岡山県の児島湾が埋め立てられたのは高度成長期、それまでは有明海に匹敵するほどの広大な干潟があり、豊かな海の幸がとれていた。その児島湾も見る影もない。その埋め立てで失ったものは限りなく大きく、その名残のようなものを見に行きたいと常々思っていて果たせない。
その豊かだった児島湾で「鎮台貝(ちんだいがい 明治時代の兵隊)」と親しみを込めて呼ばれていたのがアゲマキである。そのアゲマキもたぶん児島湾からは姿を消して、日本で最後に残っている地が有明海である。でもその有明海でも汚染、干拓、最近で諫早湾干拓などによって、ほとんどとれなくなってしまっている。この国でのアゲマキの住処はほとんど残っていないのだ。
市場ではアゲマキの入荷が最盛期を迎えている。だたし入荷量は少なく、国産のものは皆無。見かける荷の総てが韓国産となっている。
箱に書かれている「韓国産」の文字に遠く韓国のセマングムを思うのだ。セマングムは韓国でも最大の干潟。また最大のアゲマキの産地でもある。
そのセマングムで巨大な埋め立て計画が進んでいる。海鳥や水産生物の宝庫、セマングムも児島湾のごとく干潟を消滅してしまいそうなのだ。
比較的ありふれたアゲマキという二枚貝が、無秩序な自然破壊によって国内から消滅しようとして、その味覚を韓国に求めたのが、こんどは彼の地でまた危うい状態になってしまいそうだ。
有明海も児島湾も元の状態に戻すべきだと思っている。例えばこの国の人口の減少も自然には薬だろう。また目先のことでは諫早湾の干拓は即時中止、もとの状態に戻すことは出来るだろう。
そしてよその国ではあるが、韓国はセマングムの豊かな自然をこのままにして置いてくれないのだろうか? 韓国までこの国の二の舞になる必要はない。
子供の頃、21世紀と言えば「明るい未来」があると思っていた。そろそろこの資本主義社会に生きる人も、お金のことじゃなく、自分の生きている意味合いを考えて自然に接してもらえないだろうか。そこにこそ明るい21世紀があるはずなのだ。私、まさに肥満体ヨレヨレオヤジながら激しい憤りを伴い思うのである。
荷の前を通るたびにこんなこの国の歴史を思い、また韓国での今を思う日々が続く。
JAWAN 日本湿地ネットワーク
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市場魚貝類図鑑のアゲマキへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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