横浜中央卸売市場関連棟は水産棟の隣にある。細長い建物で入ると寿司屋、中華料理屋、そば屋に食堂らしきもの。少ないながらどれも魅力的な店ばかりで、なんども行き来してどこにはいるか迷いに迷う。ここが魅力的なのは川崎北部市場のように、または浜松市の市場のように店舗がさみしい二階に追いやられていないところ。前を行き交う人も多く、なんだか市場らしく騒々しい。しかも前からのぞくと数人の男達がうまそうになにやら食っている。
迷うこと数十秒、最後に残ったのが「伊豆屋」と「木村屋」。結局「木村屋」にする。これは昔、好きになった女の子が木村やよいさんだったというそれだけの理由なのだ。とほほ、当然思いっきりふられたのだけど。
店の前の品書きを見て、明らかに天ぷらの店であると思う。そこに「アナゴ、メゴチミックスてんぷら定食」1100円というのがあり惹かれること大。なにしろ横浜と言えば本牧、金沢八景、小柴というアナゴの本場がある。でもミックスというと「フライ」だわね。天ぷらには合わない。まあそんなことはどうでもいいか?
店に入ると思ったよりも店内は狭く、入って右から細長く奥にかけて、そして奥全体が厨房になっている。すなわち店内のほとんどは厨房に対面するカウンター席。ぽつんと2人がけのテーブルがある。店の色合いは黒く落ち着いている。イスは丸い回転式、座り心地が悪い。
注文したのは予定通り「アナゴ、メゴチミックスてんぷら定食」。せっかく横浜まで来たのだからこれくらい散財してもいいだろう。
天ぷらが揚がるまで、手持ちぶさたでウロキョロ見ていると店内にすーっと入ってきて「や」と声をかけて2階に上がる人が数名。どうも上にも席があるようだ。
思った以上に待って、出てきたのがアナゴ1本、めごち4本、シシトウ2本の豪華な盛り合わせ。なかなかいいな、と予想以上の定食に喜んでいると、そこにマグロのブツの入った小鉢まできた。どう見てもメバチマグロの赤身だが「うれしいな」と感激。
そして天ぷらのサクサクして、ジワリとマアナゴのコクのある旨味がフワリと浮かぶ。そしてめごちもいいのである。形からすると福島あたりのセトヌメリではないだろうか。これにお新香とシジミのみそ汁がついている。
やっぱり市場の飯屋はこれくらい豪勢なものを出してほしいな。今回の横浜での朝飯は大当たりであった。
横浜市中央卸売市場関連事業者協同組合
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