砂地を歩き回ったせいか、どっと疲れを感じる。
津に泊まるか、松阪にするか、悩んだ末に、
明日の予定を鑑みて、松阪の東横インに。
ホテル代はポイントを使って、今回は無料。
6時前から市内を歩く。これが松阪歩き二度目。
夕食は前回松阪の街歩きしたときに
「揚げずし(いなりずし)」を買ったすし屋を目指したが、
残念ながら定休日。
これから歩きに歩き、二軒飲み食い歩いたが総てハズレ。
ホテルに帰り着き、文字も打たずにダウン。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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1月17日 三重地方卸売市場