干物図鑑・干もの日和: 2008年9月アーカイブ

kamasuyaki0809.jpg
●クリックすると拡大

 ヤマトカマスというよりは「水がます」と言った方が市場では通りがいい。
 とても安いもので、キロ当たり(卸値)500円とか700円ほどしかしない。
 たぶんスーパーに並んでも3本200円くらいではないか?

 コイツを見つけると、ついつい6本、7本と買うのだけど、支払いはいつも3コイン以下だ。
 これを市場で開いて、ついでに振り塩。
 発泡のフタにのせて、斜めに立てかけておく。

kamasuhiraku080911.jpg
●クリックすると拡大
カマスを開きにするのは背中からがボクのやり方

kamasufurijio0809.jpg
●クリックすると拡大
すぐに振り塩をする

kamasumizukiri0809.jpg
●クリックすると拡大
振り塩をしたら斜めにして少し水切り

 この時点で、りっぱな干物となっているのだけど、帰宅後、ザルにのせて、ラップしないで冷蔵庫で約半日。
 いつの間にか、見事な干物となっているから不思議だよね。
 さて、干物作りに最適な季節は温暖化がすすんだせいで、11月から5月いっぱい。
 この時期は外で、風干しできる。
 それ以外の時期は冷蔵庫を利用する。
 干物製造器というのがあって、非常に大きく、高いものなのだけど、実は構造的には冷蔵庫と同じもの。
 すなわち冷蔵庫は冷やす機能と、乾燥させる機能を併せ持っているのだ。

kamasudekiagari0809.jpg
●クリックすると拡大
冷蔵庫で約半日干す。これで出来上がり

 冷蔵庫で作った干物じゃ天日干しにはかなわないでしょう?
 どうだろう?
 例えば、一般に出回っている干物のほぼ100パーセントが機械乾燥だ。
 そこに天日干しが混ざり込んで、知らないで食べたらわかるだろうか?

 今回の干物だって、そんじょそこいらの市販品よりも一頭も二頭も抜け出してうまい。
 旨味は魚からじわりと、魚そのものから出たものだし。
 あぶった香ばしさもいいのである。

 今年初の「水がますの干物」を肴に、「雨後の月」を飲む。
 広島の酒なのだけど、甘くない、辛くもないけど、飲み口がいい。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヤマトカマスへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki/kamasu/yamatokamasu.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

tuwano0808111.jpg
●クリックすると拡大

 島根県津和野の郷土料理に「芋煮」というのがある。
 小ダイかアマダイの骨をだしにして里芋と焼いた身を煮る。
 汁は大目にして、吸い物のような仕上がりにするのだけど、調味料は塩としょうゆだけだという。

 ちょうど島根のヤマトシジミさんから「鯛だし」というキダイで作った煮干しをもらった。

taidasi0808.jpg
●クリックすると拡大

taidasi0808111.jpg
●クリックすると拡大

 これが実にうまいだしがとれる。
 この澄んだ旨味の強いだし汁で里芋をたけば、遠く津和野の芋煮が忍べそうに思える。

 里芋は塩でもみ、米のとぎ汁で下煮しておく。
 昆布と、鯛だしを水に沈めて、火をつける。
 沸いてくる直前に昆布を取りだし、アクをすくいながら、だしの加減をみる。
 だしがらを漉す。
 酒、少量の味醂、塩、薄口しょうゆで味付けする。
 ここに下煮した里芋をいれてことことたいていく。
 里芋が口の中で軽くつぶれるほどに軟らかくたけたら出来上がりだ。

 残念なことに土曜日に閉店した八王子綜合卸売協同組合『河村青果』で買い求めた柚を刻んでちりばめる。
 器は武内立爾作の大皿。
 この美しい皿には、こんな素朴な料理が合うと鑑みた。

 津和野は島根県益田から山に分け入ったところにある。
 室町時代から栄えた町ではあるから、こんな素朴な料理にもどこか洗練されたものを感じる。
 今回の料理は『津和野の料理』(津和野の新しい文化をつくる会)によった。

ことぶき
http://www6.ocn.ne.jp/~kotokin/page4.htm
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、キダイ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/taika/kidai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
http://www.zukan-bouz.com/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、2008年9月以降に書かれたブログ記事のうち干物図鑑・干もの日和カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは干物図鑑・干もの日和: 2008年4月です。

次のアーカイブは干物図鑑・干もの日和: 2008年12月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。