7月12日金 兵庫県姫路市家島群島坊勢島。
朝方、6時半に起きる。
窓を開けると風が熱い。
ベランダから港や入り江、小島が見え、まことに美しい。
午後7時半近くまでメモの整理。
旅館の広間に下りると山下さんが眠そうな顔をしている。
考えてみると昨日ボクは、ただただ島のうまい食べ物、漁協の方達との話を楽しんでいただけだが、山下さんは島周辺にある魚礁のことや水産振興の話などで、島に着いて以来ずーっと仕事ずくめだったわけで、大いに申し訳なく思う。
朝食はいたって普通の旅館風に
チャンチキ(ヒメオコゼ)のみそ汁、
ヒガレイの煮浸しのみが「島食」。
9時、坊勢漁協の竹中さんと姫路市水産課の峰さんが迎えに来てくれて漁協へ。
ここで坊勢島の漁のこと、坊勢島に伝わる料理のことをお聞きする。
ヒイカの塩辛は貴重品で、古くから作っているものだが、めったに手に入らないとのことなどから話し始めて、採取した情報は膨大。
ここで料理自慢だという小林ちづるさんが加わってくれ、話は日常的なことにも及ぶ。
【坊勢島の食事】
朝
茶がい(米は洗わず、番茶は布袋に入れて一緒に煮だす。緑豆を入れた「ぐろうがい」、あずきがい、いもがいなども)、漬け物、いりこ(だしようのカタクチイワシのゆで干し)・しょうゆ、唐辛子を混ぜたものも食べた。
昼
麦飯(押し麦)、ごった煮(いろんな種類の魚を煮たもの)
夜
ごった煮、マアジ干もの、煮つけ(頭を落としたメブト、三枚におろしたメバルを塩漬けにし、少量の醤油で煮る。醤油は小豆島の富士大)
【坊勢島の料理】
イシモチ(シログチ)は背開きにして塩をして焼く。
えびカレーはジャコエビ(トラエビ、アカエビ、サルエビの小型)のむきえびと少量の肉をタマネギ、ニンジン、ジャガイモなどといためて水をそそぎ、ハウスこくまろカレー(小林ちづるさんおすすめ)をとく。
家島ではジャコエビをゆでる。このゆでじるでカレーを造り、最後にゆでてむいたえびを加える。
サバ缶でもカレーを作る。
雑煮はヒガレイをあぶり身と皮をはぎ取る。はぎとった身と皮だけでだしを取り、雑煮を作る。具は短冊よりも細くきった大根、ニンジン、ごぼう、丸餅。
アカシタは皮を剥き、骨ごと薄くきり、刺身に。酢に漬け込む。
さばずしは、塩鯖を甘酢につけ、切り、俵型のすし飯にのせる。握りずし形なのは珍しい。
漁協の手配で荒木福美さんが作ったドンビイカ(ミミイカ)の塩からをいただく。つけこみの浅いものと長いものの2瓶。
浅いものは無臭に近いが、熟成の進んだものは、ふたを開けると目がちかちかして、かなり臭う。
こわごわと食べてみると、これがビックリするほどの銘品。
たぶん国内中探してもこれほど優れた味の塩辛は見つからない、それほどにうまい。
茶がい(茶がゆ)のことをいろいろ聞いていたら、小林ちづるさんが「まだ残ってる」といって席を外され、数分で鍋をテーブルに。
緑豆入りの「ぐろうがい」で塩味がほとんど感じられないのに矢鱈にうまい。
食べ始めるとやめられない味である。
朝ご飯を食べたばかりだというのに、お代わり、お代わりで際限なく食べてしまいそう。
これはまことにデブにとっては危険な食べ物だ。
あらためて小林さんの料理力に感嘆、ごちそうさまでした。
懇談の後、島を一巡。
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