2010年11月アーカイブ

朝方、午前7時半より、築地土曜会、午後から忘年会を行います。
オフ会でもありますので、どしどしご参加ください。
各地の産物、自慢の食品など持ち込み大歓迎です。

詳しくは土曜会掲示板へ



ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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小振りのマナガツオの入荷が続いている。
鮮度がよく、見栄えがいいのでつい買ってしまう。
ただし、あまりうまいものではない。
あれこれ料理してはじめて、うまい、というもの。
例えば姿のままカリっと揚げて、甘酢あんなどをかける。
そんなつもりで選んでいたら、八王子市小宮にある『スーパーイシカワ』さんが、
「これ味噌で煮るとうまいよ」
なんていう。
マナガツオをみそで煮つけるというのが、なんだが斬新に思える。

素直なのが取り柄なので、近所のスーパーで買い求めた大分県産麦みそと合わせてみた。
そこに脇役として柚を加える。
海老名の海老さんにいただいた、今年最後の柚がなんともいい香りだ。
剥いた皮を添えて、ことこと煮込む。
最後に柚の果汁を絞り込む。

麦みそのいいところは、煮込んでも、どこかしら軽みのあるところ。
どこかしら麦の香ばしさが浮かんでくることかな。
ここに柚の香りが立ち上がってくるのが麗しいのである。
爽やかついでに、これを朝ご飯のともにする。

さて、今回のマナガツオの産地がわからない。
買い求めた八王子総合卸売センター『高野水産』に問い合わせたら、「徳島、徳島だよ」。

材料
マナガツオ小振り2尾、柚1個、酒、砂糖、水、麦みそ適宜。
作り方
1 マナガツオは適当に切り、熱湯をかけて冷水に取り、あら熱をとって水分を拭き取っておく。
2 テフロンフライパンにマナガツオ、酒、砂糖、水、柚の皮小振りなら1個分を入れて火をつける。
3 沸騰したら少し火を弱めて、甘みを煮含めたら、酒で緩めた麦みそを控えめに加える。時々味見、みその量を加減する。ほどよく煮詰まったら出来上がり。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マナガツオへ



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毎日毎日パソコンとにらめっこしている。
たぶん1日あたり8時間。
それに加えて、毎日の撮影枚数が8ギガ近くなっている。
枚数にしてどれくらいだろうか1400枚前後だろう。
画像の整理が3〜4時間。
月曜日にはあまりに切羽詰まった状況だったので、市場にも足を向けなかった。
それに加えて、ミヤギタニである。
どうしてこんな時期に限って新しい文庫本が出るんじゃいな。

さて、ついでに魚のこと。
先週のなかばに小笠原から入荷してきたのがシロダイにホオアカクチビ。
オマケに着いてきたのがオジサンに、そして???
???を鹿児島の若潮さんと、うんうんうなりながら検索して、それでもわからず、神奈川県の長すぎる名前の博物館、セノウさんに見てもらう。
(若潮さんはなんとなく目星をつけていたようだ)
リュウキュウヒメジだった。
リュウキュウヒメジはそのうち2種に分かれて、ボクの持っている固体は、sp.ではなくリュウキュウヒメジだとのこと。
そして固体は神奈川県博行きとなる。

そして週末から海藻海藻。
千葉県銚子市の名物海草も買い。
スーパーにある海藻類は総て買い、とにかく撮影につぐ撮影だ。

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勤労感謝あけの本日の市場。
まったくめぼしい魚がなかったのだ。
それで冬到来を感じる、白菜を漬けるお母さんの図というものを一枚。


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塩ザケでコショウ飯

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慌ただしいときだからこそ、いかに手抜きするか、を考える。
我が家にあったのが標準和名のサケで作った塩ザケ。
ちなみにスーパーなどに売られている塩ザケの原料は、標準和名、もしくは養殖用に改良された一般名を並べると以下のようになる。
サケ(総て天然)、ベニザケ(総て天然)、ギンザケ(ほとんど養殖)、キングサーモン(養殖もあり)、サーモントラウト(ニジマス。総て養殖)、カラフトマス(総て天然)。
そろそろ「鮭」という漢字表記は法律的に禁止にすべきではないかね。
それに養殖、天然の表記も義務づけるべきだ。

さて、標準和名のサケで作った塩ザケ、粒の白コショウだけで炊き込みご飯を作る。
サケは一度焼く、コショウはボウルを重ねて間にはさんで軽くつぶす。
ここに酒少々を水加減をしたご飯に加えてたく。
白ワインでもいいのだけど、副菜が和風なので、和風にする。
塩は塩サケの分で十分である。

お釜で炊くこと10分ほど、蒸らしに15分だから、副菜汁はこの間に作るってことになる。
炊きあがったらサケだけは出してほぐし、刻んだパセリを混ぜて食卓へ。
お茶碗ではなく、サラダボウルにこんもり盛ってみたのだけど、失敗かもしれない。
最近、うるち米が生み出した食器の形などに関する本を読んでいるので、ご飯をよそう、という行為が煩わしいほど意図的になる。

このコショウ入りの炊き込みご飯のよいところは、糖質にさっぱり感を加えられること。
とにかく、ときどき噛む、コショウの香りがなんとも爽やかでいい。
一人暮らしに炊き込みご飯って優れものなのである。

材料
甘塩ザケ(塩辛いものでもいい)、コショウ10粒くらい(子供がいなければたくさん放り込んでもよい)、酒少々

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作り方
1 ご飯をたく30分以上前に米をとぎ、ザルにあげておく。
2 塩ザケは焼く。コショウは軽くつぶす。
3 水加減、酒を加え、サケをのせ、コショウをちらしたく。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サケへ



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アンテナショップは東京ではない異空間である必要がある。
島根県のアンテナショップだったら、レジが終了したら「だんだん」と言おう。
千葉県だったら、千葉県らしく、鹿児島県だったら「ありがとごわす」。
わざとらしくても、なんでもよいのだ。
こんなことをマニュアル化するべきだ。
これこそファーストフード、コンビニに習えなのである。
今、必要なのは、だささ、つたなさ、かっこ悪さ、バカらしさ、そこから生まれてくるわかりやすさ、なのだ。
既成概念を捨てよ!
みっともないくらいに、県、市町村の色を押しだそう。

異空間を作るにはそこに核となる人物が必要になる。
すなわち店長である。
アンテナショップ巡りを趣味としていても、ユニークな店長というか、目立つ存在に会ったことがない。
店内に入ったら、一目で店長とわかる存在。
それが大切なのだ。
鹿児島県なら桜島の帽子をかぶろう。
大分ならカボスの帽子、半纏。
アンテナショップの店員などみな大人しすぎる。

店長というものに必要不可欠なのは、県とか、市とか、町、村への愛情だろうし、オタク的能力だろう。
今時もっとも必要とされているのは常識人ではない。
常識人は「組織の維持はやってもいいが、組織のあり方を決めてはいけない」。
オタクと常識人がタッグを組むのだ。
そして人選だが、公募してもいいし、組織内(県とか市町村)の内部から地位や課部などに関係なく発掘してもいい。
どちらがいいか、これは難しいな。

03に続く。


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たまにはまじめな話を書いてみたい。
アンテナショップブームだという。
都内には44店舗のアンテナショップがある。
ただし、これは純粋に県単位のものではなく、深大寺の鬼太郎ショップまで入れての数字だ。
ボクは思ったよりも少ないので驚いた。
たぶん20店舗くらいだろう。
ようするに全都道府県の半分くらいになるということ。
さて、アンテナショップには立地条件のいい店、悪い店がある。
積極的な売りをしている店、売りをしていない店など様々である。

面白かったのは県の認知度が最下位という茨城県が、都内にショップを開いていないということ。
茨城県は実に県名が悪い。
県の方に申し訳ないが、他県人だと、「いばらきけん」では、どこなんだかわからない人も多いだろうな。
ボクは茨城県を説明するときに、「あの水戸黄門のいたところだ」と説明している。
注/茨城県という土地にとってもっとも害をなしたのが、水戸光圀だけどね。
まったく明治維新を断行した薩長土肥は意地悪である。
「意地悪はいけんぞな!」
茨城県も是非とも、早くアンテナショップを作られてはいかがだろう?
茨城県の産品には魅力的なものがたっぷりある。
県内産の納豆を総て並べたら、毎日通ってもいいくらいだ。
でも全部でなければいけないの、ですよ。
わかるかな?

ボクはこんなご時世だから、アンテナショップも事業仕分け、必要性の有無をとくべきだ、と思っているが、結論からすると「運営に知恵は必要だが、アンテナショップは必要不可欠だ」と思っている。
この考えは日本という国にもいえそう。
日本は今のうちに世界の主要な都市にアンテナショップを作るべきだ。

さて、そのアンテナショップのあり方の本題だ。
県などのアンテナショップは基本的に県や国の助成があるのだろうから、実は高校野球予選ではシード校のようなもの。
恵まれているのだ、ということをまず覚えて置いて欲しい。
それだからこそ、肝に銘じなければならないのが、あくまでもこれは商業施設であって、県産品を売る小売り店なのだ、ということ。
商品を売ってこその施設なのだということなのである。
ちなみに国や県が抽象的理念で、何億もの無駄遣いをやって平気でいる。
今現在の事業仕分けを見ても国民としては不愉快だな。

小売り店、商人に徹せよというと、いやいや、そんなことはない。
「店の中の半分は観光案内など別の業務もやっていますから、
それが証拠にちゃんと県内のパンフレットも置いてあるでしょう」
なんてね。
バカを言ってはいけない、そんなことで来店する人はほとんどいる、はずがない。
たぶん大多数が食目当て、その他少数ではあるが工芸品を目的にしていることも、あるかな。
だいたい観光のことなどネットか旅行代理店で聞けばいいのだ。
あれは飾りでいい。
もちろん店内で県の案内をする人は、県の観光や見所などは世界一説明上手ではある、べきだけど。

何を言いたいかというと、アンテナショップを運営する人間は大阪人のいう商人(あきんど)にならなければならない、という点である。
運営するのが県の職員で公務員であろうが、なんだろうが、商人になりきらないとダメなのだよ。
実は、まったく新しい提案なのだけど、製造業の跡継ぎなどを店員として国内留学というか、国内修行の場にしてもいいと思うな。
製造加工業の方たちは自分の商材を売ってみる、経験を持つべきだ。

アンテナショップの運営者が商いをするべき、それはなぜか?
こうすると県産品を評価をする目が養われるからだ。
売ってみて初めて、その商品の価値がわかる。
売れなければ、来店した人に聞いてみてもいい。
モニタリングは絶対に必要なのだから。
今のところ、店内でモニターをとっている店は皆無だ。
ちなみにモニターというのはアンケート(これほどくだらないものはない)ではない。
インタビューである。
またアンテナショップの運営に携わる人は、常に県産品の批評家であり、いちばん辛口人に徹すべし。
そして一面に惚れっぽさも持っていないとダメだろうな。
いい商品に惚れたら、惚れ尽くす。

02に続く。


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伊勢原駅周辺の魚屋さんがよかったのだ。
そこで見つけたものに「しこすりみ」というのがある。
北口すぐ正面にある三角形の魚屋『魚章』の店頭にあったもの。
「しこ」、すなわちカタクチイワシを包丁でたたきすり身にしてもの。
魚屋の店頭で見つけていちばんうれしいのが自家製のすり身である。
これがある魚屋にハズレはない。

これに塩、酒、ショウガ絞り汁、白ネギのみじん切りを加えて、ざっくり練り。
昆布だしの中に団子にして放り込む。
カツオ節の代わりにすり身からにじみ出た旨みを、という形だ。
団子の汁はこれが基本形。
後は野菜たっぷりでもいいけど、小鉢があるので、省略。
単純にいくことにする。
最後にショウガの絞り汁をタラリで出来上がり。

材料
すり身200グラム、ネギ、酒、塩、水400㏄、日高昆布10センチくらい
作り方
1 すり身に酒、塩適宜加え、よく空気を包み込むように練る。
2 昆布を水から入れて、沸騰してきたら取り出す。
3 団子を作りながら昆布だしに落としていく。
4 酒と塩で味加減してネギを加えて出来上がり。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、カタクチイワシへ



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久しぶりにアカツルムラサキを見つけた。
近所の何気ない直売所には、小蕪に小松菜、ハヤトウリ。
その隅っこにたった一束。
名残のアカツルムラサキに冬の近いことを思う。

赤、青あるツルムラサキ。
青は栽培品種で、赤は蔓性なので家庭菜園などに向いている。
ともに害虫がつかず、病気にも、肥料の多い少ないにも影響されない。
強くて収穫時期の長い野菜だ。
赤、青、香は似ているが、味はかなり違う。
赤の方が旨みも、甘みだって強いのだ。

これで小鉢ものを作る。
塩ザケ(標準和名のサケ)の炊き込みご飯にカタクチイワシのたたきすり身の汁。
そしてアカツルムラサキの小鉢。
ご飯と汁を作っている間に、瞬時に作る。

材料はマヨネーズと白味噌、辛子にゆでたアカツルムラサキ。
ここに台湾産干しサクラエビをどばっと放り込む。
ツルムラサキ以外は全て常備しているものというのがミソだな。

材料
アカツルムラサキ、干しサクラエビ、マヨネーズ、粉辛子、白味噌、青レモン
作り方
1 粉辛子は大さじ1ぱいくらい、小鉢に入れて、お湯で練って伏せておく。
2 白味噌、マヨネーズ、辛子、
青レモンを合わせて、和え衣を作る。

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3 ツルムラサキをさっとゆで、ざくっと和える。
4 最後に干しサクラエビを合わせる。

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野菜は、なんでもいい。
これから矮性山東菜(べかな)、小松菜、水菜、葉物野菜がいっぱい出てくる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サクラエビへ



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メバチマグロの漬け

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毎日のようにスーパーに入る。
必ず買い物をする。
魚貝類の本を作っているのだけれど、スーパーに通わないと「魚貝類は理解できない」のだということに気がついた。
スーパーに通わないと、魚を語ってはいけないのだ、とも思ってしまっているのである。

さて、そこでメバチマグロのさく(板状になった)を買う。
185グラムで504円であった。
質のよいメバチで、これは決して高くない。
値段と質を見るためなので、端っこを切って味見。
残った部分を漬けにする。

まずはタレを作る。
みりん1に醤油1。
さくは霜降りにして、タレに漬け込む。
霜降りにしたものを漬けにするのは弁天山美家古のやり方。
これがまことに合理的でいいのだ。
漬けにするとねっとりする。
これがなんともイヤなのだけど、霜降りにするとねっとりしない。
タレが入り過ぎない。

今回のメバチマグロは近所のOKストアで買った物だけど、まことに良質。
漬けにしたら、余計にうまくなった。
これで遅い、むしろ朝酌? をしたらうまかったのである。

材料
みりん1 しょうゆ1 メバチマグロのさく
作り方
1 みりん、しょうゆを合わせる。
2 さくを霜降りに。
3 バットなどに入れてタレをそそぐ。

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4 途中でひっくり返す。半日くらいで食べられる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、メバチマグロへ



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11月第二週の日記風

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水曜日、やっと一仕事が終了。
年々歳々、雑誌の仕事がきつくなる。
だいたいボクの本業は何なのだろう?
いくつ職業を持っているのだろうか?
早急にいろいろ整理しないと、危険ではないか?
そしてそして、そろそろ雑誌の仕事はやめたいな、と思うが、その目途は立たない。
早く終わったので日本橋室町に出て、散髪。
鬚が伸び放題でむさ苦しいオヤジであったのが、やや見られる状態になる。

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散髪を終えて日本橋「しまね館」に。
ここはやはりダメだなと思う。
まず店員がダメすぎる。
活気もやる気もないのだ。
最近のコンビニ店員の一人分の仕事を3人でやっている、そんな風に見える。
日本橋という客層のよさですくわれているが、ここをやっている人々は愚かだし、たぶん能タリンである。
ついでにこれを放置している島根県は、もっと現代の世情を見る目を養うべきだ、と言いたい。

そしてこの日、日本橋の人波を飲み込んでいたのが、「コレド日本橋」である。
木屋、タロー書房、にんべんなど、日本橋歴30年以上のボクには懐かしい店、店、店を飲み込んだ、ようするに今勝ち組でいる人たちだけのビルである。
これが出来たと言うことは木屋、タロー書房などが入っていた魅力のあるビルが取り壊されると言うことか、もったいないではないか。

帰宅してメバチマグロのづけ、ブリの漬け、漬け丼、漬け茶漬けの撮影。
ツバメコノシロとワニエソの撮影を終えたら、なんと午前零時を回ってしまっている。
なかにし礼「不滅の歌謡曲」を見ながら撮影をやっていたのだが、こんな素晴らしい番組を片手間に見なければならない悲しさを感じる。
「そうだ、そうなのだ軍歌を作った、時代や、人間は最低である」

木曜日は寝坊。
起きたら8時近かった。
ボクに立ちはだかる睡眠時間の壁、どうしたらいいのだ。
すぐに市場に行き、光陽でラーメン。
麺以外のものは喉を通りません。
そこに山梨でトラック行商をしている太田さんがやってきて。
「太田さん、棡原あたり、きれいだろうね」
「ダメだな。今年は赤くなる葉っぱが茶色いんだ。ありゃ紅葉じゃねえな」

高野水産でクリガニのボイルだけを買って帰宅。
午後2時までがむしゃらに原稿を書く。
そして伊勢原に向かう。
伊勢原市にあるマルモトという鮮魚屋さんに行き、小田原の情報を仕入れる。
小田原・真鶴あたりの食文化はボクの長い間の懸案事項。
ひとつのことを調べるだけで気が遠くなる。
せっかく来たのだからネコザメ、カイワリを買う。
このマルモトさん、なかなかすごいのである。
いい魚はマルモトさんにあり、なんて言いたい気分。

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鮮魚市場 マルモト

その後、伊勢原市周辺を少しだけムダ歩き。
駅周辺はなかなか活気がある。
立ち食いそばが「箱根そば」なのも明記しておこう。
スーパーを2軒はしご。
伊勢原の地酒「菊勇」を買い、後は魚屋さん巡り。

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「魚渓」という店でスミヤキ(クロシビカマス)のみりん干し、カマスの開き、マアジの酢漬けを買い求め。

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駅前の「魚章」でソウダ(ヒラソウダ)4分に1、シコすりみ(カタクチイワシ)、ウルメイワシ、シコ酢漬け、小鯛酢漬けを買う。
魚屋で膨大な水産物を買いながら、伊勢原の魚屋はすごいぞ! と思う。

幸いに帰り道は渋滞していなかった。
そして国道246を通るたびに、目につく、この建物って「何!」。
知りたいけど、わからないだろうな!

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帰宅は午後7時前。
買い求めたものを総て撮影。
食事はなんと11時から。
久しぶりのヒラソウダの刺身がうまい!
風呂につかって、出てきたらなぜか午前1時になっている。
小一時間原稿書き。

金曜日なんだ、今日はとつけぱなしのラジオNHKニュースで知る。
そしてまだ4時なんだと、二度寝したら今度は7時を回っている。
「ぐうたらやろう!」とメールの返信、画像貸し出しをして市場に。

今日も土谷商店ではちくわ麩造りに大わらわ。
店の前に河村のオヤジさんが持ってきた下仁田葱。
なんだか冬近しって感じだ。
朝ご飯は本日も光陽でラーメンと野菜炒め。
もちろんライスは抜き、なのだよ、ヤマトシジミさん。

ヤマギシでシリヤケイカ。
高野水産で小田原の入り合い1箱。
今日は原稿書きに徹しなければならず、それでも膨大な魚貝類を抱えている。
どうするんだ!
しかも恐ろしいことに魚貝類の世界は知れば知るほど奥が深い。
「自分のバカで無知さ加減におののく日々」、日暮れて道遠し、なのだ。



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毎日必ずスーパーに立ち寄ることにしている。
我が家の近所にあるスーパーが面白い。
車で10分圏内に5店舗。
そのどれもが水産物に限ってみても、非常に優れている。
ボクが見ていても意表を突くものがあるのだから、通っていても楽しい。

さて、いちばん近くにあるのが三徳。
少々値段は高めだが、それだけの価値がある。
そこで見つけたのが佐賀県にある「シーボーン昭和」という会社が作ったサワラの干もの。
干ものとして食べて、なかなかいける。
たぶん焼くだけで食べて、これが最上の食べ方だろうが、ここでひとひねりする。
ちょうど海老名の海老さんにもらった山椒があるのである。

休日の朝は遅い、時計を見ると、なんと11時を回っている。
米はといである。
山椒を焙烙で軽くいる。
包丁でバラバラにならないようにゆっくり抑えるようにつぶして、ひょいとお釜に放り込むのだ。
なかには軽くあぶったサワラの干もの。
火をつけて待つこと小一時間。
お釜の蓋をとったら微かに山椒の香り。
今回山椒は控えめにした。

なにしろ姫がいると、ついつい香辛料を入れるに躊躇する。
この微かに山椒の香りがするご飯が清々しくも美味。
このところ深夜に仕事が終わったら、ついついコップ酒となり、朝が重いのだ。
重い胃袋に山椒の香りと、微かな辛さが心地よい。
サワラもいい味出している。
窓を全開にしてのブランチが、一仕事を終えたボクに心地よい休息の時間となる。

材料(2人分)/
米2合、サワラの干もの1切れ、実山椒適宜、酒40㏄

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作り方
1 米は一時間以上前にといでザルにあげておく。ラップなどで乾かないようにしておく。
2 水加減して、酒、サワラ、山椒を加えてたく。

シーボーン昭徳

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サワラへ


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干ものを買ったら、そのまま焼いていないだろうか?
そのままでも大丈夫なものもあるが、ほとんどが一手間を要す。
ようするに「干もの」なのに「乾きが悪い」のだ。
表面を触るとべとべとする。
このまま焼くと焼き網にくっつくし、焼き上がりが美しくない。

買ってきたら、ザルなどにのせて、そのままラップしないで半日くらい冷蔵庫に放置する。
すると表面がからっとべとべとしたものが消えて無くなる。

作り方
1 ザルなどにのせ、ラップしないでそのまま冷蔵庫へ。
2 これが半日後。表面を触ってもべとべとしない。

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島根県産ニギスの干ものは非常に味がよい。
だからこそ一手間かけてももらいたいね。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ニギスへ


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ボクの本業がなんなのか、最近訳がわからなくなっている。
けれでも、常に仕事の一端には必ず神保町が絡んでいる。
初めて神保町に足を踏み入れたのは大学一年のときだから、もう30年以上前になる。
大学がニコライ堂下で駿河台。
坂を下れば神保町。
それからずーっと神保町・お茶の水界隈から抜け出せない。

さて、仕事場に向かうべく、地下鉄を出たら、古本祭をやっていた。
時間に遅れ気味なのに、ついついのぞく。
ちなみにデパートの古本市はすきだけど、神保町古本祭、実は嫌いである。
神保町古本屋街はいうなればボクのショ場なのであり、そこによそ者がどたどたやってくる。
ボクの根底にある根強い排他的精神がむくむくとふくらんでくる。

さて、地下鉄の出口の前で見つけたのが『志ん生の食卓』だ。
300円という値に釣られて買い込む。
著者・美濃部美津子さんは志ん生の長女で、金原亭馬生、古今亭志ん朝の姉にあたる。
ボクは志ん生、馬生のファンなのだけど、それだけではなく美濃部美津子のファンでもあるので、300円は安い、申し訳ないくらいに安い。
ちなみにこの美濃部美津子の語る志ん生一家の暮らしがいいのである。
飾り気がない、素、であってしかも下町らしい人情が感じられる。

さて、今回の『志ん生の食卓』からもいくつかの発見があった。
なかでも極めつきが「どんどん焼き」、そして「志ん生のまぐ茶」。
志ん生のマグロ好きは有名だけど、肴にしていっぱいの後の「まぐ茶」がなんとも魅力的だった。
単純なのがいい。
材料も作り方にもどこにも格別なところがない。

そういえば、志ん生の落語は間違いなく至芸というものだろう。
でも、その芸に光を与えているのは明らかに「素」というものだ。
「素」とは志ん生自体と言い換えるといい。
志ん生一家の暮らしにも美濃部美津子の本を読む限りムダな演出や飾り気がない。
「かっこつけたってしょうがねーじゃないか」てな具合。
ボクはこんな暮らしにあこがれるのだ。

と、時計を見ると深夜(?)三時。
もう一度本をめくりながら、宮城県塩竃の「浦霞 純米酒」を一献。
「浦霞」を初めて飲んだのは大学時代だった。
その頃は地酒を売る店と言っても知るかぎりで四谷の鈴傳か伊勢丹くらいしかなく、背伸びして買ったのだろうな。
これがうまかった。
酒の肴はトルコ産本マグロの中トロ。
〆は「志ん生まぐ茶」でお後がよろしいようで。

材料
刺身用マグロ適宜、もみのり適宜、しょうゆ、緑茶
作り方
1 ごはんの上にもみ海苔をのせる。マグロをのせて生醤油をかけ回す。
2 お茶をかける。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、クロマグロへ


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『聞書き 福岡の食事』(1987)の豊前海の記述にアカエイのみそ汁がある。
うまいだしが出て、しかもコリコリという独特の食感がよいとのこと。
アカエイというと煮つけか、ムニエルか、唐揚げだとか、いろんな料理が思い浮かぶ。
そこにみそ汁が欠落していたのはなんとも不覚としかいいようがない。

町山清の『魚河岸の魚』(1979)にも高級料亭でアカエイのみそ椀が作られていた、というのがあった。
東京湾のような干潟の出来る内湾に多いのがアカエイ。
さぞやたくさんとれていたのだろう。
だから1905年(明治38年)生まれの魚屋、町山清にとって、この1メートルを超えるややグロテスクな魚は見慣れた何の変哲もない一商材であったのだろう。
お雑煮がお澄ましという関東で、みそ汁が盛んに食べられていたというと奇異に感じられるだろうか。
あに図らんや、関東でも魚貝類の汁はみそ仕立てにするのが定番であったようだ。
松尾芭蕉の「ふくと汁」も間違いなくみそ仕立て、それに朝餉にみそ汁というのは関東ならではのことなのだ。
くどくなるが要するに「江戸時代以前から、関東でもアカエイのみそ汁が作られなかった、はずはない」となるわけだ。
豊前浜の記述から、こんな推測が出来、考える端緒が見つかる。
だから『聞書き 日本の食事』シリーズは面白い。

関東の市場では、今でもアカエイはけっして珍しいものではない。
実は東京湾では昔から、そして今でもたくさんのアカエイがとれている。
当然、アカエイはもっともありふれた海の幸だったし、本当はいまでも需要さえあれば、ありふれた存在なのだ。
でも年々歳々、アカエイは食べられなくなって来ている。
なぜなんだろう?
アカエイはもともと町山清の書いているように、高級料亭などでも利用される上品な食材だった。
当たり前だけど臭みもなく、骨は軟骨で気にならず、現代人の忙しい生活にぴったりの食材なのだ。

しかもボクは日本酒飲みなのだけど、いちばん好きな肴はみそ汁なのである。
日々思うことなのだけど、大阪などでは居酒屋の品書きに「汁(みそ汁)」、「粕汁」などが至って普通にある。
それに対して関東で酒を飲みながらみそ汁を頼むと、関東ではみそ汁を酒の肴と定義していないように思う。
居酒屋の店主は「そろそろ〆なのだ」と思ってしまう。
「これはおかしい」。
関東には真の日本酒飲みはいない、ということか?

さて、最近アカエイの入荷が続いている。
アカエイと言ったらムニエルか煮つけくらいかな。
鮮度さえよければ刺身にもなるが、関東ではアカエイの取り扱いが悪いのである。

さて軟骨に直角にざくざくと切り、あとはそろそろ味のよくなった大根とことこと煮込む。
ここに九州の麦みそを溶き入れるだけ。
まことに簡単、そしてインスタントな料理だから、忙しいときには助かるのである。

これであまり好みとは言いかねる信濃錦をいっぱい。
この酒、初めて買い求めたのは去ること30年も前のこと。
長野県川上村の酒屋でとにかく車内泊の相棒に一升瓶を買い込んだのだ。
この信濃錦がごっつい甘口で重すぎたのだ。
今回久しぶりにかったらえらい軽い酒になっていたが、微かに30年前の面影が残っているのだ。
懐かしい甘さをみそ汁で洗う。
このアカエイのいいだしに感激。
アカエイに合う料理の順位を変えなくては。

材料(2人分)/
アカエイ200グラム、大根5センチくらい、麦みそ適宜、水400㏄、酒100㏄
作り方
1 アカエイの鰭は軟骨に直角に5ミリ幅で切っておく。これを湯引き、冷水にとりあら熱を切り、水分をよくとっておく。
2 鍋に水、酒、エイ、拍子木に切った大根を入れて火をつける。このとき刺し昆布を加える。
3 沸いてきたらアクをよくとる。大根が煮えたらみそを溶き入れる。ちょっと濃いめの仕立てにすると酒の肴にいい。
薬味は青ネギにしたが、好みで山椒、粗挽きコショウなどを。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカエイへ

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