漁師料理・郷土料理: 2008年2月アーカイブ

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『児島湾』という本があって、これ以上ないくらいに、かつて有明海に匹敵するほど広大な干潟をもっていた岡山県の汽水域のことが載っている。
 様々な児島湾周辺での料理が書かれているのであるが、そこに「妹尾の鮒飯」というのがある。
 岡山には有名な「こち飯」というのがあり、マゴチをゆでて、身をほぐし、そのゆで汁で野菜をたいて、酒醤油などで味つけする。これにほぐした身を加えてご飯にかける。料理法の分類からいうと「汁かけ飯」にあたるもの。これをフナで作るのだろうと勝手に想像していた。

 今回の旅(2月11日〜16日)の終わりは、岡山市岡山中央市場。そこから駅まで県水のゴージャス合地さんに送っていただいたので、少し街歩きがしたいと考えていた。
 ところが、合地さんのゴージャスなクルマを下りて、リュックを背負った途端に一週間の疲れがどっと押し寄せてきた。とてものんきに街歩きをするなんてできそうにない。
 ここまで全然重たさを感じなかったカメラ用のリュックが、子泣き爺になったようだ。仕方なく駅周辺を一週する。これが全然面白くなかった。仕方なく入った高島屋もろくなもんじゃない、と思ったら魚屋を発見。屋号は「中島水産」。
 握りや、切り身などが並ぶ中、まだ生きているサルエビに、アキアミ、そしてなんと「ふなミンチ」なんてのがある。うれしかったなー。不毛に思えた岡山駅前がぱっと明るく感じられた一瞬だ。
「ふなミンチ」は市内野田屋町にある『光吉商店』が製造したもの。そこに「ふな飯」の作り方が載っているのだ。

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 その作り方を転記する。
●ミンチを油でよくいためる。
●野菜(こんにゃく、ねぎ、せり、ごぼう、にんじん、あげ)をいためる。
●醤油味の汁にし、御飯の上にかける。

 実を言うと、これでは作り方が浮かんでこない。
 これを要約すると
1 ミンチを油で炒める。
2 野菜を加えてまた少し炒める。
3 水を加えて煮立たせる。
4 酒と醤油で味を調えて汁にする。
 と言うことだと判断した。
 フナはマゴチなどと比べると泥臭いために、油で炒める行程があるのだろう。

 当日我が家にあった野菜で「ふなの汁」を作ってみた。これがすこぶるつきにうまいのである。
 油で炒めたフナから濃厚な旨味が染み出していて、それでいてクセがない。ときどきミンチの中に残っていた小骨がコチりと歯にあたるのだけど、大人にはまったく気にならないほどのもの。
 子供達も夢中になるほどに端的にうまい汁で、ご飯にかけて最高であった。

 この『光吉商店』の「ふな飯」の作り方が、『児島湾』にある「妹尾の鮒飯」と同じものなのか? 念のために岡山の『光吉商店』に電話でフナの産地を聞いてみた。すると「たぶん、フナは妹尾近辺でとれたものでしょう」という。とするとその昔、児島湾妹尾ではこのように「鮒飯」を作っていた可能性が大きいはずだ。
 この妹尾の「鮒飯」に関しては情報求む。
●児島湾周辺にいるフナはキンブナもしくはギンブナではないだろうか?
●参考文献/『児島湾』同前峰雄 岡山文庫 日本文教出版株式会社


光吉商店
http://www.mitsuyoshi-shoten.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 ギンブナへ
http://www.zukan-bouz.com/koimoku/koi/ginfuna.html
キンブナへ
http://www.zukan-bouz.com/koimoku/koi/kinbuna.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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