八王子魚市場に入ったとたん、なんだか活気を感じる。実を言うと八王子の寿司屋でも「地(土着)の寿司屋」というのがあって、地域に密着している店がある。例えば冠婚葬祭とか、来客の出前とか、四季折々の祭事とか、そんなものと結びついている。そこでは年末年始店を開けていて、とくに年始3日間は書き入れ時なのだ。そうなると年始に都市化がすすんだ駅周辺の店が始動するのとは反対に、数日休むのだ。だから八王子や日野のような古くからの宿場町では寿司屋すべてが稼働し始めるのに初競りの5日から数日をようする。しかも今年のように初競りが週末にあたり、しかも成人式があって、海がしけるといったときには飲食店総ての年始の足並みが乱れる。
そう言えば成人式はどんなんだろう? 忙しかったんだろうか? 今日聞いてみなければ?
やっと通常に戻ったんだなと実感したのは近海に並んだ荷の山。スルメイカ、さごち(サワラの幼魚)、各地からのマアジ。
ふと貝を扱う鈴木さんのところを見るとミヤコボラが来ている。和歌山での「泥さざえ」、大阪での「いしかち」である。これ煮たり、焼いたりしてうまいのである。そう言えば泉佐野の住吉さん夫婦はお元気だろうか?
この値段は安すぎる。関東ではほとんど知られていないせいだ
また隣にあるのがモスソガイ。これは福島県いわき市産。久ノ浜か四ツ倉だろうか? 箱には「アワビツブ」と書かれている。東京ではあまり知られていないが東北では味がいいので定評がある。これをおでんに入れたり、煮たりするとうまいのである。
このモスソガイの値段も安いな。残念で仕方ない。ボクは市場での仲買の存在は非常に大切だと思っている。「仲卸なくして漁食文化も食育もありえない」と思っているのだ。だからこのようなうまい貝を高く売って欲しい
『源七』には外套長(イカの胴に見える部分)が40センチもあるヤリイカがあって、キロ当たり2300円は安い。
今年のヤリイカは毎日特売日といった感じ。安い。今年はヤリイカをいっぱい食うのだ
八王子綜合卸売センター『高野水産』には日本海からブリ、めじまぐろ(クロマグロ)。見事だが、見ているだけ。そこに茨城県大津港からエゾハリイカとヒメコウイカ。これ欲しそうな顔をしていたら社長が「やるよ」というのでもらってきた。
八王子総合卸売協同組合『丸幸水産』には銚子からボタンエビ。銚子港が水揚げ日本一になったと今朝のニュースでやっていた。釧路からは「灯台つぶ」が来ていて、ヒモマキバイなのかオオカラフトバイなのか微妙だ。
「灯台つぶ」を見るとついつい撮影してしまう。でも種の同定はいまのところ出来ない
『やまぎし』には「岬サバ」というのがキロ当たり2000円で売られていた。これは愛媛県佐多岬伊方町の三崎漁港のもの。対岸は佐賀関と言うことで、味は保証付き。
でもこの大分、愛媛あたりのサバが福島、銚子などに揚がるものと絶対的な味の差があるとは思えない。要するに刺身で食べられるという付加価値だろう。
ほとんど買い物らしい買い物もせずに早々と市場を後にする。気がかりなことがあって、八王子駅前に向かう。昨日からケータイが沈黙して、作動しないのだ。auで見てもらうと、これはそろそろ寿命でしょ、と言われ、いやいやながら新しいのに変更する。まだ2年しか使っていないんだぞ。「バッカ野郎!」。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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