食べるその他の水産動物学: 2008年7月アーカイブ

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 宮城県、岩手県と地震が続いて、東北の夏は大変なのだ。
 中国でも大地震があって、なんだかイヤな予感がするな。
 オリンピックなんてやってる場合かね。

 さて、閑話休題。
 今回の主役はキタムラサキウニである。
 産地は宮城県石巻のもの。
 石巻は地震の被害は少なかったようで一安心。
 ウニの産地からも、いろいろ考えることがある。
 だからやっぱり産地の情報は大切なのだ。

 1個300円なので大きめのもの、持ち重りのするものを選ぶ。
 これを3個買い求めてくる。
 2個はそのまま生で、これがなんとも美味であった。
 そう言えばウニには白ワインが合う。

 最後の一個は殻を割り、身を片身に詰め込んで、ちょっと戯れにバーナーであぶる。
 焦げ目がついてなかなかうまそうな代物が出来上がった。

 さて、そのお味はと言うと、いきなり半分ほども舌にのせつぶし食べてみる。
 意外に見た目ほどに味がぐっと濃くなったわけでも、甘くなったわけでもない。
 香ばしさもあまり感じない。いや少しだけ味が濃くなったようにも思える。
 それでこんどはじっくりと舌の上にのせて、転がして、味を確かめる。
 やっぱり生よりも旨味は濃くなっているし、熱を通したための旨味の変化がある。
 焼きウニはゆっくり目をつぶって味わうもののようだ。

 さてキタムラサキウニは夏が旬である。
 8月も三陸から北海道から入荷は絶えないだろう。
 懐が暖かければ、酒の肴に一、二個はりこんでみてはいかがだろう。
 ペットボトルの飲み物を節約して、二日で一個は楽しめる。
 ちなみに本日の酒は滋賀県の「琵琶の長寿 純米酒」。
 日本酒には焼いた方がより相性がいいようだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、キタムラサキウニ
http://www.zukan-bouz.com/sonota/uni/kitamurasakiuni.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 食用ウニの代表格はエゾバフンウニとキタムラサキウニ、ついでバフンウニ、ムラサキウニも加わるが少ない。
 もっと正確を期すならば、全体量からすると、この国産ものよりも輸入ものの方が多いのかも知れない。
 ただ、今回はこのような難しい問題は省くとして、国内のウニのほとんどが北でとれていて、西南部では少ないというのはわかっていただけただろうか?
 西南部というか、本中部以南といういたって曖昧に表現される生息域にいるのがアカウニなのだ。
 これはあまり東京などにはこない。
 築地場内では初夏になるとよく見かけるものであるが、場内数ある仲卸店舗でも一軒か二軒の店先で見るのみ、というもの。
 北海道などのエゾバフンウニと比べて、入荷しても“ひっそりと”したもの。
 
 さて、このアカウニを名古屋の柳橋市場で見つけて思わず買ってしまった。
 これが“アカウニの今期初買い”である。
 買った仲買がぶっきらぼうで、まことに粗っぽかった。
「氷くれますか」というとアカウニをビニールに放り込み、そこに氷をザラリと入れた。
 おかげで後々、ひどいめにあってしまった。
 値段はキロ当たり2500円。

 昨年のアカウニ食べ納めが10月だった。
 やっと持ち帰って割り、そのやや薄い黄色の精巣を見て、思わず、つまみ食い。
 エゾバフンウニの濃厚さはない。
 キタムラサキウニよりも旨味が薄い。
 むしろ一個全部を、手でほじくりながら食いきっても、もの足りないほどに感じる。

 これが酒のアテにすると、ちょっと変身する。
 一片か二片口に放り込んで酒を含むと、ふわっとウニの味わいが浮き上がってくるのだ。
 アカウニを食らうなら、ワインならシャブリ、日本酒なら山形の東北泉とか静岡の磯自慢がいい。
 そんなことを思いながら、隠岐の「高正宗」を口に含むと、これでもいいのかな、と思うのであった。
 五十路になるとストライクゾーンが広がるのだ。

 さて、野甘草の花も、オオケタデの花房も、猛暑の中で元気がない。
 どうやら梅雨はあけたらしい。
 毎年のことだが、気象庁よりも、人の感覚の方が季節の移り変わりに対しては敏感なのだ。
 夏真っ盛りとなった、きっと築地場内にもアカウニが並んでいるに違いない。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカウニへ
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