寿岳章子さんの本で思い出したのが、「忠七飯」。これは秩父の入り口にあたる埼玉県小川町割烹旅館二葉の名物だ。幕末から明治に活躍した山岡鉄舟の旧領のあったところであるということで、その縁の話もあるが置いておく。確か値段は1350円だっけ、卵焼きやお新香もついてなかなかこぎれいな作り。細川和紙で有名な古い町にあってこれはなかなか見事なもの。ただ「飯」とついている割には姫好み。
飯とはあるが出汁仕立てのお茶漬け。出汁はかなり上品なもので酒塩。それにワサビ、ネギやゆずの薬味。お新香に浜納豆があるのは山岡鉄舟が静岡と関わったことによるのだろうか? この忠七飯の最大の特徴はご飯にたっぷり海苔が混ぜ込んでいるところ。ご飯の熱ですでに海苔の香りが立っているのに、淡いかつお節のだし。思わずかき込むがたまらなくうまい。もっと男性的に薬味とご飯がもっと多いとうれしいなと思う。これでは蛇の生殺しだ。
割烹旅館二葉
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