
 イネゴチを買った。
 コチの仲間で一般的に食用とするのはコチ(マゴチ)とイネゴチ、ワニゴチの三種。
 コチの存在が突出しており、同じように見えるワニゴチ、イネゴチは入荷してきても、コチモドキ的な存在だろう。
 値段からしてコチの半分くらいしかしない。
 愛媛県八幡浜からまとまって入荷してきたのを見つけて、腹を触りながら、どれくらい成熟しているのか、知りたくて、1本買い求める。
 キロ当たり1000円ほどで400グラム弱。
 一本400円でおつりが来る。
 下ろすと、残念ながら雄で白子を抱えている。
 コチ科の魚は真子がうまい。
 まあ、白子だってうまいもんだよ、と我が家独特の下ろし方で、白子をそのまま残して、頭部と腹を一緒に裁ち落とす。
 これを片身とともに海老名の海老さんからいただいた塩麹に漬けて、軽く干す。
 塩麹とは、たぶん麹に塩、水分を加えて軽く発酵をさせたもの。
 新潟から山形にかけて、よく食べられている三五八漬けに近いものだと思われる。
 違いは餅米の存在ではないだろうか? どろっと乳白色のものをスプーン一杯味見に食べると、甘みがある。
 干すときにも焼くときにも麹はあえて落とさなかった。
 ただ粘度が弱いので、そんなに表面にはついていない。
 この塩麹干しがうまいのだ。
 イネゴチはコチ類ではそんなにうまいとは思えない。
 脂がないので焼きたてをかぶりつくように、食らうと、芳醇な麹の香りと甘みがきて、イネゴチの白身の部分はつけ足しのようだ。
 救いはイネゴチは真子だけでなく、白子だって、うまいのだということを、改めて確認できたことか。
 このように淡白すぎる魚の味を補うには、やっぱり発酵食品がいちばんいい。
イネゴチよりも塩麹に感心する一品となったが、このような優れたものを探し出してくる海老さん、やるじゃないの! そして、ありがとう!
2009年6月21日
ふじの木農場 新潟県三条市西潟
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、イネゴチへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/koti/inegoti.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
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