管理人: 2009年2月アーカイブ

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 八王子綜合卸売協同組合『マル幸』の前で思わず脚が止まる。
 あれれれれ?
 「赤エビ」じゃないの。
「おーい、クマゴロウ、これどこの。懐かしいなこれ。沼津じゃないの」
「これなんていうエビなんだ」
「ツノナガチヒロエビだけど」
「産地わかんねーや。適当に考えて」
 箱の脇には「赤エビ」とあるから、やはり沼津産じゃないだろうか?
 秋の解禁から一度も底曳網の水揚げを見ていない。

 深い深い駿河湾の底からあがる、深紅のエビ、それがツノナガチヒロエビだ。
 生で食べると油で胸焼けする。
 それが甘辛く煮るとうまいんだな。
 思わず産地不明のまま買ってしまった。

 そしてお父さんのひとりだけのお昼ご飯は、「赤エビの煮つけ」だ。
 戸田(静岡県沼津市)の底曳網漁師さんは、ユメカサゴ、チゴダラなどの魚にツノナガチヒロエビを必ず加えて甘辛く煮て、船上での昼ご飯のおかずとする。
 これがまことにこたえられないほどにうまい。
 普通、船上でうまいものが、自宅なんかで食べると、思ったほどうまくない、なんてことが多い。
 でもツノナガチヒロエビに限っては自宅で食べても、やっぱり感激一入のうまさだ。

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 さて、煮つけを食べ食べ、ご飯をかきこみ、最後に煮汁に熱湯をかけてすする。
 このときも、煮汁は加減すること。
 思ったよりもクセがある。
 クセがあるんだけど濃厚にうまいのだ。

 さて、戸田の底曳船にまた乗りたいものだ。
 そして未知の生物に出合いたい。

2009年2月27日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ツノナガチヒロエビへ
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八王子の市場に関しては
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 朝方猫の太郎に起こされる。
 猫にドアは開けられない。
 だけど開けてくれるまで、ドアをいつまでも「カシャカシャ」と猫の手でかきむしる。
 うるさいので起きあがると午前3時半なのだ。
 結露した窓をぞうきんで拭く、よく見えないので窓を開けると雨が降っているようだ。
 そのまま眠れなくなり、『牡蠣礼賛』(畠山重篤 文春新書)を読む。
 この新書は素晴らしい。

 午前6時半、朝食を作り始める。
 昆布カツオ節だしをとる。
 ホウセキキントキの干物を焼く。
 卵焼きを焼いて、冷凍してあった、ちりめんを出す。
 だしは素麺用、大急ぎ温かい素麺を作る。
 本日太郎、五郎、食欲なし、姫は食べ過ぎ。
 猫の松太郎、梅太郎はホウセキキントキの干物を分けてやると「ニャン」と鳴いて喜ぶ。
 結局ボクは朝ご飯ほぼ抜き。

 8時過ぎに、市場へ。
 本日は慌ただしいので八王子魚市場を飛ばして、八王子総合卸売センター。
 『市場寿司 たか』のたかさん、やっと風邪が癒えたようだ。

 高野水産にも、マル幸水産にもあまりめぼしいものはない。
 『やまぎし』でまたしてもメバルを買う。
 胸鰭の軟条数は16だからクロメバルということになる。
 昨日のは胸鰭が15なのだからクロメバルは難しい。
 お隣のコリアフーズでばかな世間話。
 キムチは買わなかった。
 またさる仲卸で殻カキ5つ。

 八王子総合卸売センター『さくら』で「腹が減って動けない」というとまささんが“イカのあんかけ飯”を作ってくれた。

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 まことに美味、うまかったので元気が俄然湧いてくる。
『カワベ』で豚ロース、ハム。
 隣の『ジャックス 冷凍部』で冷凍グラタン。

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コマちゃん、今日のおすすめは。「すき焼き用がいいよ」

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 帰宅途中に旗野農園で霜に当たって短くなった大根たくさん、水菜、壬生菜、拳ほどの大きさのキャベツ、イチゴを買う。
 加温ハウスではイチゴが収穫期、トマトが伸びてきているのが見える。

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 浅川土手から多摩丘陵を見ると霧のような雨がしわしわと降る。
 このとき島根からケータイ。
 寒い中、20分も話し込む。

 帰宅後、クロメバルを撮影。
 図鑑の改訂を始めようとしたら、ケータイがなる、ほどなくまたケータイがなり、またケータイがなる。
 結局改訂できず。

 正午過ぎ、殻ガキ(マガキ)5つと、「潮カツオ」のお茶漬けでお昼ご飯。
 どうしてお昼にマガキかというと、疲れているからだし、『牡蠣礼賛』を読んでいて突然食べたくなったからだった。

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疲れがたまるとマガキが食べたくなる。これは科学的にも正しいのだ

 このカキがひどい代物だった。
 1時前に都心に出る。

 よしなしごとを終え、午後9時過ぎの立川駅。
 家庭の事情ですぐに帰りたくないので南口の『太鼓』へ。
 ここでバカなオヤジを相手に酒を飲む。
 こっちもバカだからむしろ居心地がいい。

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 ボクの場合、この店では勝手に注文できない。
 オヤジが勝手に酒を選び、肴を出す。
 砂肝の串、カツオの塩辛とチーズ、ブリ大根、焼きジャガイモ。
 オヤジ、うまいぞー!

 午後10時過ぎの立川駅は混んでいた。
 かなり出来上がっているサラリーマン組が、「麻生は金で代議士になったんだろ、中川は二代目ってだけじゃん。こんなのが政治やってるんだから不況にもなるわな」、「まあそれを言うな。バカな政治家を選んだのは国民、俺たちなんだから」なんて会話が聞こえる。
 脇で仲間が大変なことになっている。
 しゃべっていないで介抱してやれよ、と言いたくなる。

2009年2月26日
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 朝方5時半に起きた。
 半時間ほど読書。
 『まどさん』(阪田寛夫 ちくま文庫』である。
 「ぞうさん」をかいた、まど・みちおの評伝で著者は「サッちゃん」の阪田寛夫だ。

 朝ご飯はボクは目刺し(ウルメイワシ)、子供は豚肉と玉ねぎ入りの他人丼。
 子供達は親子丼よりも他人丼が好きだ。
 水菜、壬生菜、春菊のお浸し。
 納豆、みそ漬け。
 アジ煮干しだしのみそ汁、具はニラと油揚げ。

 午前中は島根報告書を書く。
 ここ数日来これに取りかかっている。
 また画像の整理。
 なんと3日間で600枚もたまっている。

 買い物がてら10時過ぎに近くのパン屋で子供にメロンパン。
 帰宅して、ホウセキキントキ、シロサバフグ、シログチ、メバル(アカメバル)、冷凍スルメイカの干物を外に干す。
 このところ雨、また雨で、10時半雨が止んだ(?)はいいが、空は黒く重苦しい。
 か細い霧のような雨がときおり黒く筋のように見える、ヒヨドリがけたたましくなく。
 こんなとき与謝蕪村の俳句を思う。
 雨にヒヨドリ、刺すような冷たい風。
 蕪村ならどのような言葉を選ぶのだろう。
 午前中はひたすら文字を打つ。

 昼食にたたみいわし、ゴマサバのフライ(冷凍してあったのを揚げる)、他人丼の残り。
 今日から粉茶に、きゅうりのキュウちゃん。
 午後一番に都心に向かう。

 夜10時過ぎに帰宅。
 津和野「包友会」にいただいた「アユカケゴリ(アユカケ)」の燻製。

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アユカケゴリの燻製。アユカケは高津川産。非常に美味。

 たたみいわし、島根県産板ワカメ、ソコイトヨリの若狭焼きで日本酒2合。
 酒は島根県津和野の『華泉』。

2009年2月25日
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2008年2月24日

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朝食は7時過ぎ、塩ベニザケ、肉じゃがの残り、アジ煮干しだしの具だくさんみそ汁。
加えるに『岩永邦商店』のあご野焼き、イカの塩辛、『だんだん工房』の漬物。

八王子魚市場、八王子総合卸売センター、八王子綜合卸売協同組合と回る。
海老辰でタカアシガニ発見。

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「産地どこだろうね」だって、ちゃんと調べておくこと。

八王子魚市場でモロトゲアカエビを購入。

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これがキロ当たり5000円である。なかにはまだ生きているのもあり、これでも安い。

1尾30グラム前後、4匹で550円なり。

八王子総合卸売センターやまさんにて静岡県産たたみいわしを購入。
八王子総合卸売センター高野水産でホウセキキントキ、シロサバフグ。
和歌山県出口水産の入会でキロ1000円で2匹で580円。
八王子綜合卸売協同組合やまぎしでメバル(アカメバル)を購入。
三浦半島の入会でキロ1000円で300グラム強。
支払いはオマケしていただき300円。
『カワベ』で鶏もも肉購入。
牛コマがうまそうだったのだがやめる。

『さくら』でうどんの試食。

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夫婦して上州地粉と悪戦苦闘。ほんまにオモロイ夫婦やー!

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これが『さくら』のうどん。完成間近だ!

この不思議な夫婦、こんどはうどんも始める気だろうか?
うどんの方はまだ発展途上ながら汁はまさに絶品。
すごいうどんの完成は近い。
この日『市場寿司 たか』渡辺隆之さんは風邪で休業。

帰宅後総て撮影。
モロトゲアカエビ(しまえび)は撮影後食べてみる。
非常に非常にうまい。
酒が欲しいな。
シログチの塩焼き、ホウセキキントキの刺身、ご飯は茶碗3分の1で昼食。
お茶は「はま茶」。

そして都心へ向かう。

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 大阪、和歌山で「泥さざえ」、「いしかち」なんて呼ばれているのがミヤコボラ。
 底曳網などでさかんに水揚げされる。
 これこそ関西ローカルな食用貝だと思っていたら、このところ関東でもよく見かけるようになっている。
 この貝の標準和名を知る人は中央魚類の石川さんくらいだろうけど、この画像の「ホラ貝」はないよな。
 「都法螺」なら売れるでしょうに。
 なにしろ煮て食べると非常に美味ですから。

2月17日 築地場内
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ミヤコボラへ
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 関東の市場ではほとんどマテガイを見ることがない。
「そんなことはない。このところ毎日のように来ていますよ」
 仲買などではそんなことをいう。
 残念ながら、関東の市場に毎日のようにやって来ているのはマテガイではなくオオマテガイなのだ。
 マテガイが潮干狩りなどでとれるのに対して、オオマテガイはそれよりも深いところに生息する。
 友人のセトボンの情報によると、山口県では、これを潜水漁でとっているのだという。
 房総半島以南にいる貝だから、別に資源的には山口県が特に多いわけでもないのだろうけど、ようするに潜水漁を行う地域でしか水揚げできないという代物なのだ。
 土曜日にオオマテガイを見つけて、4本ほど買い込む。
 キロ当たり1200円で、量りに乗せたら、クマゴロウ(八王子綜合卸売協同組合マル幸水産)がよく見もしないで、「250円置いておけよ」と言ったのだ。
 クマゴロウ、オマケしてくれたんだろうね?

 我が家ではオオマテガイは貝殻のまま直火で焼く。
 貝から外して、水管と足に分けて、開いてから湯がく。
 貝から外してたっぷりのバターで焼く(ソテー)するなんてこともやっている。

 今回は近所の農家で作っている大葉春菊、水菜、芹(千葉県産)、日本ほうれん草をゆでて、三杯酢に浸しておく。
 オオマテガイ4個は開いて振り塩。
 直火で急速に焼いて、トントンと刻んで三杯酢のお浸しにざっくりと和えてみた。

 食卓に緑があるのは、なかなかうれしいものだ。
 そして三杯酢に浸した青菜がうまい。
 オオマテガイは貝らしい旨味を適度に発揮してくれているのだけど、今回は脇役だな。

 これは誰でも知っていることかもしれない。
 ただ、心配なのでつけ加えておく。
 お浸し、酢の物などに葉物野菜を使う。
 そんなとき何種類かミックスすると、1種類の葉物のお浸しよりも、ぐんと味がよくなるのだ。
 これは200坪ほどの畑を耕作していたときに覚えたことなのだけど、一般家庭でも必ず知って置いて欲しいたぐいのものだ思う。

 さて、週末土曜日は厳しい寒さで、震え上がる。
 近所の食用梅の花は満開なのに、冬に逆戻りしたかのようだ。
 猫の梅太郎がやけにボクの膝に乗ってくる。
「お前も寒いんだね」
 梅太郎は娘猫なので余計に寒さが身に染みているようだ。
 可愛そうなので熱燗を顔にまぶしつけてやる。
 うれしそうだ。

2009年2月21日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、チョウセンハマグリへ
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コイ目コイ科タナゴ属、アブラボテ属を改訂
コイ目の目次へ
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カネヒラのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/koimoku/tanago/kanehira.html
アカヒレタビラのページを作成
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掲載種 2001


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 1月16日に行った埼玉魚市場ではあまり収穫がなかった。
 ようするに地方市場として優秀であるという印象をもったのみ。
 そんななかでも唯一埼玉らしいものを発見して、それが寄居町でとれたという雑魚である。
 寄居町は埼玉県北部にある人口3700人ほどの小さな町。
 荒川に面しており、なんとなく水の町という印象を持つ。
 場内『埼光水産』で見つけた雑魚は、寄居町でたったひとり雑魚漁をやっている方から来たものだという。

 これを、さいたま市近辺では醤油で煮るのだという。
「絶対に砂糖なんていれたらダメだよ」
 こう言われて酒と生醤油だけであっさり煮てみた。

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 これがなんとも野趣溢れた料理となって、はらわたのほろ苦いのがいい酒の肴となった。
 埼玉県には荒川をはじめ無数の河川、水路があり、昔はさぞや淡水魚をよく食べていたものなのだろう。

 さて料理する前に魚を同定(検索)してみる。

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 コイ目コイ科のモツゴ、タモロコ、ニゴイ、アブラハヤ、ウグイ、タイリクバラタナゴ。

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モツゴへ
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タモロコへ
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ニゴイへ
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アブラハヤへ
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ウグイへ
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タイリクバラタナゴへ
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 コイ目ドジョウ科のドジョウ。

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ドジョウへ
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 ナマズ目ナマズ科のギバチ。

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ギバチへ
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 甲殻類十脚目テナガエビ科のスジエビ。

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スジエビへ
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 以上9種類。

 また埼玉魚市場に行こう。
 そして雑魚を買ってみよう、という気持ちになった。

埼玉魚市場
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 八王子総合卸売センター『高野水産』の前にくると、近所の居酒屋オヤジが駈け寄ってきた。
「これ“スミイカ(コウイカ)”じゃないよね」
 まな板の前にいた高野社長もやってくる。
「これなんだっけ、それ」
 毎年来ているはずなのに、イカの種類はなかなか覚えられないようだ。
「エゾハリイカだよ」

「これ、子供なのかな」
「違うよ。大人。この時期まとまってとれるんだよ」

 と、これが毎年この時期の仲買、飲食店主とのやりとりなのである。
 エゾハリイカは関東の市場ではそんなに珍しいものではない。
 三陸、常磐などからこの時期にどっと入荷してくる。
 今回のエゾハリイカも茨城県の大津港からやってきたものだ。
 形が小さい上に、薄汚れて見えるので人気がないのだろう。
 季節が移り変わると、すぐに忘れ去られる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、エゾハリイカへ
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 島根県大田市(おお「だ」し)で行われている小底(小型底曳網)の魚が素晴らしい。
 日戻り船だから鮮度抜群なのは当たり前なのだけど、その上、この海域の魚の味が抜群にいいのだ。
 さて、この和江漁港でたっぷりとれるものにニギスがある。
 この干物に旨さたるや最上級のものだ。
 ビールを片手にニギスの丸干しなんて「もうたまりません」。
 でも小型のニギスをどうするか? が目下の課題なのだ。
 その大小混じりのニギスはすり身にするのがいちばんだと思って、和江にたずねてみたら「ウチで作っていますよ」という。
 島根というところ、なんでもすり身にしてしまうらしく、あの「のどくろ(アカムツ)」だって小さいものなど即すり身にしてしまって魚屋の店頭に並ぶ。
 とするとニギスのすり身がないわけがない。

 さて島根県石見地方で作られるすり身がいかにうまいかという話なのだけど、とくにニギスのすり身が優れているのは小骨などが軟らかくそのままミンチにできること。
 小骨などが入っていると言うことはカルシウム分がたっぷり入っているわけで、その上、必須アミノ酸、鉄分などもたっぷりだ。
 これで味がよければ言うことなし。
 ということで和江の『海の特産品加工センター』にすり身をゆずっていただいた。

 これを団子状にする。
 今回はただのすり身だが、本来和江で売られているものは予め味つけしている。
 これも抜群に味がいいと書き忘れないように書いておこう。
 我が家では酒少々、塩、全卵を合わせて団子にする。
 団子はやわらかくプルンプルンになった。

 まずはおでんに入れてみる。
 熱を通すと、またふわっと膨らみながら、汁には旨味を出しながら、けっして団子自体の旨味も失わないようだ。

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 このプルンがとてもうまい。
 甘みを加えているわけでもないのに、甘いのは脂があるのだろう。

 島根県大田(おおだ)ならではの「へか焼き」という鍋にしてもみた。
 「へか焼き」は地魚を野菜、コンニャク、豆腐、海藻などと醤油味の汁で作る鍋物。
 大田の「へか焼き」では基本的に単に醤油味なのだけど、我が家ではそこに酒を加えてみた。
 今回の魚はマガレイ。
 大田の小底であがる魚ではカナガシラ、「れんこ(キダイ)」、「めいぼ(ウマズラハギ)」、そしてなくてはならないのがカレイ類。
 とくに「えてがれい(ソウハチガレイ)」が入ると抜群に味が良くなる。

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「へか」とは農具の「すき」のこと。一般的な「魚すき」のことだと思えばいい。ただ中に入る材料や味つけにその地ならではの特色がある

 このニギス団子入りの「へか焼き」がビックリするほどにうまい。
 適当に汁ごとすくいながら、食べるのだけど、最後まで野菜を足し足し食べるのがコツである。

 毎日のように食べて、ぜんぜん飽きの来ないニギス団子って素晴らしいな。
 ボクは昔からイワシのつみれ団子が好きなのだけど、ニギスはそれに負けず劣らずだ。
 現代人のカルシウム不足が叫ばれている、「ニギスの団子食べなさいよ」と皆に勧める今日この頃なのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ニギスへ
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素魚発見!

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 素魚発見!
 といってもこの「素魚」を読める人は少ないのではないか?
 これをシロウオという。
 「シ」の次にくる「ロ」に注目して欲しい。
 素魚(シロウオ)は春の風物詩とされるが、ぜんぜん遠い魚の仲間に白魚(シラウオ)というのがあって、見た目も名前もまぎらわしく、よく混同されている。
 ちなみにシラウオはサケ目シラウオ科。
 シロウオはスズキ目ハゼ亜目ハゼ科。
 両種とも春の魚である。
 今回のものはシロウオ。
 毎年2月半ばに、佐賀県の「飴源」からやってくる。
 
2009年2月16日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、シロウオへ
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ハリゴチ科を改訂
ナツハリゴチのページを作成
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掲載種 1999


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「これ産地わからないの」
「ええと、後で調べとくよ」
 仲卸に聞いたのだが、これっきりでお仕舞い。
 買い求めたネズミゴチの産地は結局わからなかった。
 値段はキロ当たり800円だから安い!

 このネズミゴチの価値というか食用魚としての位置が難しい。
 一般家庭ではまず買い求めないものだろう。
 買い手は100パーセント飲食店の方達。
 とくに天ぷら屋にはなくてはならない。
 ボク個人の意見だが天ぷら屋にキス(シロギス)がないのはゆるせる。
 でも「めごち(ネズミゴチ)」がないのはゆるせません。
 値段は鮮度が良くても多寡が知れている。
 ようするに天ぷら屋では手間を食べていることになる。

 さて、久しぶりの「めごちの天ぷら」だが、我が家のこども達が大好き。
 たくさん揚げたのにボクは2本しか食べられなかった。
 いつも不思議に思うのだけどネズミゴチには独特の風味がある。
 香りと言ってもいいだろう。
 ざくっとした白身に微かに鼻に抜ける香り。
 どうやらこの独特の風味の良さがこども達にもわかるらしい。

2009年2月16日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ネズミゴチへ
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 島根県益田に名物があり、その代表選手がチョウセンハマグリである。
 チョウセンハマグリとは聞き慣れないだろうけど、築地などで「地はま」と呼ばれて、大層な値段がついている国産天然のハマグリのことだ。

 ちょっとチョウセンハマグリのことを書いておく。
 国内には内湾性のハマグリと外洋性のチョウセンハマグリがいる。
 残念ながら内湾性の方は危機的な状況にある。
 だから「地はま」というのがチョウセンハマグリを差すことになる。
 ただ、外洋性だって、そんなに安穏、堅調とはいかない。
 常に資源管理を心がけないと、すぐに枯渇の憂き目に直面する。
 ともに国産は高価であり、特に大型となるチョウセンハマグリたるや歩留まりの悪さからも、超高級であると思ってもらいたい。
 蛇足だが、標準和名の「チョウセンハマグリ」というのは出来るだけ早く改称すべきだ。
 例えば、国や地域(海外の)が冠されているものに「台湾ガザミ」がある。
 これはあくまで「台湾=南方の」の意味だが、「朝鮮」にはこのような学術的な意味合いが皆無だ。
 朝鮮半島には様々な恩恵を受けているし、深く血縁で結ばれる地でもある。
 このように「本」に対しての「異」的な使い方は失礼極まりない。
 ボクが提案する新標準和名は「ゴイシハマグリ」である。

 閑話休題。
 益田のハマグリのなにが珍しいかというと、漁法である。
 普通、ハマグリは桁網(底曳網)でとる。
 それが浜田では小舟をあやつり一個一個、箱眼鏡で探し出して、鉾で突いてとっているのだ。
 朝鮮半島から、北海道、千葉、伊豆半島、山陰、長崎にかけて行われているものに見突き漁(磯見漁)というのがある。
 主に磯場でハマグリやアワビ、海藻など箱眼鏡を使い鉾、竿、ヤス、カギなどをつかいとるもの。
 「イソマワリ」、「メズキ」、「ツキンボ」、「カナギ」、「イソツキ」など地方地方で様々な呼び名がある。
 それが益田では「磯見」となる。
 普通磯周りで行われているものを、砂地の貝に応用したのは益田の漁師さん達の独創である。
 底引きではなく、一個一個とるために決して取りすぎることがない。
 取りすぎないから大きく育つ。
 これ以上資源管理的に優れた漁はないのだ。

 今回のものはJFしまねの佐々木さんにいただいたもの。
 佐々木さんは「清流高津川日本一を祝う会」のメンバーでもいらして、その活動範囲は広く大きいのだ。
 さて、いただいたものは大振りで見事なもの。
 当然、いちばんうまい食べ方だと思っている。
 焼きハマグリにしてみる。
 強火であぶったらただでさえ膨らんだ身が、余計に膨らんでいい匂いが立ちこめる。
 味つけは生醤油と清酒のみ。
 もったいないのだけど味つけの酒に益田の銘酒「扶桑鶴 純米吟醸」を使う。
 この焼きハマグリの旨味甘みの芳醇無比であること筆舌に尽くしがたい。
 ほおばるに口の中がパラダイス化してしまう。

 今回は煮はまにすべく、焼きハマグリは最小限としたことに空しさを感じる始末だ。
 しかし、益田のハマグリのなんと美味であることか!
 
2009年2月12日
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参考/『磯漁の話』(辻井善弥 北斗書房)


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 昨年から旅に次ぐ旅である。
 毎月のように旅に出て、その土地土地の産物を見て回っている。
 もちろんあくまでも仕事であるために、疲労困憊しながらもうまいものをできるだけ食べて、お土産も欠かさない。
 ボクがよく旅をしていると聞いて、「さぞやうまいものを食べてくるんでしょうね」なんて言う人がいる。
 特に市場を見て回ることが多いので「おいしい魚いっぱい食べたでしょう」と思われているようでもある。
 残念ながら、市場で見かける素晴らしい魚、地元の人は食べられても、ほとんどの地域で旅人のものじゃない。
 なんと、旅先で店に入って、いざ地物を食べたいと思っても、いきなり養殖カンパチ中心の刺身が出てきて、悲しいやら、情けないやら。
 旅人が食べたいのは、地の魚なんですと言っても、「メニューに載せられませんから(毎日はないから)」なんてアホな理由で、陸送(よこから持ち込んだ)ものの魚が出てくるのだ。
 写真付きの品書きなどを作っている料理店がある。
 品書きを印刷しているところも多々存在している。
 割烹料理店などとうたっているのに出す料理を固定しているのだ。
 このような愚かしいことはファミレスだから許されるのだ(最近はファミレスだっていろいろ工夫している)。
 普通の料理店がファミレスの真似をして勝てるわけがない。
 まともな割烹料理店はそんな下等で下品な行為はやめるべきだと思う。

 金沢では老舗の食堂『寺喜屋』でうまい地魚が食べられた。
 しかもたっぷり、当然、幸せな気分になった。
 その上、お土産に買ったお刺身がよかったのだ。
 多くの町で地魚を飽食するなんて高望みなことは不可能となっている。
 「いやいや探せばありますよ」と言われるかも知れないが、旅人には無理、旅人が歩くような場所に限ってろくな食い物がない。
 そこへいくと金沢はすごいぞー。

 ボクが思うに、各地の料理店などで地魚をふんだんに食うのは難しい。
 むしろ町の普通の魚屋さん、市場、スーパー、ときにデパートなどにはふんだんに地魚の刺身が売られている。
 最近の交通事情を鑑みると、帰宅に要する時間はますます短縮傾向にある。
 氷を入れてもらって、水漏れしないように包装していただくと「お土産に刺身」というのも難しくないのだ。
 ということで最近では地魚はお土産で、という仕儀となっている。

 金沢と言えば天下に名だたる近江町市場。
 この市場観光客向けの面もあるにはあるが、未だに金沢の台所、すなわち“ケ”の市場としての機能を充分果たしている。
 今回の大松水産にも地元客がいっぱいいたのだ。
 そこで見つけたのが「白ばい」の刺身用パック。
 「白ばい」の標準和名はエチュウバイ。
 越中富山だから「富山でたくさん揚がる」と思いきや、主な産地は山陰である。
 今回の「白ばい」も地物ではないようだが、金沢には日本海中からエッチュウバイなどが集まってくる。
 日本でいちばん「白ばい」が好きな県と言ってもいい。
 だから金沢で「白ばい」を買うのは妥当なのだ。

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 小振りのエッチュウバイ4個、ワタを取り去り、よくよく滑りを揉み出してきれいである。
 脚とワタの中間にあるヒモまでていねいに添えられているのがうれしい。
 値段を失念したのが返す返すも大失敗だが、「安いな」と思ったのは間違いない。

 金沢から4時間以上掛けて帰宅。
 適当に刺身状に切るだけで、忙しかった旅最終日のボクの酒の肴となった。
 エッチュウバイ(エゾバイ科エゾバイ属)の旨さは甘さである。
 エゾボラ類(エゾバイ科エゾボラ属 いわゆる真つぶなど)がコリコリした食感を楽しむのに対して、旨味甘みを楽しむ。
 酒の肴としてしみじみこの旨さを堪能するとともに、「関東ではなぜエッチュウバイの刺身を食べないのか」不思議で仕方ない気持ちになる。
 さて、改めて書くけど金沢大松水産の「白ばい」の刺身はうまい!

大松水産
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 宍道湖に七珍というのがある。
 ややこじつけのきらいはあるが、数に当てはめるとなにやら上等なものに思える。
 そして同じ島根県隠岐には百珍ともいえそうな珍味佳肴があるのだ。
 特産のサザエ、ウニ、アワビ、海藻などを使い。
 また陸もの(おかもの)だって多々ある。
 その陸ものと海のものを合わせて作ったのが「うに味噌」である

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 ウニのまったりとしたうま味、そして甘みに地の味噌を練り合わせている。
 この箸ですくっては酒で流し込むのが舌に心地よく、また酒がすすみすぎて困る。
 味噌もまったりとして、ウニもまったりしている。
 ふわっと浮き上がってくるのが、これまたウニの風味なのだけど、これがたまらない。

 また焼くと、ウニの風味がもっと強く感じられて、酒の後のうに味噌味の焼きおにぎりは言葉にできないうまさなのである。
 この小さな一瓶にこれだけのうま味が凝縮されていることにも驚きを感じる。

味彩海道 島根県隠岐郡隠岐の島町平136-1
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明日から島根です

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 明日2月8日から島根県浜田市にいます。
 浜田市で画期的な懇談会を開くことに。
 たのしく有意義な会としていものです。

 そのためただでさえ、滞っているコメントへの返信、メールへの返信が遅れることになります。
 我ながらデータ整理に追われて、時間がないためなので悪しからず。
 来週末には帰宅します。

 島根県だけではなく、いろいろ市場巡りもしたいのですけど予定は未定。
 今回は神戸、下関などを見られたらと思っています。


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 ときどきもの凄く大きくて立派なイワシの丸干しを見つける。
 よくよく見るとアメリカ産であることが多い。
 煮つけなどのパック、総菜類でも「産地アメリカ」は普通となっている。
 ある日テレビを見ていたら魚にこだわっていますという割烹料理店のイワシの煮たものが、実はアメリカ産だったなんてお笑い草もあるのだ。
 どこかこっそりアメリカ産マイワシというものがカリフォルニアイワシなんであるな。

 市場で丸のままみる機会が多くなるのが、この2月、3月、4月あたりだろう。
 国産のマイワシの味が落ちるし、産卵でとれなくなる。
 そしてやっぱり2月6日に発見する。
 ちゃんと産地表示したれっきとしたSardinops sagax、カリフォルニアイワシ。
 千葉県銚子市の『イリヤマサ加瀬商店』が冷凍輸入したものを解凍したものだが、値段はけっして激安ではない。
 ほどほどにキロ当たり500円なり。

 ボクは久しぶりに買い求めて、フライにする。
 これが朝ご飯の一品に。
 遅く起きてきた、太郎にはサンドイッチにして無理矢理食わせる。

 改めてカリフォルニアイワシうまいな! と思う。

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 我が家の煮つけには3種類ある。
 一、汁を少なく煮あげるもの。
 これは主に濃い口醤油を使い、砂糖、酒、味醂などこってりしたもの。
 汁はやや多目、あっさり味のもの。
 二、鮮度のいい魚を、煮たった汁のなかで火を通す。
 煮汁は酒(ときに味醂)と醤油のみでやや多目。
 深めの鍋で、身に煮汁をかけながら、アクをすくいながら短時間で作る。

 三、つゆたっぷりで長時間かけて煮るもの。
 煮物というよりも汁、もしくはスープだ。
 これは別に和風にしなくてもいい。
 白ワイン、塩、水、ブーケガルニ、ニンニクなどで作ると、これもまたなんとも美味である。

 今回のカサゴ2種は、沼津前浜のもの。
 活けで見つけて、佐政水産の青木修一さんに競り落としてもらった。
 一尾100グラム前後の小振りなものだ。

 刺身にしてもいいけど、ちょっともったいない。
 むしろ汁にして、カサゴのうま味を余さず堪能すべしと思う。

 カサゴは適当にぶつ切りにし、湯通し、冷水に落として、鱗や汚れをとる。
 よく水分を拭き取る。
 調味料を合わせる。
 酒、塩、薄口醤油、水を合わせて、沸騰させる。
 そこにカサゴのぶつ切りを加えて、ことこと煮ていくのだ。
 アクをていねいに取りながら20分前後も煮ていく。
 煮汁のなかでカサゴをほぐしながら、汁ごと食べる料理なので味つけは控えめに。

 大振りの取り鉢などに、汁ごとカサゴをすくい取り、骨を外しながら食べていく。
 ネギ、唐辛子などの香辛料は好みのまま。

 汁でありながら、酒のアテにもなる。
 これこそ家庭で作りたいという料理である。
  
2009年1月18日
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 思わずうなるほどうまいものがある。
 例えばマガキの酒蒸し、蒸したものなど、最たるものではないかと思うのだけど、意外に一般家庭ではやらないようだ。
 我が家の蒸しガキの作り方が頑丈なフッチェンロイターの皿にマガキを4つ、5つ並べ、電子レンジでチンというもの。
 よく寸胴鍋などで酒蒸しにするのだけど、明らかに文明の利器である電子レンジに味で軍配が上がる。

 さて、簡単な料理なのだから、殻付きカキを買ってきて頻繁に作ればいいと思われるだろけど、意外に我が家でもそんなには作らない。
 なぜだろう?
 理由はないのだけど、まさかとは思うのだけど、蒸しガキのためにわざわざ、殻付きカキを買い、フッチェンロイターを出すのが疎ましいからだろう。
 しかも殻付きマガキをいくつ買うのか?
「ええい面倒だ」と思っていた矢先に面白いものを見つけた。
 そのまま電子レンジでチンすると蒸しガキになるという優れもの。
 ただ問題なのが商品名がないのだ。

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 パッケージを見ても、細かく見ても商品名がない。
「なんだこれは?」
 仕方ないので、一番大きな文字である「殻付きカキ」とだけ言っておこう。

 要するに紙の防水パックに殻付きの生きたマガキを入れて、フィルムをかぶせたもの。
 中には7つのマガキが入っている。
 フィルムに小さな穴を開けて、あとはチンするだけよ、なんだからうれしいね。
 仲卸での値段は今回は出さないことにする。
 でも殻付きカキで1個あたり100円が相場だから、700円しても安いな。

 この容器ごと電子レンジに入れて回すこと4分。
 またまた容器ごと取りだして、フィルムを破くと出来上がりだ。
 皿を用意する必要がない。
 このままの方が容器を移し替えるよりもうまいだろう。
 蒸し加減も上々で、とにかく香しい、うまそうな匂いがただよってきて、思わず殻付きマガキを手にとる。
 この芳醇で、膨大なうま味のかたまり、しかも香りの高さたるや文字に出来そうにない。

 『市場寿司 たか』でみんなで食べたのだけど、全員感激至極。
 仕事が終わっている、夜中組の市場人など、酒の肴用に買いに走っていく。
 なぜ、こんなにうまい商品なのに、商品名がないのだろ。
 ボクなら「チンしてみんかい、おんどりゃ」なんて面白いと思うけどな。
 どことなく深作欣二的で怖面白ないか?

2009年1月29日
木村海産
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「だんごにしてよ父さん」
「ああ、いいよーー」
 姫のリクエストにさっそくマイワシのすり身を買い込む。

 帰宅後、千葉の海人ツヅキさんにナガイモを頂いていたことを思い出す。。
 ナガイモ、少量の片栗粉、全卵一個分、刻んだネギ(玉ねぎでもいい)にしょうがの絞り汁を加えてゆるいだんご地を作る。
 ナガイモを加えると団子はフワフワになる。
 これを湯に落として、だんごが出来上がる。

 合わせますものはホタテに野菜は季節のものいろいろ。
 何でもいいのだけど、今回はワカメ、金時ニンジン、芹(せり)、いただきものの大根、シイタケ、若玉ねぎ。
 鍋の汁は昆布だしに酒と塩。
 この汁に関してはあまり凝らない方がいい。

 これを姫はぽん酢、ボクは生醤油に柚、要するに家族テンデンバラバラの食べ方で食べる。
 しめは我が故郷の隣町(今はともにつるぎ町)半田の「半田そうめん」。
 太めのそうめんが鍋物にもってこいだ。
 
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