食べるエビ・カニ学: 2008年2月アーカイブ

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 ズワイガニが発見され種として記載されたのは江戸時代だが、漁業対象として再発見されたの明治大正期である。また漁場が見つかって食用となり始めたのは昭和であり、戦前のこと。だから「松葉がに」とか「越前がに」とかいう呼び名もそんなに古いものではない。
 ズワイガニの本場はテレビなどでは福井、兵庫、鳥取と見なされている。これはまったくこまった誤解であって、新潟、富山、石川、飛んで飛んで島根でもとれる。

 例えば島根などとれる量も少なくないわけだし、「松葉がに」と呼ぶのは鳥取だけの専売特許ではない。
 冬の山陰の味覚では王様ともいえる「松葉がに」、その産地から島根がはずれたわけは簡単な理由による。
 なぜなら島根での「松葉がに」の水揚げ港は境港なのである。市場関係者にはもっと地理のお勉強をしていただきたい。
 例えば、この巨大な港の水揚げされる水産物の実体を知らない人が、「境港」であがったというと、それは単純に言えば「鳥取県の港で水揚げされたもの」であるから鳥取産となる。でも漁獲したのは島根県隠岐諸島周辺、隠岐だったら、島根産ではないか。
 ここまで書いたらわかってもらえると思うが島根県は「松葉かに」の一大産地なのだ。

 そして1月に八王子総合卸売センター『高野水産』で見つけたズワイガニ(松葉がに)の足に付いていたのが「島根県・隠岐」のタグ。実をいうと本日、築地荷受けでいかに産地表示の重要性がとわれる時代となったかを聞いてきたばかりだ。例えば境港(鳥取産)と取り引き先に告げて、実は島根の荷主だったら大手スーパーなどでは大問題になると言う。繰り返すが、この国に対して無関心な人が増えている割には産地表示には非常に神経質な時代となっているのだ。

 そしてそんな時代にあって、このタグの素晴らしいのは県名と水揚げした地域が並んでいることだ。こうすると島根県のとっても隠岐にとってもプラスになる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ズワイガニへ
http://www.zukan-bouz.com/kani/kumoganika/zuwaigani.html


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