漁師料理・郷土料理: 2009年9月アーカイブ

北海道、本州、四国、九州と日本全国の浅い沿岸域に生息する、小魚である。
標準和名(図鑑などに掲載される名)、その地方での呼び名、などどれでもいいので、この魚だけは知っていなければならない。
いかにこの小魚が重要であるかといえば、生まれてすぐに人類の食べ物となり、育つごとに、いろんな加工品になり、大きくなると「イワシ七度洗えば鯛の味」なんて、刺身のうまいことを勝手にほめたたえられる。

しかも人類だけでなくあらゆる水産動物のエサとなり。
島根県島根半島辺りのマアジ、スズキなどの脂ののり具合は、本種の発生具合で決まるともいわれている。

しらす、五万米、煮干し、目刺し、頬刺し、胡麻漬けなどの加工品がある。
瀬戸内海、とくに広島では小いわしの刺身、加賀では塩炒りなどの名物料理がある。

この魚がこの国の食に与えてくれるふくらみ、豊かさは量り知れない。
カタクチイワシは最低限知っておくべき100の魚の内、もっとも重要な魚だ。

今回は石川県金沢周辺で食べられる、塩炒り。
カタクチイワシをもっとも堪能できる料理だ。

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作り方
1 カタクチイワシの頭とワタを取り、水洗い。水分をよく切る。
2 鍋にやや強めの塩水をわかし、イワシを入れてゆで、余分な湯を捨てて水分を飛ばすように炒る。
3 皿に盛り、酢を適量張り、大根おろし、柑橘類(個人的に好きなのだ)を添える。
ここにしょうゆを合わせて大根おろしにからめながら食べる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、カタクチイワシへ
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スズメダイを「お仙(おせん)」もしくは「お仙殺し(おせんごろし)」と呼ぶ地域がある。
今回撮影用に分けていただいた妻鹿漁港でも「おせん」だったのだ。
なぜお仙さんは死んだのか?
だいたいお仙はいつ頃の人で、どこに住んでいたのか?
生業は、結婚していたのか?
子供はいたのか?

こんなことを考えながら撮影をし、あぶってかもを作る。
背ごしにもする。
今回のスズメダイはやせている。
どうやら産卵後らしくて旬ではない模様だ。

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背ごしにしても脂がない。
まあ薄く切り、氷で締めて皿に盛る。
韓国酢みそ(コチュジャンと酢)で食べると、なかなかいける。
脂がないけれど、ちゃんと旨味があり、脊椎骨はこりとして、噛み切れないけど、この食感も悪くはないのだ。

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翌日にはできあがった「あぶってかも」を焼いて食べる。
これも決してまずくはない。
ただ初夏のようにジュウジューと脂が滴り落ちることもなく、非常にさっぱりしている。
さて、やせていたせいか、やたらに骨が気にかかる。
そしてついに鋭い痛みが舌に走る。
思ったよりも太くて先の鋭い骨が、舌に刺さっている。

確かにこれだけ硬い骨なら、お仙さんの喉に刺さって、死に至らしめてもおかしくはないな。
舌に一度刺さってもひるむことなく、あぶってかもを食べ尽くしてしまった。
そしてお仙殺しの意味を深く理解できたのだ。

背ごし作り方
1 鱗を取り去り、頭を落し、ワタを抜き、鰭を切り取り、軽く水洗い。
2 頭の方から横方向に薄くスライスしていく。
3 これを氷水に冷やして、水気を切る。
4 コチュジャンに酢を合わせる。好みでごま油を加える。

あぶってかもの作り方
1 鱗を取り、ワタを抜く。鱗もワタもそのままでもいい。
2 振り塩をする。(好みで)
3 半日以上寝かせる。
4 乾かしても、そのままでもよく。焼いて食べる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スズメダイへ
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金欠に泣いている日々なので、お昼ご飯を外食というのは避けたいな、と思う。
しかも時間に追われていて、例えば、残りご飯も、買い置きの麺類もない。
じゃあどうするか? というとボクはお好み焼きを作る。

ごそごそと冷蔵庫を探す。
スルメイカのゲソ、エンペラが出てくる。
キャベツはあるし、卵もある。
小麦粉もあるので、完璧だ。

作ろうと思ってから、フライパンに生地を流し込むのに3分とかからない。
ゆっくりふっくら焼き上げたいので、生地を流し込んで、1分足らず(数十秒かも)で返す。
返してから出かける準備をする。

焼き上がるまで、だいたい15分くらい。
オヤジにも出かける準備は煩わしいくらいにある。
だいたい服だって着替えるわけで、食べる時間も節約節約。

焼き上がったら、ウスターソースをかけ、注濃ソースをかけ、青のり、イワシの粉を振る。
ウスターソースと、中濃ソースをかけるのは我が家ではボクだけ。
家族は徳島の地お好み焼きソース『加賀屋』の甘口だ。
しかも驚くことに太郎などはこの上からマヨネーズをどばっとやる。
ボクはお好み焼きにマヨネーズは嫌だね。
基本的にソースが大好きなのだ。
そういえば四国ではソースを多用する。
幼なじみで漬け物にソースというヤツがいる。
でも不思議だとは思わなかった。
天ぷらにもソースだ。
四国って変かな?

青のりはボクが子供の頃からある円錐形の不思議な瓶に入っているもの。
記憶は定かではないが、たぶん40年くらい前から、この瓶を見ているように思える。
「青のり」というとこの瓶が浮かんでくる。
瓶の赤いキャップが今はプラスティックなのだけど、昔はゴムだった気がする。
改めて裏側を見ると江東区猿江の「カメセ水産」のものだ。
四国で見たのも同じ会社のものなのだろうか?
それとも青のりは、この瓶に入れる別の理由があるのだろうか?

イワシ粉は正式には「削りぶし粉末」というらしい。
静岡市清水の「まるげん」という会社。
最近有名になった静岡県のおでんに欠かせないのがこの粉末。
静岡市内かまぼこ屋さんで目について買ったもの。

さくっとしたお好み焼きを一気に食べる。
ちなみにお好み焼きを食べるときには、お茶ではなく、水でなければいけない。
これは徳島県では常識だ。
お好み焼きは適度に腹持ちがよく、しかも多種類の食品が一度期に食べられる。
健康にもいいのだよ、食べ過ぎなければ。

作り方
1 薄力粉を水でとく。このときマヨネーズを加えるとさくっとする。この生地はよくかき回しておく。
2 キャベツは細かくざく切り、ネギ少々、スルメイカは小さく切る。
3 生地の上に、具、卵をのせて、焼く直前にかき回す。かき回してから焼くまでが最短時間でなければならない。またかき回し方は空気を入れ込むように同じ方向から、できるだけ回数少なくかき回す。
4 フライパンに油をしき、生地を入れたら、やや強火。フライパンの面に接している部分が微かに凝固したら、エイヤっと返す。この時間はできうる限り短い方がいい。
5 弱火にして、じっくり焼き上げる。
●注/これはフライパンでのやり方。鉄板や電気調理器の場合は焼き方だけが違ってくる。

まるげん 静岡県静岡市 清水区蒲原 中 302-7
カメセ水産
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日美丸さんに送っていただいた、麦みそが香ばしい香りで、味もいい。
麦みそがくると作りたくなるのが、なめろう。
千葉県の郷土料理だが、魚とみそと香辛野菜を合わせて、包丁でとんとんとたたいたもの。
ついでに、これをハンバーグのようにまとめて焼くと、さんが焼きとなる。
あっさりした麦みそで作るとうまいのだ。

タチウオを三枚に下ろして、細かく切り。
トントントン。
後で、さんが焼きを作るので多めに作った。

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麦みそで作ったので、みその香りが高く、タチウオなのでアジよりもあっさりしている。
ミョウガをたっぷり使ったもので、独特の渋みがあるのもいい。

久しぶりにウイスキーのハイボールで、食後のいっぱい。
そのアテがタチウオのなめろうなのだ。

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翌日の朝ご飯に作ったのが、さんが焼き。
この二度楽しめるのが、なめろうのいいところだ。
さて、今度はマアジに倉橋島のみそを合わせてみよう。

河尾成明 広島県呉市倉橋島室尾
日美丸
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、イボダイへ
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