12日の朝5時過ぎにヤマトシジミさんが駅前ホテルに向かえに来てくれた。向かったのが駅にほど近い松江魚市場である。まだ薄暗い山陰松江は思ったほど寒くなく、穏やかに思えた。
島根の県庁所在地・松江にある市場はいかなるものだろうか? 普通、考えると青果市場と魚市場の合わさった総合卸売市場であるはずで、今時の振り分け、無味乾燥な鉄筋コンクリートの巨大施設を想像していた。ところが到着した場所はまことにこぢんまりしたもので、見た目も古めかしい。この古めかしさが、ボクの好みの市場だと言うのも明記していおきたい。
また驚いたことに、ここにあるのは競り場のみ。一般的には仲卸店舗用の区画がないのだ。これは都市の市場としていかがなものだろう。
クルマをとめ、事務所に入ると、トーボさん、神在月さんなどが待っていてくれた。この建物のなかが暖かく、また外を見ると市場らしい活気に満ちている。
事務所で帽子を貸していただき、場内を見て歩く。やや荷が少ないのは、海から離れている松江では思いも寄らないことだけど、外海が荒れ始めてきているせいであった可能性大だ。
魚市場には午前6時になってもトラックが横付けされている。この松江魚市場の特徴が松江・出雲地区を中心とする島根県各地の魚貝類集散地であるということ。
この日、多かったのが十六島漁港(うっぷるい 平田市)、しまね定置もん(松江市/笠浦、野井、多古、加賀、御津 出雲市/塩津、湖陵、多岐)。また小伊津など釣りものも島根ならではのもの。
まず目に付いたのが「沖いわし(ニギス)」これは底引き網のものだろう。さすがにビックリするほど鮮度がよく、これは刺身でいけるなと朝ご飯抜きなので思ってしまう。そしてマエソ。
湖陵からのマフグもフグ延縄漁のさかんな島根ならではだ。「れんこ(キダイ)」も延縄で揚がったものかもしれない。後々見ていくと島根沿岸でキダイは重要な魚である。
マアナゴがあって、ここでは「はも」、ハモは「とうへい」というらしい。「草かれい(タマガンゾウビラメ)」、メダイ。
個人的な意見かもしれないがメダイは日本海側でとれたものの方が、太平洋側でとれたものよりも味がいい。このメダイを見て、ますます腹が空いてくる。
入相の箱にイシダイ、「ばとう(マトウダイ)」、アイナメ、メイタガレイ、イズカサゴ、チカメキントキ。この産地ならではのたっぷりギュウギュウ詰め感がたのしい。
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「しまね定置もん」は水産物を扱う人は絶対知っておくべきだ。鮮度保持や、丁寧な出荷に日夜心砕いている。
島根町(現松江市)の「しまね定置もん」の箱にヒラマサと「丸子(ブリの若魚)」、マダイが並んでおかれている。箱に書かれた殺菌海水というのは魚の鮮度保持や、輸送時の安全に大きな役割を果たしている。「しまね定置もん 殺菌冷海水」という文字には注目して欲しい。
ワカメが並んでいるのは養殖ものに違いない。
意外に多いのがババガレイだ。関東では高値をつけるものだが、松江あたりではまだまだ評価が低いのだという。そしてババガレイの箱に書かれているのが「インドガレイ」の文字。見た目の黒っぽいところからきた呼び名だろうけど、「インドカレー」とまぎらわしくないのかねー。
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ババガレイの詳しいことは
http://www.zukan-bouz.com/karei/karei02/babagarei.html
見事なサワラがあり、マハタ。島根を代表する「のどくろ(アカムツ)」もきれいだ。チダイがあって、タイ3種が揃っている。アカガレイ、「水がれい(ムシガレイ)」。
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日本海の「のどくろ(アカムツ)」は太平洋側のものと別物といっていいほど脂がのっている。また浜田であがる泥質の海底にいるものはもっと凄いらしい。参考『島根のさかな』(島根水産試験場 山陰中央新報社 この本おもしろいぞ!)
サザエ、クロアワビがある。ミズダコがあって、マダコはいない。
松江市鹿島町小津の鍛冶辰夫さんが加工した(ひょっとしてとったのも同人?)ウニの小木箱があるが、この時期ならムラサキウニに違いない。
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これは島根県の寒い時期の風物詩。ムラサキウニ。
島根県でとれるウニは他にはアカウニ、バフンウニ、エゾバフンウニなど。ただし重要なのはバフンウニ。これは夏にとって瓶詰めに加工される。
「ばとう(マトウダイ)」が島根にとって重要な魚であることは後々わかってくる。もちろん水揚げが多いとか、産額が多いとかではなく、「ばとう」の刺身、煮つけなど県民に愛されている魚であるらしい。
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「ばとう(マトウダイ)」と「えてがれい(ソウハチガレイ)」。
並ぶ「ばとう」の隣が「えてがれい(ソウハチガレイ)」である。これは島根県特産の「カレイの干物」の原料のひとつ。オヤジとしては、酒がすすんで困るという魚でもある。また同じく干物にして美味な「水がれい(ムシガレイ)」がたくさん並んでいる。
ムシガレイ、ソウハチガレイ、マトウダイ、そしてアマダイの箱がたっぷり並んでいる、この光景も松江魚市場を特徴づけるものだろう。
●松江魚市場見学はまだまだ続く。
JFしまね
http://www.jf-shimane.or.jp/
島根県庁
http://www.pref.shimane.lg.jp/
島根県水産課
http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/