焼くと脂が染み出してきて「じゅうじゅう」と音を立てる。味わいは濃厚、かつ脂が甘味を持つ
福岡県北部に「あぶってかも」という干物がある。福岡市から取り寄せて一度だけ食べたことがあり、その美味であるのにビックリ仰天。その原料が見たところ、デバスズメとスズメダイである。以後、防波堤釣り(波止釣り)でのスズメダイは全部持ち帰る仕儀となった。
その作り方は簡単である。ウロコを丁寧に取り、頭を落として塩にからめる。ここで小一時間待ち、塩を洗い流して干すだけだ。立て塩でもいいのだけど、塩にまぶして魚から水分がにじみ出てくる。また塩が馴染んだのを見て取れるので、塩まぶしの方が簡単に思えるのだ。
静岡県沼津市戸田、岸壁から釣り上げたスズメダイはもの凄い量である。これを小一時間かけて水洗い。5月の風に半日干し、物憂い夕風を受けながら、ビールを飲む。
子供も自分で釣ったものだから、珍しくうまそうに食うのに、妻が「スズメダイは骨が硬いから気をつけて食べろよ」なんて声をかけている。
「あぶってかも」は晩春の季語だろうか?
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