干物図鑑・干もの日和: 2007年11月アーカイブ

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 寒くなって干物日和の日が続いていて、市場に行くたびに大型のマアナゴを探している。
 これを鍋やら干物にするのだけど、家族は干物を待っている。それほどにマアナゴの干物は老若男女かかわりなく好まれるものなのだ。

 愛知県知多半島、三河湾ではマアナゴのことを「目白」という。この「目白」を開いて浜に干してある光景は、まさに見ているだけで“うまそうな”もの。これを買い求めた20年ほど前からマアナゴの干物作りに凝り始めた。
 そしてひとつの法則を見つけたのである。それは大きいほど脂がのってうまいこと。またやや強めに干すと小骨が気にならないこと。

 だから干物作りの時期を迎えると大きなマアナゴを探す。それが千葉県竹岡からの入会にあって、値段の交渉をする。相手はなかなか手強い、八王子綜合卸売協同組合『マル幸』のクマゴロウだ。本当にクマゴロウの見る目は確かで、なかなかたやすく値引きをしてくれない。それでもキロあたり「800円でいいや」というマアナゴとしては信じられない値段で買い求めてくる。クマゴロウありがとう。

 これに振り塩、振り酒をしてビニール袋で一日、天日に干すこと一日で干物が出来上がる。

 あとは香ばしく焼き上げるのだ。
 毎年、何匹も干物にして、そのつど感動しているのだけど、やはり今期の初物もうまいね。
 干物の外側は皮目も身の方も非常に香ばしくパリパリしている。それを口に入れると口中に一気にマアナゴの旨味と脂がほとばしり出てくるのだ。この旨さ、甘味、脂自体の芳醇さ、この感動は食べたものにしか味わえぬだろう。

 寿司ネタなどには大きすぎる500グラムのマアナゴの半身、頭部に近い部分、半身があっけないほど皿の上の時間が短かった。この余韻以前の欲求不満をどうしてくれるんだい、このやろう! となぜか夢見心地になるほどの美味を感じて怒りがこみ上げてくる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マアナゴへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 ヤリイカが毎日のように入荷してくるようになった。ただ大小様々、鮮度もいろいろ。このような時期をヤリイカの“走り”とも言うべきではないか。

 八王子総合卸売センター『高野水産』に産地不明ながら鮮度がよく、しかも外套長(所謂刺身にする胴の部分)15センチほどのヤリイカが入荷してきていた。値段は、と見るとキロ当たり1000円しかしない。こんな小春日和の穏やかな日は、ついつい、ふらふらと、仕事で上京(八王子、日野に住む人は都心に出ることをこう言うのだ)しなければならない、のに何杯か買い求める。その場で下ろして塩をしてビニールに入れて持ち帰る。

 帰宅後、このビニールに酒を一振り。ビニールの空気を抜き、画像の撮影、整理、よしなしごとの準備のあいだ。たぶん1時間くらいだろうか、寝かせる。これを唐墨とともに日陰に干す。

 帰宅はやや遅くなったが、ベランダに出るとやや強い干し加減だがうまそうな干物が出来上がっている。唐墨は指で硬さのムラを矯正。えん蒸のためにビニール袋に仕舞い込む。

 風呂から上がって、宮崎の「八重桜」麦を水割りにして、飲みながら干物を焼く。
 ヤリイカの身は干しても、軟らかく、そして旨味はほどほどながら甘味が強い。

 子供達は既に夢の中へ。お父さんは酒は静かに飲むべかりけれ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヤリイカへ
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 暖冬で干物の季節がどんどん遅くなって、また短くなってきてもいる。とうとう今年の干物時期は11月に突入してからという異常事態となる。

 やはりこの明らかに人為的な温暖化は不気味である。ボクはちょっと極端かもしれないけど石油をいかに使わないか、また過度な肉食志向を矯正する、ゴルフ場開発、ゴルフ場自体などの激しい自然破壊を国内で厳しく取り締まる、ついでに雑木林や自然林を公共事業として増やしていく、そんなことを目差す政党を応援したいな。今のところ民主党も含めて自然破壊者だらけの政治家でこの国の未来が危うい。
*石油は世界中で戦争を起こしてもいる。

 さて、閑話休題。
 やっと季節到来したわけだからせっせと干物作りに励む。今回は最近入荷が増えているウマヅラハギ。この魚、一時はとれすぎて伊豆などに干物街道ができてしまったほどだから、干物はうまいに決まっている。

 ウマヅラハギは、まずは頭を落として皮を剥ぐところから始める。内臓をきれいに取り去って、3枚に下ろす。ここに振り塩、ビニール袋に入れて、酒を少々入れる。これをひと晩寝かす。
 立て塩という手もあるがこれはよほど量がある場合にのみ使う。またボクとしては立て塩よりも半立て塩の方が家庭向きだと思っている。この方法論は徐々に書いていく。

 これを晴れ上がった11月の日に干し上げる。干し加減は好みであって、勝手気ままでいい。でも最低限、表面はからっと干し上げておくべきだ。

 ウマヅラハギは酒を使った方が味わい的によいようだ。酒のコハク酸などとウマヅラハギの淡白すぎる身質とがよく合う。それに焼いたときに焦げ目がきれいである。
 このホロホロと甘味のある身の味わいはいかに表現すべきか、難しい。ただ2枚、3枚焼いても不思議なくらい皿の上での滞在期間の短い干物である。

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 干物というと酒の肴と思いがちだが、我が家では子供が真っ先に食べてしまう。どうやら干物の香ばしさが、子供にも魅力的であるようだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ウマヅラハギへ
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 このところ東北からアオリイカがまとまって入荷している。1匹300グラムほどの小振りのもの。これを八王子総合卸売センター『総市』でもみつけて、ほとんど捨て値の700円(キロあたり)だ。
 さて、アオリイカに3種類あることはかなり前から判明していて、今回まとまって入荷してきているのは、いちばん北方域、例えば北海道南部とか三陸であがる「あかいか型」と言われるものだ。
 見てすぐにアオリイカだと思えるのは「しろいか型」であって、このややくすんだ赤みのあるものは一見、それらしく思えない。今回のものも荷の作りから明らかに福島県など三陸産なのであり、色合いのためと、「アオリは夏のもの」という思い込みから値段が劇的に安いようなのだ。

 これを6ぱいほど買って『総市 水産部 部長』のミノルちゃんがオマケしてくれて代金750円なり。その場で慌ただしく開く。このときいかにイカをきれいに掃除するかが最大の課題。

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 持ち帰ったらゲソはいきなり湯引きしておでんに放り込む。そして肝心の胴体は塩と酒で味つけ。ビニール袋でひと晩寝かす。これを晴れ上がった風の通るベランダに干す。半日ほども干して、やや乾き加減にして出来上がり。

 後は焼くだけだから我が家の太郎に申しつける。酒をなぜ入れたかは焼いてみるとわかる。塩だけよりも焼き色と風味がいいのだ。

 これを肴にいっぱいと言いたいところだが、酒飲みのボクよりも子供達が焼き上がりを待っている。それもマヨネーズを持って。
 さすがにアオリイカは肉厚だし、身に旨味がたっぷりある。これほどうまい干物はあるまいよ、なんて考えていると目の前の皿が空っぽになる。

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 太郎が「今度は父ちゃん焼いてよ」と命令するので、2はい、3ばいと焼き役に回っていたらすっかりアオリの干物は無くなってしまっていた。残念だな。
 仕方なくおでんの鍋を覗くと、こちらもすっかり空っぽである。家人曰く、「げそからいい出汁が出ていて、おいしかった」そうである。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アオリイカへ
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八王子市場案内
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