市場図鑑・市場案内: 2007年2月アーカイブ

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 銚子や三陸からくる生のメカジキはうまいのである。でもスーパーなどでは、なかなか国産で生というのには出くわさない。ちょっとお高いデパートやブランドスーパーなんかだとあるにはある。でも切り身1つが700円、800円なんてことになる。
 そんな高級品であるメカジキも中落ちならお気軽に買えるのだ。しかも『源七』のは厳選されている。

 この中落ちを買ってきたら、まずは生で食べてほしい。ボクは刻んだ分葱をまぶして、ニンニク醤油、もしくはショウガ醤油で食べる。また単にショウガ醤油でもいい。我が家の子供たちはマヨネーズしょうゆである。そう言えばカツオやわかし(ブリの幼魚)をマヨネーズしょうゆで食べるというのも、遙か20年以上も前に千葉勝浦のカツオ漁師に教えてもらったのである。また、もし余ったら三杯酢で煮る。もしくは煮つけにするときにレモンを数切れいれて煮上げる。ほかには味噌でたたいて、さんが焼きにもできる。

 ボクはスーパーが苦手である。ほとんど値段を見に行くだけすぎない。スーパーでの値付けは世を反映しているので無視するわけにはいかない。でもあの面白みのない品揃えには、まったく呆れかえる思いがするのだ。そこへ行くと一般の魚屋や市場の「だいだい」の品揃えのなんと面白くて人間味あるれていることか! 
『源七』でのパックも詰めてしまった後と、詰める前では値段が違うし、もっと安くしたいなら自分でせっせとかき取ってくればいいのだ。このときの若だんなとの微妙なやりとりがスリル満点なのである。面白い!
 さて、『源七』の今日のパック詰めはなんだろうね?


八王子魚市場の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


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 築地4丁目から、築地場外、行列のできるラーメンの『井上』、『きつねや』などを通り越して、築地場内を左に曲がる。その道の前にあるのが『長崎県漁連 東京直売所』である。
 ボクの築地での目的が魚貝類を見ることなのだが、場内とともに、ここも外すことの出来ないところとなっている。長崎県は名物のマアジを始め、日本でももっとも魚貝類の豊富なところ、当然その漁獲する種の数も凄まじいのだ。それを長崎県から最速便で持ってくる。
 2月17日にも清潔な見やすいキジハタやクエ、大量のアオハタなど冬にもってこいの鍋、刺身材料が並び、そこに巨大なコマサバ、マサバ、イサキなどが格安で売られている。
 また長崎の特産物のコーナーも、さすがに充実しており、銀座などに出来ている各県のアンテナショップ以上に楽しめそうだ。
 面白いのは長崎県の出身者が立ち替わり、訪れてくること。東京のど真ん中にあって長崎の言葉を聞けるのはここくらいかも知れない。

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入江さんは昨年のシーフードショーで知り合った。まさか『長崎県漁連 東京直売所』の担当であるなんて、最初はビックリしたのであった。

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この干しエビ、よく見るとアカエビやシバエビなどが混ざっている。これなど国産でしかも長崎ならではの優れものかもしれない


長崎県漁連
http://www.jf-net.ne.jp/nsgyoren/
東京直売所
http://www.jf-net.ne.jp/nsgyoren/topix3/index.html


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 築地には年間に20回近く行くのではないか? 主にその季節、そのときどきの魚の状況や値段をこの世界一の魚貝類の市場へ見に行くのが目的なのである。その折りに決して買ってこないのが鮮魚である。これは産地からかなりの量の鮮魚が到来する我が家の特殊事情もあるし、築地がけっしてお安くないということもある。

 じゃあ、なんにも買わないのか? というと必ず買ってくるのがマグロのパックである。これは当日卸したマグロの中落ちや切れっ端などを詰めたもの。だいたい1000円ほども出せば、“うまいマグロ”が手軽に味わえる。でも今までいちども手を出したことがないのが最底辺の500円パックである。
 これには間違いなく本ま(クロマグロ)は入っていない。当たり前だが入っているのはほとんどが冷凍のメバチマグロ。もしくは生のメバチの中落ちである。
 17日に買ったものでも「いいな」と思ったのが冷凍のメバチの2パック。あとは1000円、2000円、高いと1パック5000円なんてものもある。こうなると、高いものには大間のクロマグロが入っている可能性もあるだろう。そんなところが日本一のマグロどころ・築地のすごさなのだ。そんな築地でせこーく500円パックを2個買う。これだって築地の醍醐味のひとつだ。

 ひとつは鮮魚も扱っている『小島』のぶつ。もうひとつはマグロ専門店『高英』のもの。『小島』のはまったくの赤身だけ、片や少しだけ脂のあるところが混ざる。
 さて、これを食べ比べてみる。これが甲乙つけがたいものである。『高英』の脂のある部分はたしかに甘味があってうまいのである。これは1パック400グラム以上入っているだろうから、かなりの値打ちもの。じゃあ赤身だけの『小島』が落ちるかというを、これは赤身としてうまみのある上物なのだ。

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マグロ専門店『高英』で買ったもの。脂の部分が混ざっている

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鮮魚も扱う『小島』のもの。全部赤味だが、うまい。

 築地場内を歩いていて真っ先に気づくのは鮮魚を扱う仲卸と同じくらい、いやもっとマグロだけを扱う専門店の多いことだ。なんとこの狭苦しい場内にあるのは日本一、いや世界一のマグロたちである。当然、安いものでも築地は築地、とうぜん、他にはないうまいマグロが無数に転がっている。だから比較的一般人の入りやすい土曜日や、プロたちが引けた後の9時過ぎなんかの場内でマグロパックを探すのは賢い庶民のあり方なのである。
 明日は休日という土曜日など、お父さんの酒の肴、夕ご飯のお供に築地のマグロパックは安くてうまくて、満足度大。ちょっと贅沢して3パック買ってもなんと千の五百円でしかない。買い方のコツは全部違う店で買うこと、同じ店で買った方が安くなる可能性もありお得だが、食べ比べる楽しさがない。
「これは中落ちよ、こっちはブツ。こっちはマグロ専門店のだから、こっちは?」なんて、まさに誰にでも出来る食の冒険である。これぞ築地食育の最たるもの。楽しいぞ!

 さて、500円と限っても築地場内には買い迷うほど並んでいるのだ。そこに600円とか700円とか微妙な値段のもある。それから今回は“ぶつ”とか“切り落とし”を選んだのであるが、中落ち(三枚に卸した中骨についた肉)だけで比べるというのも面白そう。それなら冷凍ではなく“生”である可能性もあるし、安い本ま(クロマグロ)の可能性も秘めている。


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 1か月ぶりの築地である。時刻は7時半。近年、築地は一般客が早朝から押し寄せて、賑やかなことこの上ないのであるが、今日は人出が少ないようだ。いつものように波除神社、海幸橋をわたって場内に入る。場内はいつものようにターラーが凄まじい勢いで行き交い、激しくハンドルを切り、人と物の間をすり抜ける。積み上げられた発泡の山、古くさび付いた製氷所。
 場内水産棟はここからちょうど扇のように奥に向かって広がっていく。その要に一番近い入り口から入っていく。入った途端に【日本丸大】でちりめんを買っておく。ちりめんはいつも徳島から取り寄せているのだが、ちょうど切らせているのだ。築地場内にあって、ちりめん、しらすの品揃えではこの店がいちばんではないか。ここで買い求めたのが産地不明ながらキロあたり2700円という手頃なもの。これを500ほど買い求める。ちなみにスーパーなどで売られるちりめんの最小単位は30グラム袋、やや大きいもので60グラムなのである。比較して500グラムという分量がわかるだろう。築地場内ではあまり小さな単位で売ってくれない。ちりめんなら最低でも300グラムくらいを買う。

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 場内を見て歩くに、今週の荒天を繁栄して、全般に値段が高いようであるし、まためぼしい魚がほとんどない。そんななか【丸半佃寅】に北海道江差からのイバラモエビ。当地では「鬼えび」である。これは甘エビなどのタラバエビ科ではなく珍しくモエビ科。身がしっかりしていて甘味がある。見ているとご主人らしき人が「それは昨日のだ。ダメダメ」という。さすがに築地は「いいものを売りたい」という気概がある。

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 そのまますすむと【飯田水産】という店でヒメコダイを見つける。この店、いいものおいているな、と感心してヒメコダイを撮影すると。「撮影はだめ」だという。どうもこの店は一般人お断りの店であるようだ。
 活けのトリガイ、クロアワビ、タイラギを見かける。アカガイも豊富にある。さすがに築地だなと思うときである。

 その先に【角に十の字】。ここは珍しくマカジキを扱っているのだ。ちょうどマカジキを解体していて、これが土曜日でなかったら買って帰りたいものである。マカジキは今でこそマグロの陰に隠れているが、その昔は赤身の刺身と言えばマカジキという時代があったのである。

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 魚がないせいなのか、今日の場内は人が少ない。そのぶんじっくり見てまわれるのである。佐島からのワカメ、秋田からの黒メバル、青森からのウスメバル。

 三陸からの“かじか”ニジカジカが目につく。【小島】という店でニジカジカを見ていたら中にギスカジカを見つける。キロ/700円であるので、これを購入する。最近、ギスカジカが八王子に来ないのである。同じく【小島】で冷凍ばちの切り落とし500円も買う。本日の場内歩きのテーマが「マグロ500パックを買ってくる」というもの。

“このこ(マナマコの卵巣)”の袋詰めを【丸富】で見つける。一袋3300円は安い。ロシアからの輸入甘エビ類を解凍して売っている店で東サハリンの種名のないパンダルス属の“ぼたんえび”を見つける。あとは三陸底引き網での“ぶどうえび(ヒゴロモエビ)”。

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 ぼんやり歩いていると、不意に声がかかる。気がつくと【大音】さんの店の前。
「これなんでしょうね」と見せられたのが“青ひらす(ホワイトワレフー)”のスモーク。これは千葉県市川市の三洋食品の作ったもの。なかなか美味なので、【大音】さんに取り扱ってみたらとすすめる。

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 キンメダイ、ヒラメ、オニカサゴにカサゴ、アカムツにクロソイ。なんでも揃ってはいるが珍しいものめぼしいものが見つからない。マハタ、キジハタ、オオモンハタ、アオハタ、クエなどが多いのは冬らしいともいえそうだ。なかには20キロを超えるクエもある。またなかでもアオハタの多さは群を抜いている。

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これは総てアオハタ

 そろそろ疲れたなと思っていたら【高梨】の前に来ていた。その店頭にあった能登産“甘エビ(ホッコクアカエビ)”の値段がすごい、なんとキロ/27000円なりである。
「一本で500円くらいになるんじゃない。二本ならちらし寿司が食える」

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 確かにその通りだがこれは見るだけで満足。他には“鬼えび(イバラモエビ)”、“ぶどうえび(ヒゴロモエビ)”“ぼたんえび(トヤマエビ)”。どれも半端な値段ではない。

 築地魚市場というのは鮮魚だけがいいのではない。先の【日本丸大】はちりめん干物、乾物。
【近長】には見事な昆布が何気なくおかれている。いい昆布を見ると無理しても買いたくなるのだが、今回は断念。

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【丸蒲食品】には各種すり身。“ぐち(シログチ)”ハモ、“たら(スケトウダラ)”、これを買ってきて自家製の練り物を作るのもいいだろう。

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 そろそろ9時近い頃、マグロの【鈴与】で鮟鱇さんに出合う。その【鈴与】に珍しくコシナガがあって、なんと売れてしまっている。これは残念至極。これはもう何年も探しているもの。寿司図鑑にはどうしても欲しいマグロネタなのである。今年は幸先悪しである。


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 築地場内は日本広しといえど、見て回るにこれほどワクワクする場所は他に見いだせない。すなわち大人の、食に感心のある人にとっての最高の遊び場である。ただし場内と言うところはあくまでプロが最優先される。一般人は一歩下がって、見て回り、そして買い物をすべきである。
 そんな築地での買い物指南をするなら、これぞというものがいくつかある。もちろん鮮魚の素晴らしさは世界一、これ以上ないものがふんだんに見受けられる。でも初めての築地だったり、あまり魚を扱い馴れていないという人には、鮮魚は冒険過ぎるものかも知れない。そんなプロ的な場内にあって初心者が気軽に買い物が出来るのがマグロ屋と天種専門店である。

 今回の『山五』は天種の店。この手の店にあるのは、めごち(スズキ目ネズッポ亜目ネズミゴチ科の仲間数種類をさす)、シロギス、マハゼ、クルマエビやシバエビ、貝柱(バカガイのもの)などである。他にも季節季節にいろんなネタが到来している。この時期ならマダラの白子なんかもある。「へえー白子も天ぷらになるんだね」なんて驚かれるだろうか? これがプロの手にかかると至味となるのである。
 プロはここで天種を探して持ち帰って仕込みをする。でも初心者や忙しい向きには、ここで開いているのを持ち帰ると便利極まりない。しかも初心者なのに、まるで「天ぷら職人のまねごと」が家庭で出来るのだ。

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 今回ここで見つけたのがギンポである。漢字で書くと「銀宝」。江戸前の天ぷら種としては今では幻ともいえそうな魚。味は当然最上級である。
 見た目はまるでドジョウのよう。背ビレが硬く、素手で触ると痛い目に遭う。天ぷらにするには持ち帰り、背から開き、硬い尻ビレを丁寧に取り去る。これを一般人がやろうとすると大変である! 10本も開くのに小一時間もかかり、身がぐちゃぐちゃなんてこともあり得る。ここは素人と自認して開いたのを求めてくる。持ち帰ったら、開いたものをもう一度丁寧にチェック。残っているヒレや小骨を取り去る。
 後は揚げるだけである。薄力粉を冷やしておく、あまり衣を練らない、油の温度が低くならないように少量ずつ揚げるなど基本に忠実に。これだけで信じられないほどうまい「銀宝の天ぷら」が出来上がる。

 築地場内ではなんども天種を買ってきている。この手の店で売っている小柱なども最上級のものが多い。またシロギスのある店ではそれを、シバエビのある店で一品と買い足していくのも楽しいだろう。注意すべきは店の人が忙しいときや、過度な質問は避けるべき。築地での買い物はあっさり速やかにが原則。蛇足だが、場内で天種を買って、これも築地の八百屋で「天ぷらに使える野菜ありますか?」と買い求めてくると、その日の天ぷらは完璧なものとなる。築地場内場外の八百屋はそれは見事な野菜が揃うのである。
 今回の『山五』は天種の店として、とても親切であった。これは特筆すべき点。


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