蟹江川にかかる小さな橋のたもとにあったのが料亭『いなまん』。
屋号に郷土料理の「いなまんじゅう」をいただく店なので、この店を目指してここまで来た。
「いなまんじゅう」とはこの地でたっぷりとれただろう、
イナ(ボラの若魚)をずぼ抜きし、
中にあん(八丁みそ、ぎんなん、しいたけ、ゆず)を詰めて焼いたものだ。
予約していたコースを座敷でいただく。
最初はいたって定番的なホタテ、ヒラメ、甘えび(ホッコクアカエビ)というお造りから。
しょうゆは当然、たまりしょうゆ。
名物につきものの余分な存在ながら味は悪くはない。
初食べの「いなまん」がうまい。
身がふんわりして八丁みそを使った甘いあんがいい。
あんは八丁みそにぎんなん、しいたけ、ゆずの香りがする。
ちなみに酒は地元の四天王でやや辛口。
近年、名物とされて当たり前にその地にあると思っているものが、
いつの間にか消滅しているということが多々ある。
今回の「いなまんじゅう」もそれに近い絶滅危惧名物のひとつかも知れない。
本来は家庭料理だったものが、料理屋の料理になり、やがて消滅する。
この重大さを地元の人だけがわかっていなかったりする。
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