魚屋出会い旅: 2006年9月アーカイブ

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 三島市広小路は伊豆箱根鉄道広小路駅を中心として、また沼津に向かう大通りが東西に走り、それが分岐するところとして賑わいがある。言うならば三島にあって下町のようなところだろうか。その分かれ道が作り出す三角地帯の路地にあるのが「魚正」である。
 魚屋を見つけたら入ってみる、それがボクの旅の目的でもあるので何気なく品揃えを見る。沼津底引きのしまえび(ヒカリチヒロエビ)が置かれている。発泡から魚を出しているオヤジさんに「沼津から帰ってきたんですか?」と聞くと「そうだよ」とのこと。その受け答えにとても気安さがある。
 まだ午前中なので沼津魚市場からもどって間もなく、ちょうど品物を整理している最中。それでも丸のイサキの脇に初めて見る「自家製味付おするみ」というのがある。これは底引き網の魚であるギスをすり身にして卵白やデンプンを加え味付けしたものであるという。三島ではすり身を「おするみ」というのである。底引きの初競りの日なので、これは今日ほんの少し前に出来たばかりなのは間違いない。

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 これから魚が出そろうというときで店は慌ただしい。そんな目の前に出てきたのが「味付まぐろ」である。マグロの種類はわからないのだが、味見させてもらうと甘辛く煮あげて、すこぶるつきにうまい。その上、決して硬くないのはどうやって作るのだろう。ボクがあんまり食べたそうにしていたので味見させてくれたおっかさんが「どうおいしいだら」とにこやかに笑っている。ついでにお買い物中の近所の女将さんもボクの方を見て笑っている。なんと居心地のいい魚屋であることか。あんまりうまいので2パック買ってきたのが大失敗だった。4パック買えばよかったのだ。そうすればもっと楽しめたのに、「味付まぐろ」は当日、そして翌日の朝ご飯できれいさっぱりなくなってしまった。

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 こんどは品揃えがととのった時間にお邪魔していろいろお話しして、たっぷりうまいものを買ってきたい、そんな魚屋なのである「魚正」は。


魚正 静岡県三島市広小路町8-6


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 沼津魚市場に買い出しに来ている三島の魚屋を菊地さん(沼津の魚の達人、菊貞・山丁 菊地利雄さん)に紹介してもらった。これは三島市を無駄歩きをするに何軒かの魚屋を見て回りたかったためである。無駄歩き出来る時間はいつも少なく、今回は本町の「魚貞」さんを目差す。三島市は小さな街であり、商店街もそんなに多くはない。中にあってもっとも賑やかなのが三島大通りなのである。ここから一筋北にある通りに「魚貞」はある。
 午前10時過ぎ。とりあえず自転車で店の前にくるとちょうど沼津魚市場で仕入れてきた魚を下ろしているところ。ここから荷を出し、店に並べ、また魚などを水洗いする。とても忙しい時間なので、三島市街を見て回って、ふたたび店に舞い戻ったのが11時半。
 ちょうど落ち着いた時間だろうか? と店内に入ると、あにはからんや「魚貞」さん、今まさに巨大魚と格闘していたのだ。
「これはたぶん島(伊豆七島)のものかな。「もろこ」だけど、こんなもの仕入れる魚屋も少ないでしょう」
 見たところ魚は30キロを優に超えている。そのウロコをすきびいている。背ビレ、顔つき、色合いから伊豆半島、伊豆七島での「もろこ」はクエであることは明白である。
「これを切り身にして店に出すんですか?」
「いや、これはこのまま下ろしたら料亭や旅館だね。一般家庭じゃ買えないね」
 そう一般の魚屋ではとても扱えない高級魚、しかも目の前にあるのはクエとしてもかなり巨大なもの。この魚、ウロコが硬く、シャキシャキと引いて取ることは出来ない。それでウロコと真皮の間に包丁をいれてすきびきにする。なかなかこれが難しいのであるが、「魚貞」さんは手早く的確にすきびいていく。
 これを店の前から撮影させてもらったが、その迫力やみものである。こんどはじっくり三島での時間をとり、「魚貞」の刺身や切り身を買って帰りたいものだと思いながら、八王子で沼津のエビを待っている「市場寿司 たか」を目差して帰途につく。

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魚貞 静岡県三島市本町4-5 電話055-975-1895


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