鍋図鑑: 2010年10月アーカイブ

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メダイを白身と言っていいかは微妙である。
スズキ目イボダイ亜目にはメダイ、イボダイ、マナガツオなどがあって、一応白身魚と考えてもいいだろうが、代表的な白身であるヒラメとくらべると質的には大きく違っている。
このあたりは別項をたてるのでお待ち願うとして、スーパーなどで普通に売られている切り身を鍋の具にするときのコツをご披露してみたい。

メダイはやや高めながらスーパーなどで1切れ200円から300円で売られている。
決して珍しくはない。
普通、煮つけや塩焼き、ムニエル、フライなどに利用するが、肌寒の候である。
やっぱり鍋でしょう。
さて、メダイは比較的クセがなく、また旨みが強いわけでもない。
無個性な八方美人的なメダイ切り身は椀種(吸い物)には向いているが、鍋物にはちょっと一工夫が必要になる。
吸い物の場合には役者で言えば、脇役でいいのだが、鍋物だと主役を張らなくてはだめ。

鍋物には、だしを使う「寄せ鍋」と、使わない「ちり」というのがある。
寄せ鍋の汁は基本的にカツオ節だしを使った八方だしで、具材を煮る前から飲んでもうまい。
ちりの場合は具を煮る前は、まだ単に昆布の風味があるだけの不完全な汁なのである。
寄せ鍋の主役は下味をつけるが生のまま入れる。
ちりの場合は煮出すということから霜降りにしてアクをのぞいて利用する。

メダイの切り身はどっちに向いているか? というと寄せ鍋仕立ての方である。
だから買い求めてきたら食べやすい大きさに切り、下味をつける。
カツオ節をベースに酒塩で味つけした汁を用意しておく。
汁は当然インスタントでいいので、顆粒状のものをさらさらで大丈夫。
メダイの下味と言っても酒、醤油、みりんを合わせてまぶして半時間以上置くだけだから、なんの技もいらない。
後は野菜をたっぷり用意しよう。
豆腐はあってもなくてもいい。
意外にコンニャクやお麩などもいいのだよ。
そうだ練り製品もいけます。
何を入れてもいいので寄せ鍋というのだろうね。

さて、小鍋仕立てでも、大鍋仕立てでも、どっちでもよいのが寄せ鍋の利点。
これをご飯としても酒の肴としてもよい。
具に素麺やうどんが入ると、ご飯だろうな。
この鍋に入れたうどんって、子供の頃大好きだった。
さて、これでは家族団らん幸せ者だけの鍋と思われそうだが、本当は寄せ鍋こそ小鍋仕立てに向いているのだ。
幸不幸綾なす秋の夜、なーのだ。

材料(2人分)/メダイ切り身2切れ、カツオ節だし400㏄、酒100㏄、塩適宜
野菜などはなんでもよい。
今回は海老名の海老さんの柚を脇役に生かした。

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作り方
1 メダイを酒1、みりん1、しょうゆ1に合わせたものに漬け込む。30分以上漬け込む。

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2 だしと酒を合わせ、塩で飲んでちょっと物足りないなというくらいに味つけ。
3 だしを加え、後は具材を自由お好みで放り込んでいただく。
汁と具材を一緒にすくい、物足りなかったら柑橘類、醤油などを垂らす。ポン酢をかけるなどして食らう。



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