市場図鑑・市場案内: 2007年4月アーカイブ

 雨模様で肌寒い。そして滑り込んできたのが中央線旧車両。これが隙間だらけで振動激しく寒いのである。神田駅で京浜東北線に乗り換え、新橋駅。新橋から中央市場行きのバスでほんの10分弱で場内に行き着く。到着は7時半。

 場内、『やじ満』で腹ごしらえ。驚いたことにこの時間にも関わらず一般客が寿司屋の前に行列を作っている。また外国からの観光客本日も多い。

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この時間から場内の人気店では行列ができはじめる

 場内に入りすぐに「かね十」でマカジキの切り身を買う。場内広しと言ってもマカジキの専門店はここだけ。

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マカジキの身の色合いは赤く、そして本鮪(クロマグロ)のように変色しない。それでかつてはマグロ以上によく食べられていたのだ

 一ヶ月ぶりの築地は中日開市の火曜日で買い出しの人は少ない。カメラを持って『飯沼水産』を通り過ぎるとやはり店の人が警戒している。この店、開いた荷にはすべてラップがかけられ、撮影するのも立ち止まるだけでもうるさく「シ、シ」という感じ。まあある意味、ガンコでいいのかな。

 好天続きのせいかめぼしいものは少ない。三陸から「本ます(サクラマス)」、カラフトマス、ヒメコダイのなかにホシヒメコダイが混ざっていて産地が知りたいと思ったが、どこにも書いていない。活け魚屋にはヒラメよりもマコガレイが目立つ。

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マコガレイはこれからが旬

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「青マス」はカラフトマスの未成熟個体の呼び名

『大雅』という店に大きなメカジキの輪切り、その前に切り身が二枚で300円というのがある。これはお買い得だな。『まぐろ 中島』には500円パックがずらり。平日でこれというのは場内が様変わりしている証拠。一般客を無視できなくなってきているのだ。

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『中島』の500円パックは魅力的

 愛媛産のヒオウギガイ、面白いのは宮城県産のミネフジツボというのがキロ2500円で売られている。日本海からはバイ、それに生のサクラエビ。

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宮城県産のミネフジツボは初めて見た

『大音』さんのところではホウライヒメジ、オニカサゴを見る。また北海道産のサメガレイと将来値の上がりそうな魚が押さえてある。

 今回改めて思ったのは場内には「扇」、「伊勢」、「樋」とつく店が多いということ。

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伊勢田は2店舗あり、中ほどの店には面白い魚が多い

 小豆島産のイワガキは今回初めて見た。アカガイ、トリガイ、タイラギはやはり春らしく目立つ。

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イワガキの産地はどんどん増えてきている。当然、将来的には値段も下がるだろうし、資源の保持をどうするのか? と言った問題も出てくるだろう

『イリヤマ斎藤』に鹿児島県からアカハタモドキ。小笠原からホオアカクチビ、とタマメイチがあり、一匹ずつ買いもとめる。

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アカハタモドキは珍しい魚ではないが、これは1.8キロもある大物。アカハタともども1キロ以下が普通なのでちょっと驚く

 場内でコンブなどを扱う『近長(きんちょう)』は前々から気になっていた店。見事なリシリコンブを見ているとご主人らしき人が声をかけてくる。なぜかボクのカメラが気になったようだ。ここでガゴメコンブを見せてもらう。キロ当たり7500円だとのこと。試食した「梅ちりめん」があんまりうまいので200グラム500円を買い求める。これご飯にあう。

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近長(きんちょう)のオヤジさんは気さくだ。また若主人らしき人の作った「梅ちりめん」はうまいぞ

 あまり収穫のないまま大都の尻高鰤さんのところに上がる。ここで西日本四国などの担当鉛山さん、ウニの下田さんを紹介してもらい。特に鉛山さんには香川県漁連にヒラのことを問い合わせていただく。
 話し込みすぎて、時刻は11時近い。仕事に遅れてしまって長崎県漁連直売所に立ち寄れなかった。残念だ。

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 帰り道、波除神社で都議会選の演説を見る。なんと築地移転反対に協力するという候補の応援。なんだかこの候補さん、頼りなさげだががんばってほしいものだ。築地の移転は、例えば長い目で見てのことはわからないが、ここ20年くらいは避けるべきだ。築地仲卸が完全に世代交代するまでは様子を見るべきなのである。東京都の移転を急ぐ考えは、市場というものを単に三次元的、空間的にしか考えていない人たちの考えていること。またこの騒然としてゴチャゴチャした空間をたた「ごみため」のようだと思ったバカな野郎もいるが、どんなに市場が新しくなっても同じだというのがわかっていない。
 今のところ、とくにエリートと言われる人たちの頭の構造が単純すぎて、築地の持つ奥の深さを理解するには「進化が遅れている」。これは非常に残念でならない。これでは築地でもっとも大切だと思われる「市場文化」を理解できないだろう。すなわち20年待て、そうすれば市場関係者も変わるだろうし、移転推進者の単純な頭の構造も複雑化するはずだ。
 また唐突かも知れないが世界に冠たる築地市場を世界遺産に登録できないのだろうか? この国が誇るべき憲法九条とともに、「築地の市場文化、20世紀の市場の建物」を永遠に維持し、活用する。これは外国からの観光客が少なくて困っている東京都にも朗報だろう。例えば、今のような無秩序はこまるが、午前10時以降は積極的に観光客(たくさんの外国人を受け入れる)を市場に招き入れる。それを仲卸のご隠居などが市場の古きよさを語り案内する。これまさに一挙両得だと思うな。

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 木曜のことだ。疲れた足取りで八王子魚市場の入り口に向かう。そして見るべきものもなくうなだれていたら、源七のあんちゃんから、「疲れた顔しやがって、これ飲んでけよ」と呼び止められる。よくみると皆、手んでにカップを持っている。飲んでいるのは真っ白な液体。そのかたわらでアサリが湯気を上げているところを見ると貝殻の壊れたのを茹でたのがわかる。そのアサリの量がすごい。だから鍋の白い液体はアサリの茹でた汁なのである。とうぜんこの中にはアサリエキスが充満しているのだ。
 当然飲みましたよ。
 これが飲み始めるとやめられないくらいにうまい。まったく苦みがなく濃厚にアサリの旨味が、微かなアサリ特有の渋甘い味わいとなって口全体を刺激する。本当に2はい、3ばいと湯飲みに満たして、それでもまた大鍋からくみ取ってしまう。
 今週は日々大変であった。ほとんど息つく間もないほどに、時が過ぎて、疲れがたまりにたまってしまっている。そんなときにこのアサリのスープのなんとも体中に浸透することかは、表現のしようがない。

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 そして昨日、またまた源七では、船橋にあがったトリガイを大鍋で茹でる。この茹で上がりがうまいのである。ついつい、あんちゃんと立ち話しながら口に放り込んでしまう。トリガイの旨さは何と言っても上品な甘味、そして適度な弾力。

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 東京湾では船橋も、木更津も富津もトリガイ漁の最盛期。
 その大振りのものは開いて湯がき、小振りのものは佃煮にする。茹でているかたわらにまだ活けのトリガイがどっさりある。一キロ1000円だというので1.5キロ勝手に袋に入れて千円札を吉種登さんに手渡す。

八王子の市場に関しては
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