食べるその他の水産動物学: 2007年4月アーカイブ

弁当箱と大箱

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 市場で「弁当箱」「大箱」というとなんだと思うかな。たぶん魚に興味のない、市場を歩いたことのない人には想像もつかないだろう。
 ここで先日、大都魚類の下田さんとの会話を再現してみよう。
「最近、安いのはロシア産が大量に来ているから。それで大箱があんなに安い。弁当箱だったら千円台ということもあるな」
 ロシアからの輸入が増えていて値崩れしている。そして大箱の方が高級で、弁当箱の方が安い。
 これがウニのことなのである。

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これが大箱、色合いが黄色く北海道産なのでキタムラサキウニかな?

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これが弁当箱。色合いがやや赤っぽいのでエゾバフンウニ

 ウニは世界中から輸入されている。それを北海道などで丁寧に並べられて入荷してくる。その原材料はアメリカ、カナダ、チリ、中国などもあるが、今もっとも大量に輸出してきているのがロシアなのだ。カナダ、アメリカのグリーンというバフンウニの仲間、チリウニ、これは国産のとは種が違っている。そこにロシアの強みは北海道などでとれるエゾバフンウニ、キタムラサキウニが豊富に棲息すると言うことだ。
「売れるものは売る」という資本主義の原則にのっとり、ロシアから大量にくるウニ。これがウニの価格を大幅に下げているのだ。
「でも下がっているのはだいたい60点(品質の度合い)以下のもの。いいものはやはり高くて、大箱で12000円はくだらない」
 と下田さんは語る。

 これでは北海道の漁師さんは困っているだろう。

 でも、これを築地や市場歩きが好きな人には朗報ととらえて欲しい。
 大箱というのは縁のあるまな板上の箱に丁寧に一葉一葉並べられて、それは芸術品のように作り込まれたもの。弁当箱というのは幕の内弁当の経木の箱を小振りにしたもの、これにバラバラにウニが入っている。当然、大箱は見事であるが、値も高い。庶民は弁当箱でも充分。
「大箱だって3000円くらいからあるぞ、5000円もだせば一級品だよ。弁当箱がいくら1500円だって、たまに買うなら大箱がいいだろ」
 八王子綜合卸売センター高野水産の社長は吠えてくれる。まあ最安値かもしれない今だから、ウニを飽食するのも一興だろう。

 例えば1500円(これはもっとも安いもの。平均2000円前後か?)の弁当箱を買う。これが300グラムとして炊きたてのご飯に150グラムのせる。てっぺんにはわさび、そこに好みで醤油を垂らして、フカフカとかき込む。こんなこと北海道を旅しても出来ることではない。それが八王子でも築地でも、市場に行けば可能なのである。

市場魚貝類図鑑のキタムラサキウニ
http://www.zukan-bouz.com/sonota/uni/kitamurasakiuni.html
市場魚貝類図鑑のエゾバフンウニ
http://www.zukan-bouz.com/sonota/uni/ezobafununi.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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