沼津魚市場でコクチフサカサゴを買い込んだら、オマケにタマガンゾウビラメがついてきた。
発泡に並んだのを見ると、抱卵しているのが4尾、オスが一尾。
静岡県沼津魚市場でもっとも魚に詳しい『佐政水産』の青木さん曰く、
「干物にしたらうまいでしょうね」
と言うことで、持ち帰ったら直ぐに頭を落とし、振り塩。
これをビニール袋に密閉して、一夜寝かせる。
翌日は曇り空ではあるが、そよそよと乾いた風が吹く。
仕事をこなしながら、乾き具合を確かめ、また確かめていると、夕暮れ時にはうまい具合に干し上がる。
これを一枚ずつ焼いては食べ、焼いては手づかみで食らう。
飛騨焜炉で焼いていると、脂が落ちて煙が上がる。
これを「あちち」と手に持って、身をむしると、身離れがよく、口に入れると揚げたような香ばしさがある。脂が甘く、ちょっと渋くて、これが非常に濃厚だし、一筋の卵巣のほくほくして甘いこと。
家族で5枚は少ない。「父ちゃんもうないの?」と太郎が言う。
「ほいよ」っと一匹だけ混ざっていたメイタガレイを追加して焼く。
福井県などの名物に「若狭がれい」という干物がある。これは現在ヤナギムシガレイが原料となっている。しかし本来の「若狭がれい」はメイタガレイで作っていたのだとか。それがとれなくなってヤナギムシガレイに代わったのだ。
「それほどうまいカレイなんだ」と話したのだが、「さっきのカレイの方が断然うまい」と姫が言う。しかも猫の太郎もメイタガレイには見向きもしないのだ。
しかたなくお父さん一人がメイタガレイを食べることになり、「確かにタマガンゾウビラメには負けているな」と得心したのだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、タマガンゾウビラメへ
http://www.zukan-bouz.com/karei/hirame/tamaganzoubirame.html
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