食べるエビ・カニ学: 2008年5月アーカイブ

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 北海道茅部郡森町の上平水産から入荷してきたズワイガニのメス、どこか変。どうおかしいのかわからないままゆでてしまって、食べてしまってから、またまた謎が深まる。
 だいたい森町は内浦湾(噴火湾)に面していて、ここではズワイガニはとれないのだ。じゃ、内浦湾でとれるのはと、『新 北のさかなたち』を見ると内浦湾でオオズワイガニがとれること、産卵期が1月から5月であることが記載されている。

 それでは森町から来たメスガニはオオズワイガニなのか? 食べてしまって頭部の殻も残っていないので画像だけで判断する。オオズワイとズワイガニの区別は簡単にできる。ズワイガニでは口の上の部分がまっすぐで平ら、オオズワイガニはM字形なのだ。
 さて、どっちだろうね。荷のままに撮影したものを見るとちゃんとM字形をしていて、オオズワイガニであることが判明した。
 まったく我ながらそそっかしい。この時期に内浦湾産のメスガニが入荷した時点で「おかしい」と思うべきであった。そうすればオオズワイガニの雌のちゃんとした画像がとれたのだ。

 時季はずれのメスガニの味わいのことだけど、ほとんど身が入っていなかった。そのせいだろうか? 八王子魚市場で買い求めるとき、担当者が「みそ汁用です」と念を押したのだ。
 ただし少ないながら身はうまい。甲羅には内子はなく、外子はたぶん幼生が抜け落ちた後なのだろう、パサパサしている。1ぱい200円だから、これでも充分に楽しめたと満足するしかない。

 さて、次回、オオズワイの雌が入荷してくるのはいつだろう? このように漫然と荷を見たら「あきまへんなー」。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、オオズワイガニへ
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 ソース・ベシャメルを作るのはいたって簡単だ。材料が牛乳とバター(マーガリン なんと市場にはバターがないのだ)、小麦粉の3つだけなので、「なにを作ろうか、今夜は」というときに、とにかくソース・ベシャメルを作ってしまう。
 当然、今夜作るのはグラタンである。
 ソース・ベシャメルさえ作れば、あとはなんでもいい。サラミでもベーコンでも、イカでもエビでも、もしくはバターでソテー(ソーテ)した白身魚でもいい。たぶん、家庭料理の中でももっとも簡単で、夕食のメニューに行き詰まったときなどに重宝なのが、グラタンではないかと思っている。
 そして今回は、駿河湾での底引き網でとれたミノエビを使った。
 静岡県沼津の底引き網最終日(5月16日 正確には最終競り日)にミノエビをたっぷり持ち帰ったので、余ったものを塩ゆでして、殻を剥き、コライユ(みそ)とともに冷凍保存しておいた。
 駿河湾の新鮮なミノエビは9月までお預けだ。
 エビグラタンの秘訣は、エビだけではボリューム感に欠けるので、マッシュポテトか荒く潰(つぶ)したジャガイモを副材料にすることだ。エビが多ければ多いほどうまいと思うのは間違い。多すぎるとグラタンの味わいが濃厚になりすぎる。

 テフロンフライパンにマーガリン(バター)を溶かして、篩い(ふるい)にかけた小麦粉をくわえる。
 小麦粉をマーガリンで適度にいためて、そこに牛乳を少しずつ加えていく。
 だまにならないように、猛烈早くヘラを回して、滑らかなお団子になったら、また牛乳を加える。
 お団子になったら牛乳を加える、を繰り返す。
 お団子が、ゆるやかなクリーム状になり、そしてもっと、ゆるんだら塩コショウで味をととのえる。
 脇の沸騰したお湯に塩、乱切りしたひね男爵(昨年とれたジャガイモ。新じゃがはダメなのだ)を放り込む。
 ゆであがったジャガイモはあらく潰(つぶ)しておく。
 グラタン皿にマーガリンを塗り、適度に潰(つぶ)したジャガイモを薄く引く。
 ソース・ベシャメルを流し込み、ゆでたミノエビをのせる。
 ミノエビのコライユ(みそ)も出来る限り、のせるのがいい。
 そこに市販のとろけるチーズをのせる。
 最後にまたゆでたミノエビをのせて、オーブンで焼き上げる。

 さて、グラタンはお父さんのものではない。残念ながら、ボクは寂しく、サメガレイの煮つけをつついて、2皿分のグラタンの消えるのを見ているだけ。一度でいいから一さじくらい食べてみたいな。
 じゃあ、「作ればいいでしょ、自分のために」、と思われるかも知れないが、グラタンだけは家族に作る料理と決まっているのだ。
 
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ミノエビへ
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 関東では意外に食べないと言うものがあって、それが魚貝類のみそ汁なんである。
 魚貝類でだしが出そうなものを、適当に切って、水から煮立たせて、みそを溶くだけという単純極まりない料理であって、しかも滋味豊かなものとなる。これほど家庭料理としても、もしくは料理屋料理としても、栄養学的にいっても、魚貝類をむだなく食べる点からしても優れたものなのに「わざわざ魚を買ってまでみそ汁作るかね?」なんて、ものの価値を知らぬヤカラが多すぎる。

 ボクは魚貝類を調べれば調べるほど、みそ汁の重要性を思い知るのである。
 さて、魚をみそ汁にするときには、ウロコを取り、内臓をだし、適当に切って、湯通しして、汚れを取り去る、なんて単純な料理の割に下準備が大変だったりする。これが甲殻類なら、至極簡単である。買い求めてきたら、とにかくぶつ切りにして放り込めばいい。

 今回の主役は岩手県からきたヒラツメガニ。外海に面した砂浜などに棲息するもので、千葉県では背中の門から「ホンダがに」、「Hがに」と呼ばれ、岩手県では「丸がに」となる。
 値段はワタリガニの仲間では小振りで、もっとも安く、今回のものでキロ当たり1000円(仲卸にて)しかしない。

 一日部屋にこもりっきりで、一人っきりのお昼ご飯。
 しかも時間がなく、それでもせめて美味しいものが食べたいので、みそ汁だけは贅沢に仕立てる。

 ヒラツメガニは包丁でガッシガッシと適当に切る。
 これを水、少量の味醂(みりん もしくは酒)とともに鍋に入れて、ガスの火をつける。
 沸騰してきたら、アクをひき、水溶きしたみそを加える。
 もう一度沸騰してきたら出来上がり。

 カニのみそ汁は、とにかく行儀悪く食べるに限る。
 器からはみ出したカニをシャブリ、殻を噛み砕き、身をすする。
 ヒラツメガニは殻が柔らかい。
 身には甘味があり、ミソにも濃厚な旨味がある。
 ときに汁をすするのだが、ここに濃厚な旨味が感じられて、おかずのような汁のようなものとなっている。
 すなわちみそは少な目なのに、汁の濃度が非常に濃くて、ひとすすりして白いご飯をかき込むとまさに絶品。

 みそ汁、残りご飯と、沢庵(たくわん)だけの昼飯だけど、腹が温まり、とても豊かで幸せな心持ちになる。
 午後からもがんばるぞー! とエネルギーが満ちてくるのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒラツメガニへ
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