食べる海藻学: 2007年5月アーカイブ

kaisou0705.jpg

 千葉県銚子市には「のげのり(フクロフノリ)」「コトジツノマタ」など独特の海藻料理がある。なかでも魚屋やスーパーなどで普通に見られる銚子ならではのものが「海草」である。この「かいそう」は「けいそう」とも発音されるし、漢字では「海藻」とも書かれる。
 原料はコトジツノマタであるという。見た目は幅広の羊羹のようだが、取りだしてみると厚さが5ミリほどの板状が2枚重なっている。これをからし醤油とカツオ節で食べるのだ。
 この紅藻類の容易に溶けて、また固まるという性質を利用しているものに福岡市の「おきゅーと」、新潟県の「えごねり」などがあるが、所変われば原料変わるといった楽しさがある。また銚子から利根川を挟んだ波崎(現神栖市)にも同じ名の食品があるという。これも改めて買い求めに行く必要がありそうだ。
 銚子の「海草」の食感はまるで硬めの水ようかんのようだ。そこに海藻のもつ甘味と、旨味があって、磯の香りがふわーっと広がる。これは毎朝の食卓に欠かせぬもの、まことにボクの琴線に触れる美味である。
●このような海藻を固めた食品を集めている。情報を求む。

山田海草店 千葉県銚子市西小川町1040
参考サイト/海藻・海草標本図鑑
http://www-es.s.chiba-u.ac.jp/kominato/teusi/zatudan/choshi_kaisou/kaisou.htm


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 天草のノリさんにいただいたものに「乾燥めかぶ」というものがあった。生のめかぶ(ワカメの成長点)はよく食べるのだが、乾物はめったに利用しない。まあとりあえず水で戻し、刻んで熱湯に通してみた。

MEKABU070511.jpg

これが乾燥めかぶ

MEKABU070522.jpg

30分でこんなに膨らむ

 水でもどして30分ほど、みるみる大きく膨らんで3倍以上になる。この状態ですでに見事に緑鮮やかで、ここで疑問が湧いてくる。これは茹でて干したものなのか、生を干したものなのか。めかぶは生の状態では濃い褐色であり、水でもどしただけなのに緑がこんなに鮮やかなのは、きっと茹でて干したのだろう。気になってラベルにあった『サンパール上天草物産館』に問い合わせてみる。
 すると、これは「生のまま干したもので、約5分ほど水で戻し、茹でて食べる」のだという。30分ももどしてしまったのはどうやら間違いだったらしい、それでも今となっては遅い。とにかく茹でて刻んでみる。
 これが戻しすぎなのかもしれないが、まったく味わいに影響はない模様だ。非常に美味。むしろ生よりも硬く感じたので、戻し時間自体は長くても大丈夫のようだ。

 さて、昨今食品売り場には湯通ししたものや、味付けしたカップ詰めなどの「めかぶ製品」が目立つ。どれもお便利ではあるが、どうも味わいは「生」「乾燥」はほとんど味が変わらない。そして「湯通しパック」はやや落ちる。どうやら生のある時期は「生」、ない時期には多少手間がかかるが、「乾燥」を戻して使うのがいいようだ。

 乾物大好きなものだから、このように定番乾物が増えるのはうれしい。天草のノリさんに感謝。

MEKABU070533.jpg

これは刻んで三杯酢

市場魚貝類図鑑のワカメへ
http://www.zukan-bouz.com/kaisou/kassou/tigaiso/wakame.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、2007年5月以降に書かれたブログ記事のうち食べる海藻学カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは食べる海藻学: 2007年4月です。

次のアーカイブは食べる海藻学: 2008年2月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。