魚貝類を探す旅: 2009年7月アーカイブ

北海道への旅 06

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登別温泉駅に到着しても、雨はあがらない。
駅で苫小牧行き普通列車を待っていると、「函館本線は森駅付近で冠水のため運休しています」とアナウンスが流れる。
駅構内はざわざわして、慌ただしい。
見回したところ、ボク以外はほとんど総てが観光客らしい。

幸運なことに在来線は通常運行だった。
赤い2両編成の車両に飛び乗ると、座席は5割方埋まっている。
これはローカル列車としては優秀だと思うな。

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虎杖浜は登別温泉駅から一駅。
そういえば駅と駅の区間が長いのも北海道だ。
右車窓からは太平洋が見える。
線路脇にイタドリを探すが見つからない。
昔、この浜はいちめんのイタドリ(たぶんオオイタドリ)が生い茂っていた。
それで虎杖(イタドリ)浜と名付けたのだという。

駅前には何もない。
駅舎というかコンクリートの空間に入ると老婦人がぽつねんと登別温泉方面の列車を待っている。
時刻表を撮影して、「このへんに宮森水産ってありませんか?」
「みやもりですか、そこをまっすぐ行くとあますよ」

駅からの道をまっすぐ浜に向かって歩くと、すぐに宮森水産の作業所がみつかる。
ホッキガイの出荷作業で大忙しの伊藤さん、武田さんが出迎えてくれた。

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そして虎杖浜名産のクシロエゾバイの塩ゆでをいただく。
やっぱりクシロエゾバイの塩ゆでは最高なのだ。
この宮森水産の方たちには、貴重な魚や情報を何度もいただいている。
ここに改めて「ありがとうございます」。

本日の荒天のために出荷する荷は思いのほか少ない。
虎杖浜は室蘭と苫小牧の中間にあり、噴火湾、太平洋岸であがるホッキガイ(ウバガイ)を名産としている。
このホッキガイに加えて、アカガレイ、エゾバフンウニ、キタムラサキウニなどが東京へ、川崎へ送られて行く。

正午過ぎには出荷が終わり、宮森水産の事務所でひとしきり北海道の魚のことなど話す。
ここで出迎えてくれた女将さんからは貴重なお話をお聞きした、ここでも改めて感謝。

お昼となって、伊藤さんの案内で近くの浜を見学。
やはり魚はほとんど揚がっていない。

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白老の浜に忽然と現れる『蟹御殿』。中国からの観光客がいっぱい

そのあと『蟹御殿』というのを見て、お昼は『炉端焼き 池田』。
この店で今回の旅行でもっともうまい魚を飽食する。
まことに宮森水産さんには感謝、感謝多々なのであった。

午後2時近く、伊藤さんに登別温泉まで送っていただく。
千歳発6時半のANAなので登別温泉で時間つぶし。
ここで改めて観光地と、観光化された温泉場というのが大嫌いであることを再認識する。
登別温泉の公衆浴場のおばちゃんの不親切であること、この旅の汚点となる。
せっかくだから書いておくと、登別温泉は白濁した硫黄の匂いの強い、体によさそうな湯であった。

さて、4時前、登別温泉駅を南千歳まで、千歳空港を定刻よりも20分も遅れて、ANAは北海道を離陸する。
ここに北海道の旅は終わる。

宮森水産 北海道白老郡白老町虎杖浜116
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北海道への旅 05

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7月10日、午前6時過ぎ、タクシーで土砂降りの室蘭魚市場に到着した。
守衛さんに止められて、入館バッヂ渡される。
近年こんな厳格な市場も珍しい。
市場までは距離にして100メートルほどを走ろうか? ずぶぬれになる、と思っていたらタクシー運転手さんが「乗って行きなさい」とドアを開けてくれた。
北海道なのにTシャツ一枚で寒くない。
暴風雨である。

市場に入ると宮森水産の伊藤さんが出迎てくれる。
この天候では魚の入荷はダメかなと思ったら、豈図らんやずらりと魚が並んでいる。
「今日はこの天候なので、少ないんですけど、明日はもっとないと思います。今日でよかった」
伊藤さんがすまなさそうに話す。
「ここが室蘭の浜となんです。水揚げする場所なんですよ」

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競りに参加する伊藤さん

ここでたっぷりの魚を見て、たっぷりウニ(キタムラサキウニとエゾバフンウニ)を食べさせてもらった。
このウニのなんといううまさ。

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これは“がぜ”、エゾバフンウニ。この生きている殻つきのウニの味。名状しがたい

小樽、札幌で食べたウニはなんだったのか?
室蘭魚市場で見たの真カスベ(メガネカスベ)、オヒョウ、カジカ類、マスノスケ、などいろんな課題がここに見いだせる。
魚貝類を研究していると、心躍るときなのだ。
そういえば、普通の旅行とはどんなものなんだろう。
生まれてから、それほど観光旅行というのをやったことがない。
旅は常に自分に課題を残すことはあっても、行楽ではない。

市場飯は、伊藤さんに市場飯をごちそうしていただく。
ごちそうになった『いこい食堂』のご飯はまことにうまかった。
伊藤さん、ならびに宮森水産さんには感謝のしようがない。

その後、『日の出町共同売り場』、『丸三市場』を見て回る。
『日の出町共同売り場』では北海道産サクランボ、ニシン漬けなどを買い求める。

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八百屋さんでイチゴを買いたいと言ったら、とても東京までは送れない、と断られる。
この2つの民間市場、とても楽しい、心温まる市場だ。
また来たいものだと、切に思う。

いっとき雨あしが途切れる、鷲別駅を目差す。
歩くうちに雨あしは強く、風が横殴りに吹いてくる。
鷲別駅にたどり着くとへとへとになる。
暴風雨のなかほんの十数分歩く、この大変さはだれもわかないだろうな。

鷲別駅から登別温泉駅まで、そして虎杖浜駅に向かう。
登別温泉駅には不安そうな観光客が駅員と話している。
函館本線、森駅近くで線路が冠水。
特急などが運休しているという。

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北海道への旅 04

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函館本線は今回の旅に限ってだろうか、乗るたびに混んでいる。
札幌→東室蘭まで1時間20分、室蘭までは乗り換えて20分ほど。
宿を室蘭にとったのは、親戚から賑やかだという町の様子と、市場があるという情報を聞いていたため。
そして町にあるという市場だが、地図やネットで見た限りでは『室蘭中央市場』というのが現在では一軒あるのみらしい。

駅構内に高校生らしきが一人、老人が一人。
こぢんまりした駅をおりて、歩くこと数分で市場にたどり着く。
残念ながら魚屋、肉屋、八百屋、乾物屋などが数件並ぶだけの小さな市場だった。
小さいけど暖かい雰囲気。

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1軒だけある清水鮮魚店でイカの刺身を買って、市場の隅っこで食べる。
それを見ていた、文房具屋さんらしき店の女性がワンカップを恵んでくれた。
甘い月桂冠ワンカップに鮮度抜群のイカ刺し、なんだか旅情を感じるのだ。

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清水鮮魚店には伊達(噴火湾を臨む町)産のマアナゴ。
たぶん、噴火湾から室蘭あたりがマアナゴの漁業的な北限なのだと思われる。

けだし工業都市であるはずの室蘭の町は、さびれていた。
まちのあちらこちらに、にぎやかだった痕跡が残っている。

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飲食街があり、文房具店に家具屋、商店街の店はどれも造りだけは立派なのだ。
町の交差点近くに大きな時計店があって、店内に店主らしき人が立つ。
夕暮れ時、ここだけが明るい。

その夜は室蘭焼き鳥。
鶏肉ではなく豚肉が主役で、たれがさっぱりしているのが特徴なんだという。
鶏の唐揚げが「ザンギ」。
「ザンギってなんですか?」
「なんでしょうね。唐揚げのことかな」

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品書きに「たこザンギ」というのを見つけて食べてみる。
軽く酒を飲み、夜の室蘭をそぞろ歩きするが、なんにもない。
坂道をのぼり、下り、そのまま『オーシャンホテル』という名の安い宿に帰る。
すっかり夜となったどこからか甘い香りが漂ってくる。
見上げると街路樹に白い花。

海辺の小さなホテル、多すぎるメモの整理をして、ダウン。
時計はまだ10時にもなっていない。

翌日は土砂降りの雨の音で目覚める。
午前4時過ぎ。
致し方なくタクシーを呼び、鷲別へ向かう。

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北海道への旅 03

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 札幌に着いたのが午後3時。まだ昼日中だけど、本日は3時起きなので、少々疲れてしまっている。
 シャワーを浴びてぼんやりしていたら、千歳空港に来てくれるはずだった御仁からケータイ。今更どうしようもないので、今回の旅の目的についていろいろ聞き取りをする。
 6時に島根県職員の方、漁業者の方と合流。
 夕食は、すすきのの『だるま支店』でジンギスカン。『だるま本店』には大学時代に何度か来ているのだけど、まったく記憶にない。ジンギスカン鍋を炭火にかけてのジンギスカンはうまかった。

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 店を出ると札幌の歓楽街。ボクはこの雰囲気があまり好きではないのだ。

 翌、10日は札幌中央市場を視察。やっぱり北海道ならではのものが多いなー、と圧倒される。特にヒメマス(チップ)、カスベ類、目抜け類にマスノスケ、時知(サケ)。
 今回の目的は陸送・空輸便を見ることだったが思った以上に多い。当たり前だがロシアからの輸入ものも多く、発見発見で興奮する。
 その後、丸水、曲〆で会議。
 会議終了後、曲〆の春原さんにマルカセンターまで案内していただく。マルカセンターはなかなか優れていて、これなら魚好きだって楽しいだろう、と思った反面、その後の場外市場がダメだった。各店舗にはとても立ち入る勇気がわかないのであった。

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マルカセンターはなかなか安心価格でいいものが多かった

 そういえば札幌に地下鉄が走っていることも知らなかった。これも忘れずに書いておかなくちゃだめだな。図形的に+の形で2路線あって、3度乗車して3度ともなかなか混んでいたのだ。
 駅地下、大丸などの売り場を見て歩き、午後2時過ぎに札幌を後にする。

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北海道への旅 02

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 道路を隔てて見つかったのが中央市場、これがなかなか普段着の市場でよかった。
 ここでおいしいと評判の食堂「なると本店」というのを教えてもらって、ついでに「あったかいみそ汁と、鶏を食べなさい」と言われたので、そのごとく素直に鶏の唐揚げを食べる。
 中央市場から坂道を上って、妙見市場に。
 ここがまるで1960年代に後戻りしたかのようだった。

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 正午を過ぎて雨が強くなって、仕方なく(ずぶぬれになりそうだったので)タクシーで、なんたるいちばへ。ここがいちばん活気があった。
 ここで、おすしを食べる。

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 三角市場のあまりの観光化されていたのに、一時はそどうなるか、と思われたが、中央市場、妙見市場、なんたるいちばと巡り、小樽までやってきてよかったと思った。
 雨が上がったので市場から南小樽駅まで歩いて、札幌へ。

2009年7月8日
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北海道への旅 01

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 7月8日早朝、曇り空なのか、晴れているのか,うすぼんやり夜明け前の道を駅に向かう。始発中央線各駅停車で熟睡、気がついたらお茶の水だった。ここで非常に体調の悪いのを知る。疲れが沈殿して鬱陶しい。浜松町からモノレール、日本航空で新千歳へ。空路揺れもなく快適だった。それでも高所恐怖症のボクは眠れない。着陸した北海道は大雨だった。
 新千歳でいきなり人には話せないトラブルが勃発。一時間以上ロスして、札幌に向かう。座席につき、ほっと一息ついていると隣の列車に入った若い男性が座席を反対側に向けている。ひょっとしたらと思う以前に動き出したら座席は後方向きだった。どうやら北海道では座席の方向転換はセルフでやるべきであるようだ。南千歳で若いきれいな女性が隣に座って、「座席の向きを変えていいですか?」と聞かれて、ちょっと面映い思いをする。
 車窓から見る家々の造りはまさに雪国、北の国だ。見晴るかす景色も、やっぱり大きいな。広葉樹が豊かに緑色だ。
 札幌に到着するも、トラブル解消されず。延々待つ。ここで致し方なく、小樽を目差す。小樽に向かう列車のホームには既に行列ができている。
新千歳から札幌、札幌から小樽と、車内は満席に近い。札幌を後に車窓から見える景色は無機質だ。東京都なんら変わりがない。札幌が政令指定都市なんだと改めて思う。
 この無機質さが銭函、朝里、小樽築港駅からがらりと変わり、日本海は鉛色に沈んでいる。南小樽にくると、なぜか高層マンションが林立して、観覧車が日本海を背景にしてある。ホームに石原裕次郎のポスター。
 そして小樽は、やはり古い町の面影を残している。

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 小樽には十時過ぎに到着。駅を出て左手上に『三角市場』がある。この市場は北海道でももっとも早くから観光化したとされている。まさにその通りの品揃えだった。ただただ通り過ぎる。市場巡りで困るのは客に対する勧誘である。『三角市場』の勧誘は店頭の魚貝類を見て歩くには邪魔、もしくは阻害するもので観光客というのは、このような不愉快な接客が好きなのだろうか? 世の常のわからぬボクなのであった。
 ちなみに『三角市場』に並ぶもの、タラバガニ、ケガニ、活けトヤマエビ(ボタンエビ)。ウニ、塩ウニ、ホッケ干物、イクラにサケ類。これが北海道というものの平均的なイメージなのだろうなーーー。

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 平日なので観光客は少なかったものの、『三角市場』の北海道らしい市場食堂に吸い込まれる人多し。
 小樽着直後の『三角市場』にむなしさがこみ上げてくる。ただし市場のそこかしこに古きよすがが残っている。この古さびた痕跡を撮影して、ただただ通り過ぎて、北(海に向かって)に出る。

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 その目の前にまた市場あったのだ。

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