魚貝類を探す旅: 2008年12月アーカイブ

 翌14日は朝3時前に起きる。
 金沢駅西口からタクシーで金沢中央卸売市場に。
 午前3時半の市場は明々と明るく、人いきれがして荷を運ぶトラックが走り込んでくる。
 残念ながら探している島根県隠岐のエッチュウバイはなく、替わりに福井県産だというエゾボラモドキ、エッチュウバイが並ぶ。
 さて場内には膨大な発泡の箱、箱。

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 これを見ながらウロコ水産にあがっていく。
 総務の下出さんに挨拶して、場内の案内をしていただく。
 これが発見に次ぐ発見。
 関東ではあまり見かけない山形県からの荷、七尾湾など石川県内の鮮魚。

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金沢名物の「どじょうの蒲焼き」。金沢に来たらドジョウなんですよ、ドジョウ

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金沢に並ぶズワイガニのオス、メスの量に圧倒される

 そして膨大なメスガニ(ズワイガニ)があって、オスの方は量的には少ないもののずば抜けた量には違いない。
 午前6時過ぎ、ウロコ水産で島根県にとって貴重な情報をたっぷりいただく。
 まことにウロコ水産さんには感謝の致しようがない。

 さて、ここで意外すぎる人物に会う。
 その人はボクとヤマトシジミさんの前に突然あらわれたのだ。
 クルクルまるい印象的な目。
「ぼうずコンニャクさんわかんないんですか?」
 わかるわけがない。
 このとき初対面なのだけど、初対面ではないような。
 この方こそ木枯らし平社員こと宮木屋さんなのだ。
「あなた名古屋にいたはずじゃ……」
 突然金沢に来たくなったらしいのだけど、本当に不思議な、不思議な人だ。

 金沢中央卸売市場で朝ご飯。
 ヤマトシジミさんがポツリと「近江町市場に行くんですか、ボクやめようかな」。
 かなり疲労が溜まっているようだ。
 無理もない昨日はほとんど隙間無しの日程だったのだから。
 それでも無理矢理近江町市場に連れて行き、たっぷり買い物につき合わせる。
 ボクの勝手な意見なのだが、水産振興で大事なのが、できるだけ各地で水産物だけではなく野菜など食全般を見ておくこと。
 水産業というのは食の生産なのだから、食いしん坊ではければ振興できないのだ。
 近江町の路地をいっぱい歩いていっぱい買い物をした。
 これが『市場魚貝類図鑑』を作る糧ともなる。
 でも、ヤマトシジミさん疲れただろうな。

 午後となり、ボクは東に、ヤマトシジミさんは西にと帰路に就いた。
 ボクが乗り込んだのが特急はくたか。
 越後湯沢からは新幹線の「とき」。
 今年はたくさん名前つきの特急列車にのったものだ。
 でもどうしてJRの特急名って平仮名なんだろう。

 ボクは途中、越後湯沢で途中下車。
 街を歩き回ったがなんの集荷もなし。

 月曜火曜の宮崎県延岡市への旅、水曜日を挟んでの金沢への旅。
 けだし疲れた一週間であった。

 これをもって金沢への旅はおしまい。
●次回から魚貝類を探す旅は『市場と漁港の旅』に移動する。
http://itibaminato.seesaa.net/

赤えびエイト
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/8495/untitled4_001.htm
金沢中央卸売市場
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ウロコ水産
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石川中央魚市
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/


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今回の旅の一枚は、大阪市「城東市場」そば、てんぷら『槇屋』の優しいオバチャン

 4日間の旅から帰ってきました。
 前後に私的な日を作りましたが、非常に仕事めいた旅となりました。
 まことに水産の世界は大変な状況にあり、行政本来のやりかたではなく、新しい“活路”を県という存在が見つけだすのは至難の業。
 それでもアドバイザーである限り、県の方と真剣に向き合う必要があるわけで、松江での2日間はすさまじく体力を消耗しました。
 ただ、考えてみるに島根ほど、外部からドンキホーテと見なされようが、また無理と思われようともがむしゃらに水産の世界にあたらしい活路を探している県はない、と確信しました。
 今回は県の方との歩調もあい、アドバイザー自身としての活路を見いだした島根行でもありました。

 初日にお伺いした北九州市「にぎわいづくり懇談会」、13日に見知らぬ旅人に親切、また愉快に接してくれた大阪の方達に感謝。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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 近江町市場をみてから、お昼ご飯は野町犀川大橋たもとにある寺喜屋で昼食。
 ヤマトシジミさんと別れて片町、香林坊などを歩く。
 この人通りの多い大通りは観光客にも、ボクのような旅人にもまったく意味のないところと思われる。

 午後3時過ぎ、疲れは頂点を迎えて、金沢駅から西にあるホテルに向かう。
 ここでも歩く人や自転車に優しくない駅の造りに余計に体力を消耗する。
 ちなみに駅から西に向かうのに金沢市民も苦労しているのは間違いない。
 横断歩道のない道を高速で走るクルマを避けながら渡る高校生の自転車に、無能人に街の計画を造らせる恐さを見る。
 国や地方自治の関係者にいいたいのは「脳みそがコンクリートで出来ているようなろくでもない設計者、もしくは街の計画立案者」に“人が生きていく街造り”をさせてはいかんよということ。
 西口から地下にもぐり、また上がってやっとホテルにたどり着いたときの疲労は名状しがたいものだった。
 仮眠すること1時間で、また外出する。

 金沢駅東口でヤマトシジミさんと待ち合わせて、香林坊にある『魚半』に向かう。
 考えてみるとヤマトシジミさんの場合、朝方6時から中央市場を見て、短時間ながら会議。
 それに続く近江町市場見学、午後にはまたまた会議だったのであるから疲れ甚だしいに違いない。
 まあ肥満はしていても若いのだから大丈夫かな。

 目指すは香林坊の『魚半』という店。
 ここで『ごり料理』を食べる。
 店は半料亭風のもので、高いのか安いのかわからない造り。
 出てきた「ごり料理」のつたなさに驚いたのだが、金沢でアユカケもしくはカジカがいかに高価であるかだけは確かめられた。
 『魚半』に来たのは愛知のうなたろう君の情報による。
 「ごり料理」で有名な『ごり屋』という老舗料亭があって、こちらでは「ごり」以外の料理が、「ごり」以上についてきて非常に高価な料金となっている。
 その点、『魚半』はよしとすべきだろう。

 あまりに高価な「ごり」に食べるものも食べられなかった。
 片町の今風の店で腹の虫をなだめてホテルに帰る。

 ボクの場合、月曜日、火曜日と宮崎県延岡市。
 水曜日深夜金沢に向かって睡眠時間は3時間ほど。
 深夜バスで3時間眠れるようになったのは進歩といわねばなるまい。
 それにしても疲れ果てた。

 金沢の旅 04へ続く

金沢中央卸売市場
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ウロコ水産
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石川中央魚市
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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 金沢中央卸売市場で歩きに歩き、荷受け、仲卸で島根県の水産物の評価などを聞く。
 これがなかなか疲れるのだ。
 なにしろ無類の市場好きであるし、市場にある水産物青果ともに大好きなのだから歩いているだけで短時間に膨大な情報が頭に入り込んでくる。
 ちなみに最近のフードライターなんてヤカラの食の知識なんて、幼稚園に入る前のレベルでしかない。
 職業にすると食への好奇心が薄れるのだろうかね。
 金沢の地納豆を見つけた、練り製品の種類、天然らしいキノコがあってイグチ科らしいなど、これらはおいおい書いていくことにする。
 仲卸に据え付けの火鉢があって炭で暖をとっている。
 きっと厳冬期には絶えられないほど冷え込むに違いない。
 ふと、井上靖『夏草冬濤』をもう一度読み直したくなる。

 中央市場を後にしたのが9時前。
 市場があるのが北陸本線の西側になるので、ここからバスに乗り、金沢駅をこえて、こんどは北陸本線の東側にある武蔵が辻で降りる。
 これが3度目の近江町市場である。
 ここでも一部建て直し中で改装を始めている。
 20年ほど前にきたときより、変に小ぎれいになり、北陸の庶民の市場らしさ、質実な部分が安っぽくペレペラしたものに変わりつつある。

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 さて、ここで金沢のこと。
 金沢は戦国時代から江戸時代にかけて佐久間氏、前田氏と大大名の居城が造られた。
 その戦国期以来の城下町であることは平城ながら戦国時代の面影は曲がりくねる通り、路地などに感じられる。
 普通観光客が訪れるのが、金沢駅の東側。
 浅野川、犀川に挟まれた市街地。
 バス通りが駅から東南に弓なりに曲がって、武蔵が辻、香林坊、片町へと続く。
 この通りの左右に金沢城、兼六園、武家屋敷がある。
 ただボクは今回が3度目なのだが兼六園にも武家屋敷のある通りにも、東の廓にも行ったことがない。
 観光らしい観光はまったくしていない。
 だから一般的な概念としての金沢はまったく知らないと明言しておきたい。

 近江町市場はたくさんの路地。
 路地の左右に魚屋、塩干・練り製品の店、青果店が並ぶ。
 この市場の歴史は古く、加賀一向宗の尾山坊建設(1546年)のときに近江商人の門徒衆が移り住んだところ。
 近江商人が移り住んで市場を形成したので「近江町」の文字がある。
 江戸享保年間までは加賀藩の御膳所であったが、享保6年(1721年)に庶民も利用できる市場となった。
 これが金沢の台所と呼ばれる所以である。
●『聞き書 石川の食事』(農文協)より

 庶民の台所として親しまれたことは、現在にも続いている。
 金沢ならではの総菜類、加工品に野菜類が豊富なのも生活密着型の小売店が多いからだろう。
 そこに観光客相手の店が入り交じる。

 大通りからの入り口近くにゆであがったカニが並ぶ。
 ズワイガニのオスとメス。
 オスが1ぱい1万円からと、なかなかいい値段なのだ。
 またその昔安いので、子供のおやつにもなったという「香箱かに(メスガニ)」が1ぱい1000円を超えるというのもすごい。

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 関東で買えば、高くてもこの半値である。
 ちなみに八王子の市場での価格が12月1日にメスで1ぱい350円(卸値)だから、日本海側はズワイガニがもっとも高く売り買いできる地域といっても過言ではない。
 この金沢での値段が高すぎるというのではない。
 むしろ関東など中央市場を通り過ぎてきたものが安すぎるのだ。
 ただロシア産がこのなかにかなり混ざっていて、金沢にまで来て、輸入物のズワイを買うことはない、だろうと思うのだけど。

 魚屋にはエッチュウバイがかなり見られた。
 やはり北陸から新潟にかけては、もっともエッチュウバイを好むのだというのがまざまざとわかる。

 がんどう(ブリの若魚)、水魚(ノロゲンゲ)、ウスメバルに赤らばちめ(ハツメ)などみな素晴らしい鮮度である。
 これを金沢の普通の主婦が買っていく。

 午前10時を回る。
 午前6時からの市場回りで足がガクガクしてくる。
 ヤマトシジミさんと通りを渡り、なんとスターバックで休む。
 ここで金沢で見た水産物の流れを簡単に整理する。
 今回の金沢での視察は島根県の水産物のことを考える上で、収穫が大きいであろうことを確認する。
 話はそれてしまうけど、スターバック(うちの姫などは“スタバ”という)の店内に入ったのは初めてだ。
 わけのわからんコーヒー(?)、トール キャラメル マキアート420円なんてものを注文してみたらうまい。
 考えてみると、ぼうずコンニャクにスタバはお似合だな!

金沢中央卸売市場
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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