ここは小田原魚市場の競り場の上にある。まさしく魚市場で働くプロ達御用達の食堂であろう。魚市場から食堂に上がったのが8時前。少々遅かったのか市場関係者は皆無だった。私の後から入ってきたのは老人一人で寂しい限り。また市場に入ってメニューに迷っていても食堂の方達はひんやり見ているだけ。なんだか入ったのを後悔したが、それでも腹ぺこには勝てない。
食券販売機の前で考えた挙げ句に相模湾らしいであろう「鰺たたき定食」980円に名物という「鰺つみれ汁」180円を購入する。市場の食堂であるので期待は膨らんで待つことしばし。トレイにのって出てきたのが貧相な代物。
低い飯茶碗に小盛りのご飯、あとはしらすおろし少々、なにやら煮つけ、お新香、そして主役のアジ。確かにマアジの鮮度は決して悪くない。悪くないが、それほどいいとも思えない。このちまちま貧相なところに唯一期待できそうな、つみれ汁。ところが、このつみれ汁の方がもっと貧相だったのだ。みそ汁の中につみれがない。ないと思ったら2個入っていて、探さなければ汁だけのみそ汁に思える。
はっきり言って小田原魚市場食堂というのは「市場食堂」という意味合いがなんなのかわかっていない。市場で食べるというのは、どこか豊かさや、また市場ならではのとれたて感、また雑魚や郷土料理的な意味合いや、なんでもいいからプラスアルファが必要なのだ。例えば、豊かさというなら陸送を使ってもいいだろうし、安いゴマサバのみそ煮や、すみやき(クロシビカマス)の煮つけがあってもいい。もっと市場のことが好きな料理人や運営者はいないんだろうか小田原には。きっと、市場の食堂をもっと繁盛させようなんて気持ちは皆無なんだろうな。こんなそろばんを弾く音が聞こえるような定食は大嫌いなぼうずコンニャクでした。
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