春は海藻がもっとも多種類出回る時期。例えば暮れになるとアマノリの仲間が「岩のり」としてとれはじめ、ハバノリもつまれる。年が明けるとヒジキ、ワカメ、アラメ、トサカノリなど数え切れないほどの種類にのぼる。
ここで古典を紐解くと必ず出てくるのがホンダワラとミル。ミルを今でも食べるという地域はまだ行き着いていないのだが、その昔の「なのりそ」と呼ばれたホンダワラを食べている地域にやっとたどりつけた。
場所は島根県隠岐郡知夫里島知夫村である。隠岐四島のなかでもっとも小さな島、知夫里島に「野大根の会」という主婦の集まりがあって、その方達に分けて頂いたのが「神馬草(神葉草)」。これが一抱えもあるような角材状で丸々一キロある。
地元では水でもどしてみそ汁に、さっと湯がいて酢の物、みそ漬けなどにしている。
我が家に帰り着いて、ホンダワラ料理にあれこれ、挑戦してみた。
まずは毎日食べているみそ汁に入れてみる。水でもどす時間は思ったよりも短時間でよく10分ほどもつけておくと後は出しの中に入れるだけ。
ホンダワラの特徴は香りよりも、シャキっとした歯触りと、食べたときの甘味・旨味。ワカメほどに旨味はないものの、この歯触りのよさに驚く。
酢の物にするときは水でもどして熱湯でかるくゆでる。これは明らかにワカメよりもうまい。なんといっても合わせ酢のなかでシャキシャキした感触がなんともいえない。ときどきプチっと気泡に行き当たるのもいい。
我が家ならではの料理をやってみたくなって、毎日食べても飽きの来ない湯豆腐の副材料に使ってみた。昆布だしに酒塩というのが我が家の湯豆腐の基本だが、ここでホンダワラをゆらゆらさせて、ぽん酢でいただく。これはまさに絶品だ。シャキっとした歯触りが、豆腐を主役から引きずりおろしてしまった。
天ぷらにする。最近では青海苔(ヒトエグサ、スジアオノリ)などの天ぷらが人気となっているが、香りこそ及ばないものの、味わいはホンダワラの方が上ではないかと思われる。
さて、ホンダワラは日常的にあってとても重宝極まりないものである。最近ではダイエットとか、美容とか、はたまた健康なんてマスコミではかまびすしい。でもそのどこにも海藻が登場してこないのはなぜなんだろう。たぶん人口的に作り出した商品ほどに「儲からない」ためではないか? この人口的な商品、はたまた薬などの何十倍も健康にも美容にもいい海藻をもっと見直した方がいい。
例えば、栄養をサプリメントで補うなんて愚かしいとしかいいようがない。むしろ食べて、味わって、楽しめる海藻でミネラル、鉄分などを補給するべきだし、消化できない食物繊維を大量に含む海藻は自然界にある優秀なダイエット食品なのだ。
最後に、最近疑問に思うのはこれだけ海藻を食べているボクの体重が一向に減らないことだ。
問い合わせ
知夫村野大根の会 電話08514-8-2437
JFしまね
http://www.jf-shimane.or.jp/
島根県庁
http://www.pref.shimane.lg.jp/
島根県水産課
http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ホンダワラへ
http://www.zukan-bouz.com/kaisou/kassou/hondawara/hondawara.html
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