市場図鑑・市場案内: 2006年11月アーカイブ

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 横浜中央卸売市場から北上して帰りに立ち寄ったのが相模原綜合卸売市場。実をいうと八王子の市場群とは至近にある。また入っている業者なども共通点が多くて八王子での顔見知りの何人かはこちらに移ってきている。
 さて相模原綜合卸売市場は国道16号、相模原小淵にある。古淵はJR横浜線に駅があり、そこから歩ける距離。またクルマでの買い出しなら町田、城山町、座間、大和市なども圏内になるのだと思われる。

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 16号から入ると相模原綜合卸売市場とひとくくりになってはいるが無数の建物が点在して、しかも独立性が低く東西南北、どこからでも市場に入ってこれる。また青果では競り場があるが水産に関しては中央市場などから仕入れをする仲卸だけの寄せ集めである。

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 市場内は建物が多いためもあって細い通路が十字には交差しないで「筋違い」になっている。これが迷路のようになって歩いていて楽しい。ひとつの建物をまっすぐ進むとやや筋違いに次の通路が続く。そこに漬物屋あり米屋あり、飲食店もある。また八百屋、肉屋があって魚屋もある。

 まず16号に近い駐車場にクルマを止める。正面には珍味などを売る店。その暗い通路にはいると厨房機器の店がある。この建物は通路もまっすぐで1つの建物だというのがわかる。通路を抜けると、まるで仕舞た屋のような建物が並び短い通路がまた奥に続く。水産物を見て行くにあまり珍しいものも出色のものもない。これはここだけのことではなく天候のせいである。値段も手頃で鮮度的にも申し分のないものがある。また水産物の種類はやはり多く、16店舗の仲卸を回ればかなり充実した買い物が楽しめそうだ。
 また食肉、青果は明らかに八王子に劣る。でもスーパーなどで買い物をするくらいならプロ相手の市場の店で買った方が絶対にいいに決まっている。

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暗い通路で見つけた「さがみ淡水」。確か八王子綜合卸売センター「八王子淡水」の松本さんがウナギ割きの技術を学んだのはここだったはず

 今回の急ぎ足の相模原綜合卸売市場巡りで見つけたのが「デイトレード」という店。まず店先に1キロ以上のスマが2本、それにワキヤハタ。奥の水槽にはカワハギ、ホウボウ、イサキが泳いでいる。
 スマを見た限りどう見ても近場のものである。値段を聞くとキロあたり1800円。これは思い切った値段だが鮮度からすると価値は充分にある。産地を聞くと平塚に揚がったものだという。旬のスマなら高くはない。またワキヤハタも相模湾での釣りものだという。キロ/1000円なら寿司ネタにして安い買い物。

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スマ、ワキヤハタ、アカアマダイなど。神奈川の地物が並んでいる

 スマを買いながら店長らしき人に聞くと「デイトレード」という店名は本来は輸入水産物を扱っているがため。そこに代表である、この小田剛さんと縁のある平塚から鮮魚を持ってくるようになったのは客からの要望に応えるがためなのだという。
 相模湾と言えば神奈川県の前海にあたる。まさしく地物ではないか。それが平塚から到来するとはなんとも魅力的だ。相模原綜合卸売市場には「デイトレード」を見に来るだけでも価値有りと思った。また来るべし。


相模原綜合卸売市場
http://www.sagamihara-ichiba.co.jp/


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 朝5時前、まだ真っ暗ななかクルマで南下する。相模原に入りセルフのガソリンスタンドで給油していたら、思わずブルゾンの袖を立てるほどに肌寒い。
 町田を超えるとバイパスはもう渋滞が始まっている。246と交差するこの数キロの長いこと。かれこれ20年以上この道を利用しているが渋滞はまったく緩和されていない。無駄な道路を造るよりもこんな日常的な不便を解消しろよ、とお役人さんに申し上げたい。

 今回目差しているのは横浜中央卸売市場。横浜駅の真東にあるというのはわかっているので、とにかく駅を目差せば行けるだろうと思っている。そのまま首都高に入り、横浜駅東口出口を下りる。そして東海道(国道一号)を北上すると目の前に「市場入り口」の標識。

 横浜駅周辺の無機質な近未来的な高層多層な景色が右に曲がると一変する。古くさび付いたガード、乾物屋、八百屋とあって道路沿いには延々とクルマが止まっている。そして行き着いたところが市場であった。道の左に青果棟、右に水産棟。どこにクルマを止めればいいのかわからない。行き交うクルマ、人、ターラーと混雑の中心で途方に暮れる。仕方なくクルマの誘導をしているオジサンに聞くととりあえずその辺に止めておくといいと教わる。これがなんとも不安。

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 水産棟に入ると右に関連棟(食堂や雑貨、乾物など)、正面に駐車場があり、左が仲卸の店が続いている。そのまた左にあるのが競り場なのである。
 仲卸の店を端から見ていく。

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 荷を見てもとりたてて横浜らしいものは見あたらない。小柴のタチウオ、シロギス、本牧とある箱にイボダイ。横須賀佐島のミシマオコゼ。タチウオがさすがに東京湾産でうまそうではあるが、ここでタチウオを買ってこなくてもいいだろう。少々さみしい。

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 また活けのヒガンフグ(市場では赤目)を見つけた。キロ/3500円は買えない値段ではない。残念なことにこれは売約済みであった。
 場内では「伊勢三」という店が地物を多く置くという。

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 横浜で見る必要はないのであるが八王子には最近、「Bつぶ」が来ない。そんななかここには三陸のチヂミエゾボラ、根室から和名のわからないものなどがあった。じっくり見ようとしたら、親切心からだろう「つぶ」の説明をしてくれる。残念ながら関東の市場の仲卸でエゾバイ科に関しての知識を持っている人は皆無。まったく大間違い、もしくは幼稚な話を一生懸命にされると迷惑極まりない。

 まったくミニ版築地とも言えそうなところであった横浜中央卸売市場。ここに来てみようと思ったのは横浜中華街へのケツギョや熱帯のハタ、コイなどを扱っているかもしれないと思ったため。残念ながらそれらしき気配すらなかった。あとは小柴、本牧、横須賀などの地物だが、それも本日は少ない。我が家から渋滞もあって二時間かかる。もう一度来る必要はあるのだろうか?

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横浜中央卸売市場
http://www.iris.or.jp/~ysijouci/

最後に横浜らしい風景を。これも味わいのない建物ばかりだ。「みなとみらい」というらしい。こんな無機質で味気ないものに未来はない。だいたい昭和20年代、30年代のオヤジやオバハンが人口の多くを占める世の中になったはずだ。こんな幼稚なものは「いらん」と叫ぼう。ついでに、こんなもの作るヤツは大嫌いだ。

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 朝方2時を回って沼津を目差す。やっと発進というときに躓いてしまった。ETCカードがない。財布にもカードケースにもなく、なんとカメラのメディア入れから出てくる。そんなこんなで遅くなり、手間取って沼津インターを下りたのが4時過ぎ。しかも途中立ち寄ったコンビニで家人が静岡限定発売のカップ麺を発見して、「お土産にいくつ買おうかしら?」なんてのんびりしたことをやっている。それで魚市場到着が4時半を過ぎてしまう。

 沼津魚市場は沼津駅からの道を南下、その昔市場のあった魚町、いくつかの狩野川にかかる橋を左手に見ながらいつの間にか行き当たる。ここは伊豆半島の山懐から流れ出した狩野川の河口部にあたる。右手の細長い建物の入り口近辺から中程まで陸送(日本各地から集まってきた魚貝類)が並び、地元静岡の荷があり、焼津などのもの、伊豆七島、定置などのスペース、活け、サザエやアワビなどのカゴと水槽。そして底引き網の選別競り場、いちばん南、狩野川近くがマグロの競り場になっている。底引きの競り場に急ぐとき冷凍物を扱う場所で山田さんを見かける。挨拶をしてやっと競り場に到着した。建物の西側には埠頭、あかあかと明るいのは巻き網の水揚げが始まっているためだ。

 沼津市の太共丸、大成丸が赤えび(ツノナガチヒロエビ)の仕分けをしている。大成丸の船頭さんに
「てながえび(アカザエビ)とれてるね」
 声をかけると、
「今年はとれすぎだよ。昨日はもっとあった。ボタンも安いよ」
 よく見ると地面はエビとかさご(ユメカサゴ)で真っ赤に染まっている。そのエビの間から最初に見つけたのがキチジである。北海道の斜里や網走が産地である高級魚のキチジ(きんき)の南限に駿河湾はあたる。トゲヒラタエビ、オキナエビ、アカモンミノエビ、ミノエビ、クダヒゲエビの仲間などが大成丸さんのカゴに山盛りになっている。
「こんなの幾らにもならないよ」
 大成丸さんが嘆く。横で戸田の慈愛丸さんもうなずいている。
 これから値を上げるアンコウ(キアンコウ)やクロムツ、アカムツ、あぶらごそ(ヒウチダイ)、ごそ(ハシキンメ)がほとんど見られない。
 さて今日の底引きのエビを見るに普段貴重なボタンエビ、アカザエビがそこそこにカゴに入れられて並んでいる。甘えび(ジンケンエビ)、シマエビ(ヒカリチヒロエビ)、赤えび(ツノナガチヒロエビ)、本えび(ヒゲナガエビ)も普段通りの水揚げで、全体的に「エビの大漁」を思わせる。

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エビやかさご(ユメカサゴ)の真ん中にアラがぽつんとある

 魚は5キロ近いアラ、マアナゴ、キダイ、でんでん(ワキヤハタ、ナガオオメ)、目光(アオメエソ)、ムシガレイ、ヤナギムシガレイ、ムツ、ごそ(ハシキンメ)があり、げほう(トウジン)、のどぐろ(チゴダラ)も見える。またチヒロダコ、テナガコウイカ。
 底引きはエビの豊漁に仲買や魚屋は喜び、漁師は泣くという状況のようだ。

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