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ホヤ雑煮を作る

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やっと本日、仕事が一段落ついた。
今年はまことに慌ただしかった。
それじゃ、明日からは暇かというと、また新しい仕事を開始するのだ。
それでも正月間近。
ちょっとは年越し気分になろうではないか、ということでお雑煮を毎日作ることにした。

本日は宮城県のもの。
『ごっつぉうさんー伝えたい宮城の郷土食』(みやぎの食を伝える会編著 河北新報出版センター)に「ほや雑煮」というものがのっている。
マボヤを焼き干しにし、これでだしを取り、新春の雑煮にするものだ。
焼き干しにしたホヤって売っているんだろうか?
いろいろ、ネットでも探したが見つからない。
それならばと本の通りに作ってみた。

ホヤを二つ割りにして振り塩、炭火で焼き、干すこと10日。
この焼き干しのホヤを半日水につけて、ことこと煮始めてから材料を買い出しに。
宮城県石巻の雑煮は野菜がたっぷり。
この具だくさんで、ホヤの苦みが、なんとも酒浸りの年末年始のなまった身体に活力をもたらしてくれる。
しかも焼き干しにして、もどしたホヤがこんなにうまいなんて、大発見。

かちんかちんだった焼き干しのホヤが、硬くもなく柔らかくもなく、ほろほろと口の中で崩れながら、ほどよい甘みと、旨み、苦みを口の中に満たす。
まったく新しい、未知の味との遭遇だ。

今回の焼き干しのホヤは12月の痩せてしぼんだマボヤで作った。
本来は、いちばん旨みの乗った膨らみのあるもので作るのだという。
今年の夏が待ち遠しい。

材料(2人前)
焼き干しホヤ7個、水400㏄、干しズイキ、ゴボウ、金時ニンジン、もやし、高野豆腐、大根、芹、角餅2個。
作り方
1 焼き干しホヤは約半日水にひたす。火をつけてことことと30分前後煮る。ズイキは水で戻す、高野豆腐も水で戻して適当に切る。

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2 ホヤの鍋に酒、醤油で吸い物加減に味付け。
3 野菜など加え煮えたら、芹を加え、焼いた角餅の入った椀によそおう。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マボヤへ



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わかりやすい料理というのがある。
フレンチ、イタリアンなどで生クリーム、バターなどをたっぷり使う料理。
今までさけてきた、こんな料理を作ってみようと思う。
近所のスーパーにはいつも生パスタを置いている。
ほうれん草やニンジンなどを練り込んだものもあるが、もっともスタンダードなものを選ぶ。
市場で岩手県産の瓶入りキタムラサキウニ。
バターに生クリームを用意する。

フェットチーネのゆで時間は3分ほど。
予め生クリームなどを用意しておき。
ゆであがりを混ぜ合わせる。
ただこれだけなので、誰にでも作れる。
技がいらない。
こてこての成金的な料理なのだけど、足し算的なうまさがある。

これは夕食用だろうか?
朝からこんなものを食べたらだめかな?
いやいや、健康のことを考えると、むしろ夜に食べてはいかんのだろう。
脂肪、糖質がたっぷりだから、できれば朝から食べて欲しい豪華な一品だろう。

材料
ウニ40グラム、生クリーム大さじ2、バター15グラム、コショウ適宜
生パスタ(フェットチーネ)1人前、ブロッコリー適宜、イタリアンパセリ適宜
作り方
1 ボウルにバター、生クリーム、ウニ、コショウを入れて混ぜ合わせておく。
2 沸騰した湯に吸い物よりもやや薄味の塩味をつけ、フィットチーネ、ブロッコリーを入れて3分ほどゆでる。
3 ゆであがったら、ゆで汁をあまり切らないでボウルに移し、混ぜ合わせる。

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ナマコは冬の味

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多摩地区の冬はきびしい。
八王子での市場歩きも寒さに震えながら、手をポケットに入れて、ついつい猫背になってしまう。
寒ければ寒いほど食べたくなるもの。
普通は鍋物をはじめ汁ものということになろうか?
ところがそこに例外がひとつ。
それがナマコだ。

独特のナマコの渋みや旨みを身体が欲しているような。
なんとなく市場で買ってしまうのである。
マナマコの調理は簡単至極。
あっという間に出来上がる。

これを皿に盛り、橙(だいだい)をかけ、生醤油で食べるのがうまい。
なぜか大根おろしが合うのだけど、これがどうしてなのかわからない。
もちろん合わせるのは日本酒。
焼酎、ウイスキー、ダメなのである。
ビールもダメ。
日本酒でなくてはナマコは食べられない。

作り方
1 ボウルにナマコを入れて、振り、身を硬く締める。

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2 ナマコの口と肛門を切り取る。

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3 真ん中から割り、内臓を取る。腸は内容物をしごきだし、適当に切る。

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4 内側の軟骨、皮をむき、約3ミリ幅くらいに切る。

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5  皿に盛り、大根おろしを添え、橙を搾る。適当に醤油をかけて食べる 。

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小振りだけど、見事な天然のマボヤをみつけた。
「産地どこ?」
「箱入れ替えたからわかんなくなっちまった」
青森県か、岩手県あたりだろう。

2個200円で買って買える。
実は買って帰るとすぐに料理(食べられる状態)にしてしまう。
ようするに殻から取り出して、マボヤが含んでいる海水に切って漬け込んでおくだけ。

深夜帰宅して、これで軽く一合。
というのが、いいのだよ。
小皿にとるだけなのだから、簡単しごく。
味付けは少量の塩と海老名の海老さんにいただいた柚。
個人的な意見だがマボヤにしょうゆは合わない。

マボヤの苦み渋みが、まことにさわやかだ。
やや甘口の近所のコンビニで買ったワンカップがうまいね。
酒を含むとマボヤの甘みがフンワリと浮き立ってくる。
この加賀鳶、石川県に旅しても決して手を出さない酒だけど、意外に面白い酒かも知れぬ。

マボヤの食べ方
1 岩などにくっついている方を切る。海水が出てくるのでボウルなどに受ける。

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2 中の黒い部分などを取り、筋肉を刻む。
3 これをマボヤ自体から出た水分に漬け込む。この時点で味を見て、少量の塩を足してもいい。

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後は冷蔵庫などで保存する。

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 市場でときどきだがエボヤが手に入る。
 2、3個見つかったら「やったー」と手放しに喜べる。
 1個くらいなら1週間に一回くらいは見つかるかな?
 エボヤは買うのではなく見つけるのだ、というのがわかっていただけただろうか?
 さて、エボヤを探すなら、天然もののマボヤとか、イワガキの回りを見る。
 マボヤにはコベルトフネガイとかキヌマトイガイなんかが五月蠅くくっついていて、それから環形動物、小さな甲殻類とか、マボヤの赤ちゃん、シロボヤにエボヤ。
 なかでもうまいのがコベルトフネガイとエボヤ。
 エボヤのうまさは群を抜いていると思う。

 ゆでると少し赤くなるのはカニやエビと同様に赤い色素(アスタキサンチン)があるようだ。
 これを皮ごと囓る。
 プツっと皮がはじけて、濃厚なうまいエキスが飛び出してくる。
 塩気が強く、旨辛いのが舌に殷々と残る。
 次に皮を切り、中身までしゃぶるんだけど、赤いレンガ色の身はホヤそのものの味がする。

 シロボヤも同じような味がするのだけど、中身が少ない。
 エボヤ、シロボヤといえば水産の世界では有害種となっている。
 でも被害を受けているマボヤなんかよりも、こっちの方が味からして上だと思うんだけどね。

2008年3月13日
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 宮城県、岩手県と地震が続いて、東北の夏は大変なのだ。
 中国でも大地震があって、なんだかイヤな予感がするな。
 オリンピックなんてやってる場合かね。

 さて、閑話休題。
 今回の主役はキタムラサキウニである。
 産地は宮城県石巻のもの。
 石巻は地震の被害は少なかったようで一安心。
 ウニの産地からも、いろいろ考えることがある。
 だからやっぱり産地の情報は大切なのだ。

 1個300円なので大きめのもの、持ち重りのするものを選ぶ。
 これを3個買い求めてくる。
 2個はそのまま生で、これがなんとも美味であった。
 そう言えばウニには白ワインが合う。

 最後の一個は殻を割り、身を片身に詰め込んで、ちょっと戯れにバーナーであぶる。
 焦げ目がついてなかなかうまそうな代物が出来上がった。

 さて、そのお味はと言うと、いきなり半分ほども舌にのせつぶし食べてみる。
 意外に見た目ほどに味がぐっと濃くなったわけでも、甘くなったわけでもない。
 香ばしさもあまり感じない。いや少しだけ味が濃くなったようにも思える。
 それでこんどはじっくりと舌の上にのせて、転がして、味を確かめる。
 やっぱり生よりも旨味は濃くなっているし、熱を通したための旨味の変化がある。
 焼きウニはゆっくり目をつぶって味わうもののようだ。

 さてキタムラサキウニは夏が旬である。
 8月も三陸から北海道から入荷は絶えないだろう。
 懐が暖かければ、酒の肴に一、二個はりこんでみてはいかがだろう。
 ペットボトルの飲み物を節約して、二日で一個は楽しめる。
 ちなみに本日の酒は滋賀県の「琵琶の長寿 純米酒」。
 日本酒には焼いた方がより相性がいいようだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、キタムラサキウニ
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 食用ウニの代表格はエゾバフンウニとキタムラサキウニ、ついでバフンウニ、ムラサキウニも加わるが少ない。
 もっと正確を期すならば、全体量からすると、この国産ものよりも輸入ものの方が多いのかも知れない。
 ただ、今回はこのような難しい問題は省くとして、国内のウニのほとんどが北でとれていて、西南部では少ないというのはわかっていただけただろうか?
 西南部というか、本中部以南といういたって曖昧に表現される生息域にいるのがアカウニなのだ。
 これはあまり東京などにはこない。
 築地場内では初夏になるとよく見かけるものであるが、場内数ある仲卸店舗でも一軒か二軒の店先で見るのみ、というもの。
 北海道などのエゾバフンウニと比べて、入荷しても“ひっそりと”したもの。
 
 さて、このアカウニを名古屋の柳橋市場で見つけて思わず買ってしまった。
 これが“アカウニの今期初買い”である。
 買った仲買がぶっきらぼうで、まことに粗っぽかった。
「氷くれますか」というとアカウニをビニールに放り込み、そこに氷をザラリと入れた。
 おかげで後々、ひどいめにあってしまった。
 値段はキロ当たり2500円。

 昨年のアカウニ食べ納めが10月だった。
 やっと持ち帰って割り、そのやや薄い黄色の精巣を見て、思わず、つまみ食い。
 エゾバフンウニの濃厚さはない。
 キタムラサキウニよりも旨味が薄い。
 むしろ一個全部を、手でほじくりながら食いきっても、もの足りないほどに感じる。

 これが酒のアテにすると、ちょっと変身する。
 一片か二片口に放り込んで酒を含むと、ふわっとウニの味わいが浮き上がってくるのだ。
 アカウニを食らうなら、ワインならシャブリ、日本酒なら山形の東北泉とか静岡の磯自慢がいい。
 そんなことを思いながら、隠岐の「高正宗」を口に含むと、これでもいいのかな、と思うのであった。
 五十路になるとストライクゾーンが広がるのだ。

 さて、野甘草の花も、オオケタデの花房も、猛暑の中で元気がない。
 どうやら梅雨はあけたらしい。
 毎年のことだが、気象庁よりも、人の感覚の方が季節の移り変わりに対しては敏感なのだ。
 夏真っ盛りとなった、きっと築地場内にもアカウニが並んでいるに違いない。

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 鳥取県岩美町の『浜勝商店』で仰天するものを発見した。それが「じいぼ」である。
 見た目からすると刺胞動物であり、イソギンチャク目であるのはわかるが、当然種名は見当がつかない。
 これを見せてくれたのが『浜勝商店』の奥さん、浜田末子さんなのだけど、
「最近少なくなりましてね。なかなか手に入らないんです」
 生きているのを見せてもらったとき、事務をやっておられた女性が、「ゆでたのがあります」というので、なんとも厚かましく食べさせていただく。

 なんとも表現のしようのないものではあるが、味わいの傾向は食品としてのクラゲがかたまり状となっていて、そこに魚のワタ(肝)が加わっているのだけど、魚の肝よりもクセがない。3,4個食べる分にはうまいと思えるものだけど、やはり塩ゆでのままでは、あまり箸の進まないもの。

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ゆでただけのもの。クセがなく、決して珍味というようなものではない

 これを浜田末子さんが大根とからめて、酢を加えて出してくれる。これは大根と酢の爽やかさと、「じいぼ(じーぼ)」の濃厚な味わいと、コリコリとした食感で絶品となっている。

「これは漁師さんなんかは、魚を煮た汁で、たくんです」
 十九百さん(港を案内していただくなど、今回非常にお世話になった)のやり方が隠岐、鳥取などでの一般的なものであるようだ。
 また家庭では「白はた(ハタハタ)」とともに煮つけにする。
 そこで『浜勝商店』に「白はた(ハタハタ)」を分けて頂き、岩美町観光課の川上寿郎さんが自宅の持ち帰る。

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「白はた」と「じいぼ」の煮つけは岩美町の家庭料理?

 出来上がったのが見事としかいいようのないもの。
 ハタハタの煮つけがうまいのは当たり前だけど、その汁が「じいぼ」に相乗効果をもたらせて、非常に美味な一皿になっている。
 これなら酒の肴だけではなく、ご飯にも合う。このようにして岩美町では一般家庭でも食べられていたのかと思うと驚きが大きい。
●浜勝商店のみなさま、川上寿郎さんに感謝いたします。

鳥取市岩美町浜勝商店
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鳥取県岩美郡岩美町
http://www.iwami.gr.jp/

仮称だが図鑑に掲載した
シロジーボ
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アカジーボ
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弁当箱と大箱

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 市場で「弁当箱」「大箱」というとなんだと思うかな。たぶん魚に興味のない、市場を歩いたことのない人には想像もつかないだろう。
 ここで先日、大都魚類の下田さんとの会話を再現してみよう。
「最近、安いのはロシア産が大量に来ているから。それで大箱があんなに安い。弁当箱だったら千円台ということもあるな」
 ロシアからの輸入が増えていて値崩れしている。そして大箱の方が高級で、弁当箱の方が安い。
 これがウニのことなのである。

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これが大箱、色合いが黄色く北海道産なのでキタムラサキウニかな?

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これが弁当箱。色合いがやや赤っぽいのでエゾバフンウニ

 ウニは世界中から輸入されている。それを北海道などで丁寧に並べられて入荷してくる。その原材料はアメリカ、カナダ、チリ、中国などもあるが、今もっとも大量に輸出してきているのがロシアなのだ。カナダ、アメリカのグリーンというバフンウニの仲間、チリウニ、これは国産のとは種が違っている。そこにロシアの強みは北海道などでとれるエゾバフンウニ、キタムラサキウニが豊富に棲息すると言うことだ。
「売れるものは売る」という資本主義の原則にのっとり、ロシアから大量にくるウニ。これがウニの価格を大幅に下げているのだ。
「でも下がっているのはだいたい60点(品質の度合い)以下のもの。いいものはやはり高くて、大箱で12000円はくだらない」
 と下田さんは語る。

 これでは北海道の漁師さんは困っているだろう。

 でも、これを築地や市場歩きが好きな人には朗報ととらえて欲しい。
 大箱というのは縁のあるまな板上の箱に丁寧に一葉一葉並べられて、それは芸術品のように作り込まれたもの。弁当箱というのは幕の内弁当の経木の箱を小振りにしたもの、これにバラバラにウニが入っている。当然、大箱は見事であるが、値も高い。庶民は弁当箱でも充分。
「大箱だって3000円くらいからあるぞ、5000円もだせば一級品だよ。弁当箱がいくら1500円だって、たまに買うなら大箱がいいだろ」
 八王子綜合卸売センター高野水産の社長は吠えてくれる。まあ最安値かもしれない今だから、ウニを飽食するのも一興だろう。

 例えば1500円(これはもっとも安いもの。平均2000円前後か?)の弁当箱を買う。これが300グラムとして炊きたてのご飯に150グラムのせる。てっぺんにはわさび、そこに好みで醤油を垂らして、フカフカとかき込む。こんなこと北海道を旅しても出来ることではない。それが八王子でも築地でも、市場に行けば可能なのである。

市場魚貝類図鑑のキタムラサキウニ
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市場魚貝類図鑑のエゾバフンウニ
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 岐阜県にある「ヤマ食」の莫久来といえば今や珍味では横綱クラス。ちょっと気の利いた居酒屋には必ずと言っていいほど置いてあって、日本酒好きを気取るヤカラが「一四代」や「田酒」あたりと合わせて注文するとしたら「いかにも」といった光景となる。
 この「いかにも」がいい年をしたオヤジには耐え難いものなのだけれど、マボヤとこのわた(マナマコの腸の塩辛)との取り合わせの妙には脱帽せざる終えないのだ。驚くことにはこのわた、マボヤともに渋みと苦みのなかに旨味と甘味が混沌とあるわけだけれど、その四方からくる味わいが少しずつ、当たり前だけど違っている。でもこれを合わせて、そのバラバラの味覚がすーっと良い方に変化するなどダレが知るものか。しかし「ヤマ食」は偉い。
 この莫久来の瓶詰めは八王子の食材屋にもあって、なんどか買ってしまっているが1びん3000円近くする高級品。しかも業務用だから量的にも持てあますほどである。
 じゃあ、マボヤもこのわたもすぐ手に入るものなんだから自分で楽しむ分は自家製するべし、と我が家ではマボヤ一個分をそのつど作っている。本来合わせて熟成とかプロならではの技があるのかも知れないが、この簡便な肴がなんともうまい。
 そして久しぶりにマボヤを一個買い、今回は広島県倉橋島の「日美丸」さんにいただいた、このこ(マナマコの卵巣の塩辛)を合わせてみた。酒は静岡県島田市の銘酒「おんな泣かせ」である。このわたで作るものと比べると複雑で濃厚な旨味は感じられないが、その分あっさりとして上品である。また甘く感じるのはコハク酸由来だろうか、まろみがある。このところ久しく酒がうまいとは感じなかったのが、これで飲(や)る酒は甘露であった。
「日美丸」さんの瀬戸内海では真っ白なマボヤがとれる、これにこのこを合わせると純粋に瀬戸の味わいが出来そうで、これも羨ましいではないか。

広島県倉橋島「日美丸」へ
http://ww5.enjoy.ne.jp/~kogera0401/


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