食べるエビ・カニ学: 2007年7月アーカイブ

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 徳島に来たらぜひお土産に、というものがいくつもある。例えば阿波番茶、ひしお、竹ちくわ、魚カツにちりめんじゃこ、そしてこの干しえび。この頭をとりしっかり干し上げた小えびの味はいちど食べたら病みつきになる。またそのまま食べてももうまいのだけれど、出汁に使ってこれほどの美味があるのだろうか?
 我が家では素麺つゆにはぜひとも、また野菜のたきものにもなくてはならぬものなのである。
 今回のものは徳島産のアカエビを産地で干し上げたもの。この国産ですべて出来上がったものは干しえびのなかでは最上級のものだ。
 まずはそのまま食べてみてほしい。この濃厚な旨味、香ばしいようなエビの風味。小皿に入れて食卓にでも置いておくと手が止まらなくなる。また素麺や野菜をたくときの出汁には、まず半日以上水に漬けておく。それをゆっくりと温めて、1時間くらい煮出すのである。こうするとエビの旨味がたっぷり水中に放出され、しかもうるかしたエビ自体もうまい。我が家ではここにほんの少しだけカツオ節を加える。

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 エビの出汁には、ほんの少しの味醂と塩、薄口醤油で味付けをする。そう言えば素麺のつゆというのはカツオ節で濃厚に出汁をとると重すぎてうまくもなんともない。出来れば上等の煮干しとか、この小えびの出汁を基本に作るほうが素麺のさっぱりした塩味と合うように思える。
 素麺を食べた、残りのつゆではいつも必ずナスをたく。ナスをたいてエビのつゆほど出合いのものは考えられないくらいに、これがうまくてたまらぬものとなる。
 食べるときにはつゆの中でナスをほぐしながら食べてほしい。すなわちつゆ一滴も残さないように食べろということだ。

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今回は徳島中央卸売市場内『板東商店』で買った。

徳島中央卸売市場 徳島県徳島市北沖州4の1の38
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/chuo_ichiba/index.html
市場魚貝類図鑑のアカエビへ
http://www.zukan-bouz.com/ebi/akaebizoku/akaebi.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 香川での「かちえび」がツメナガオニテッポウエビとオニテッポウエビであることが判明した。これには香川県観音寺市観音寺地方市場伊吹漁協組合本間さんには「かちえび」を送って頂くなどお世話になった。
 現地では「かちえび」を塩ゆでにして食べているという。それが意外に旨味が薄くあまり美味しいとは言えないものだった。
 いろいろ考えた末に「かちえび」の頭足と胴体を分けて、頭を潰しながらスープをとる。そこに少し白ワインを足して、こんどは胴の部分に火を通す。これを漉して、胴の部分の殻を剥く。このスープの味見をして少し水を足して残りご飯を加える。ここにパルメザンチーズ少々、香味野菜を加えて出来上がりである。ようするに「かちえび」の洋風おじやというところ。

 本式に造るならパルメジャーノレッジャーノやセルフィーユ、またカイエンヌペッパーなどを揃えておきたい。

市場魚貝類図鑑のツメナガオニテッポウエビへ
http://www.zukan-bouz.com/ebi/teppouebi/tumenagaoni.html
市場魚貝類図鑑のオニテッポウエビへ
http://www.zukan-bouz.com/ebi/teppouebi/oniteppouebi.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 土曜日、『源七』の店頭に竹岡のシャコを見つけた。産卵後で値は安い。身の入りを確かめながら買い求めてくる。

 その昔、「シャコは塩ゆでに限る」とばかり思っていた。それが「煮てもうまい」と気づいたのは最近のことだ。青森市でホタテ養殖をしているパラ・ペツさんから、陸奥湾産の大型のシャコをいただき、その食べ方として教わったのだ。そう言えば岡山県笠岡湾内漁協でもシャコを煮てくれた。ああ、あれももう半月も前のことなのである。
 そう言えば、八王子魚市場内『源七』で「煮たシャコはうまいね」と話すと
「オレら子供の頃は甘辛く煮たシャコがおやつだったね」
 というのは東京湾の魚を扱って30年以上という、『源七』の仕入れ担当のあんちゃん。
「今のようにチョコレートやお菓子がそんなになかっただろ、毎日、おっかが用意してあんのがシャコやわたり(ガザミ)の茹でたヤツ」

『源七』の本拠地は千葉県船橋市。当地では老舗の貝問屋であり、八王子魚市場店は言うなれば支店と言ったものだろう。店頭に並んでいるのは千葉県船橋中央卸売市場からのもの。しったか(バテイラ)は白浜、アワビは大原、アサリは三番瀬、ばか(バカガイ)は木更津、富津、スズキは船橋、富津、マコガレイは富津、シャコは竹岡、富津が多い。この千葉県東京湾の魚食文化を、『源七』は毎日八王子に運んでくるのである。

 今の時期のシャコは産卵後で痩せている。そんなときには「塩ゆで」よりも「煮しゃこ」に軍配が揚がるのだ。持ち帰ったシャコを水洗いして甘辛くこってり煮上げて大皿に山盛りにする。これを家族共々無口になって、あっという間に平らげた。そして皿の底には煮汁だけが残る。これがまたうまいのである。我が家の太郎など、これをご飯にかけて三杯飯。今の時期ならとれたてのジャガイモを煮てもいい。
 煮しゃこを食べて何時も思うことは、どうしてもっとたっぷり買い込んでこなかったのだろう、ということ。子を持つ身としては夕ご飯にシャコだけ食べてもらっては困るわけで、後悔は心のなかでそっと立てるのみなのである。

市場魚貝類図鑑のシャコへ
http://www.zukan-bouz.com/koukakurui/shako/shako.html
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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