食べる海藻学: 2008年2月アーカイブ

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 一昨年の春のこと、千葉県立博物館海の博物館での海藻採取会でフサイワヅタという、うまそうな海藻を採取した。海藻学者の菊地則雄さんを囲んでの同定のとき、「これは食べると沖縄のクビレヅタに似た味がするんです」と教わって、きっとこの国のどこかで食用にしているに違いないと考えていた。

 そんなとき熊本県水産課の長山さんに情報をいただき、天草郡苓北町にある天草漁協苓北支所(れいほく)支所長角岡さんを紹介していただく。
 角岡さんは船の碇ロープなどにつくフサイワズタを見つけて、沖縄の「海ぶどう(クビレヅタ)」に負けないくらいにうまいということに気づく。それで「海ぶどう」として商品化を進めているのだ。

 この苓北町のフサイワヅタが非常にうまい。一緒に試食した寿司職人の『市場寿司 たか』渡辺隆之さん(以後たかさん)によると、微かに梅干しのような風味があって、やめられないほどにうまいんだとのこと。確かに明らかに沖縄の「海ぶどう」よりも酸味があるようにも感じられる。
 たかさんに握りにしてもらい、これがなかなか面白い。またレタスや玉ねぎなどとサラダにしても美味だ。
 
 非常に美味な海藻なので、これは食に感心のある向きには見逃せないもののひとつだろう。旬は1月から春にかけて、いちど食べてみて欲しい。

 ここで最後に気になったことを挙げておきたい。
 苓北支所の角岡さんたちは、このフサイワヅタを「海ぶどう」として出荷している。これでは沖縄のクビレヅタと混同されるおそれがある。できればオリジナルの商品名をつける方が最善策だろう。
 ボクの勝手な思いつきだが、「藤の花藻」、「ふじのはな藻」、「五十鈴藻」なんてどうだろう。要するに海藻の茎の部分にマスカット状の総が着いているというのを、和的に表現できれば和食などで活用しやすい。

 蛇足になるが、この国では年々海藻の食文化を消失していっている。食べる海藻の種類が減っているのだ。ガンなど、都会的な生活からくる病気が増えているに関わらず、その予防に効果がある海藻を食べないというのは大きな問題である。もっと多種類の海藻を食べる努力をもっとするべきではないかねー?

天草漁業協同組合苓北支所
熊本県天草郡苓北町富岡3028-4

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、フサイワヅタへ
http://www.zukan-bouz.com/kaisou/ryokusou/fusaiwazuta.html


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