市場図鑑・市場案内: 2007年12月アーカイブ

 夜明けを迎えた空はどんよりと曇っている。八王子総合卸売センターに着いたのが7時前。暮れ近い上に三連休初日とあって、なかなか空きスペースを見つけられない。やっと駐車して、『市場寿司 たか』前にくると海老名の海老さんが持ってきたらしい発泡があるだけ。
「おーい海老さん」
 呼んでみるが、返事はない。
 仕方なく店横のテーブルのカバーをどけてコンロや干物を運ぶ。姫は早々と『さくら』へ勝手に入ってラーメン。
 するとまるで妖怪のように海老さんがわいてきた。恐いなー!

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海老名の海老さんはまだまだいろんな技を持っているようだ

 海老さんが取りだしたのが鋳物のどっしりしたコンロで、まずそこに固形燃料を置き着火。その上に岩手の黒炭を積んでいく。そして待つほどもなく、炭がパチっと音をさせてきて、もっとも困難と思えた炭火をつけるという手順がなんなく終わる。海老さん、さすがだー!
 その間にjasminさん、ヒモマキバイさん、ネズミフグさんが到着。jasminさんはスペインでテロに遭遇したと言うことで、なかなか大変な半月であったようだ。

 まず『市場寿司 たか』で腹こしらえ。特ネタのシマガツオ(エチオピア)、コブダイ(寒鯛)を始め、みなさんにお任せ寿司を堪能してもらう。さすがに暮れのせいか『市場寿司 たか』もこんでいる。ボクもぼうずコンニャクスペシャルを早々に食べて、干物を焼き始める。
 そして真菌さん(ご本人が真菌に似ていると言う意味ではない)、そらひとさんが登場。

 最初に焼き始めたのは自家製のキビナゴ。これは当たり前だけど、誰が作ってもうまいもの。ナシフグの粕漬け。

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naohnaohさんにいただいた酒粕でつけたもの。味はいいと思うのだけど、焼いてもアルコール分が残る。酒粕はもう少し寝かせる必要がある

 そしてシマガツオ、コブダイの頭の開き干し。旬を迎えた大型魚の頭部は脂がしたたり、角形七輪から炎があがる。そのたっぷりした脂の甘さ、皮目のうまさは、これまたなかなか好評であった。

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シマガツオの開き

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寒鯛(コブダイ)の開き

 そして真打ちともいうべき、秋田のなべ婦人自家製のハタハタの三五八漬け。この焼き上げるときの香りがいい、そしてたっぷり入った卵。
 これをjasminさん、真菌さん、ネズミフグさんが手でほぐしながら食べている。三五八漬けの麹から来る風味がわかっていただけただろうか?

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ハタハタの三五八漬けは、干物というよりは漬物。麹の香りというか風味がいい。秋田のなべ婦人、ありがとうございました

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 また金曜日に到着していたカネマル笹市のアジの開きは味見程度であったが、プロの作るものの凄さを感じざるおえなかった。
 この日、jasminさんが持ってきたのが唐墨(カラスミ)のフォカッチャ。これが唐墨の香り、やや渋み、と旨味があいまって非常に美味だった。

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これ非常にうまいものだった。jasminさん、こんどお土産にください。他の人にはあげなくていいから

 そして最後にjasminさんの唐墨を薄く切り、ほんの少しあぶって味見。少し塩抜きが足りないようで塩辛いが味はいい。今回の東恵丸さんのボラの卵巣がいかにお買い得であったものか知り、うらやましくなった。来年はボラから自分で卵巣を取り出すことにこだわらない方がいいかも。
 干物を少しずつ分けて、海老さんの柚をいただき、ボクは無理矢理、ネズミフグさんからうまそうな日本酒を奪い。干物会は終わる。

 干物を食べ終わって、八王子総合卸売センター、八王子綜合卸売協同組合を一回り。皆さん『高野水産』、『総市水産部』で魚、『カワベ』で肉を買い、八王子魚市場に移動する。

 八王子魚市場ではマグロ部のムッシュから尾ビレ近くを千円で買い。他の型には血合いぎしを分けてもらう。このあたりムッシュの人の良さがにじみ出ている。
 今年の営業を残して八王子から撤退する『源七』に回る。あんちゃんの作る、こはだも最後かと思うと、少々悲しい気持ちで買い求める。

 11時をまわって八王子魚市場にて土曜会は解散。みなさん楽しんでいただけたでしょうか?
 これからも『市場魚貝類図鑑』にもたらされた干物や海産物、魚貝類をお分けしたいと思いますので、また集まっていただきたい。
注/八王子土曜会は誰でも参加自由です。

八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
静岡県沼津市 カネマル笹市
http://www.kanemarusasaichi.co.jp/index.html


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 沼津魚市場が生まれ変わるというか、新しくなる。それまで野ざらしだった地物の競り場がしっかりと衛生管理された現代的な建物となったのだ。
 その名を「INO」、これを「イーノ」と呼ばせる。残念ながらこの命名は面白くない「毒にも薬にもならない名前だな」と思った。予言するようで悪いのだけど、この「INO」という呼び名は直ぐに忘れ去られるだろう? ちなみに謂われに関しては沼津魚市場のホームページをご覧いただきたい。

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 ただ、この建物に入ったときの清潔感と、見学者用の通路の適度な高さなどに感心させられる。
 例えば、この建物に入るときには長靴などを洗う水槽を通らなければならないし、また搬入口も一カ所に絞られている。衛生管理もこれからは行き届くだろう。
 一般の方、観光客の方も、この程良い高さの見学通路で、ひとしきり沼津の魚を見て、市場周辺の飲食店、もしくはこの「INO」の上にある飲食店舗でおいしい魚を食べるというのは魅力的だろう。
 蛇足かもわからないけど、その食べる魚貝類が地物だったらなおのこといい。

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活けのアカザエビ

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底引き網で深海からあがるタカアシガニ

 この日、移転が終了していたのは活魚部門だけ。まだまだこの建物の真価はわからない。でもその水槽の見やすさや、大きくなったことで、名産のアカザエビ、タカアシガニなどが美しい。

 さて新年には完全に移転が完了するはずで、建物の上に出来上がった飲食店舗とともに真っ先に見に来なくてはならない。

沼津魚市場
http://www.numaichi.co.jp/index2.html


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 このところ小笠原からカノコイセエビが入荷してきている。このようなデカイエビとか、変わった魚とかが好きで、もちろんいい魚もたんと持ってくるのが八王子総合卸売センター『高野水産』である。この『高野水産』は毎日激安、仕入れたものは残さないので有名。まあ宣伝してもいいことがあるかどうか、わからないけど、宣伝してやるかな!
 この社長、撮影されるのが大好き。だから自慢のデカイ、カノコイセエビと記念撮影。
 まあどうでもいいことだけどね。

八王子の市場に関しては
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 午前1時に布団からやっと抜け出す。身体がだるい。今年の体調の悪さは、生まれて初めてのもので近場の沼津行なのに不安を感じる。どこといって悪い部分があるわけでもなく、ただぼんやりとした体調不良を抱えながらクルマで南下、東名にのる。
 1時半に自宅を出て、ゆっくり走って、沼津着が3時半。競り場について菊貞・菊地利雄さんのトラックはあるものの18番の柱あたりが一段低くなって駐車スペースになってしまっている。見上げると屋根もここで切れて目が入っている。これは19番から先が将来フィッシャマンズワーフのような建物になり、18番までが陸送を扱う場所として残るから、とりあえず屋根を切った模様だ。

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 この日、西風もなく穏やかである。久しぶりの底引き網の選別を見る。太共丸、大成丸、和丸など大きな青いバケツが並ぶ。底引き競り場の地面を見ると、競り場にくる底引き網の船名がたくさん書かれていて、本日はほとんど全船が集まることがわかる。

 志下の選別を見ている間に、光徳丸、招福丸、福徳丸、滋愛丸、ぞくぞくと戸田のトラックが到着して競りのために魚を広げる場所がなくなっていく。そのとばっちりを受けたのが福徳丸さんで、バケツをおろせないまま暫し、待ちの体勢になる。

 底引き網の魚貝類を競りのために広げるとき、いちばん最初にカゴに入れていくのがエビ類である。しかも高いものから、というのがいつものごとく。その頂点にあるのがアカザエビ、サガミアカザエビとボタンエビ。以下はぐっと値段が安くなり、本えび(ヒゲナガエビ)、赤えび(ツノナガチヒロエビ)、縞えび(ヒカリチヒロエビ)、甘えび(ジンケンエビ)。

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 魚ではニギスが多く、次いでかさご(ユメカサゴ)、目光(アオメエソ)、ごそ(ハシキンメ)はなくて油ごそ(ヒウチダイ)が多い。他には、ひげだら(ヨロイイタチウオ)、アラ、マアナゴ、でんでん(ワキヤハタ、オオメハタ、ナガオオメ)、大きなカイワリにアカアマダイ、ソコアマダイにキアンコウ。ギス、げほう(トウジン)、のどくろ(チゴダラ)、一番端っこの小トロにはオキトラギス。

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 残念ながら面白い魚はいなくて、ヤマトトックリウミグモ、オオコシオリエビ、ソコエビジャコ、センジュエビ、サギフエなどが点々とあるのみ。

 福徳丸の奥さんと立ち話、ソコアマダイ、目光(アオメエソ)、赤えび(ツノナガチヒロエビ)、縞えび(ヒカリチヒロエビ)をお土産にいただく。いつもいつもお土産をいただいて感謝。

 定置網が接岸しているのは知っていたのだが、あまり選別をしている雰囲気がない。それで不安になってしまって、走っていくと、ほとんど雑魚が捨てられた後。少し残った雑魚のなかにクロヒラアジがあって、これをいただき。ギンイソイワシ、オオグチイシチビキ、キビナゴ、キタマクラなどを選別台から拾う。

 底引き網、定置網などを見て、途中、新しい沼津魚市場の建物『INO』を見に行く。こちらにはまだ活けものだけしか移転しておらず、広い空間がまっさらのままある。(これに関しては別項をたてる)
 ここで活けものを見て、また古い競り場に戻る。

 また釣りものらしい荷の中にマハタモドキ、コクチフサカサゴを見つける。これは佐政水産の青木修一さんに競り落としてもらう。

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 そう言えば、この日、菊地利雄さんがとても忙しそうだった。どうやら新しい競り場などの雑用に追われているらしい。

 柱でいうと20番近く、かなり離れているのに赤い色が目に飛び込んでくる。気になって見に行くと伊豆半島ならではの地キンメ(釣りもののキンメダイ)。この深紅のキンメダイのきれいであること。その隣にピカピカと光るタチウオとともに沼津ならではのものだ。

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 またポツンと置かれていたのが「なのり」。産地はわからないのだけれど、本来は沼津周辺でとれたカヤモノリを板状に干したもの。これはたぶん正月用ではないだろうか?

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カヤモノリのことを沼津周辺では「なのり」。三重県では「むぎわらのり」と呼ぶ。軽くあぶってご飯にかけたり、お吸い物にいれたりする

 7時前になってやっと菊地利雄さんに会うことができた。ここでいろいろ話をして、また慌ただしく競り場の方に菊地さんが消えていく。

 競り場を見るのも一段落着いたので『たか嶋』に向かい。途中沼津魚市場冷凍部の山田さんに挨拶。『やいづ屋』を覗いて、『たか嶋』の店内に入る。
「みそ汁ください」
 疲れ果ててカウンターに座ると、職人さんが
「今日はおひとりで?」
 そうなのだ。今日は甲殻類の専門家である飯塚さんは、風邪でダウンしている。ちょっと寂しいものだなー。

沼津魚市場
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 大急ぎで場外に抜けて、長崎県漁連直売所そばの休息所に。着いたのが7時24分で、いきなり鮟鱇さんから「遅い」と言われる。集まった人を見回すと、やはり今回も“多過ぎ”である。「責任者出てこい!」、「それはボクだった」、トホホホ……。
 皆さんに挨拶していたら、中に変な人が混ざっていて、よく見ると、つきじろうさんだった。カップ入りの旨そうな、温かそうなものを持っていて、
「朝ご飯のデザートです」
 そんなことを言いながらデザートのカレー丼を食べている。この方、定食(単に定食だけではなく、いろいろオプションつきらしい)を食べて、デザートにラーメンかカレーなんかを食べて、しかも甘いものも好きだと言うことで、うらやましいような、恐いような。そう言えば一日5食食べているという噂もある。

 正門から入ろうと思ったら、鮟鱇さん「海幸橋からにしましょ」と軽く無視される。まあ責任者は鮟鱇さんなんだからいいんですけどね。

 海幸橋を渡り、左に折れて、場内の建物に辿り着く。築地場内は扇の地紙の形になっていて、海幸橋に近い方が要、遠い方が広がっている。このアール状の形態は昔鉄道が全国から魚貝類を運び込んできた名残である。場内のそこここで見上げると、鉄骨が湾曲して屋根を形成していて美しい。場内には横方向にいくつも通路が通っていて、要に近い方が短く狭い。そのためいつも築地場内案内をするときには2列を省いて3列めから外側に歩く。それでも歩く距離は長く、歩ききった後は疲労困憊する。

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 今回の参加者で常連さんは、まささん(子連れ。娘さんお父さんに似ていない。可愛い)、ヒモマキバイさん、鮟鱇さん、つきじろうさんだけ。ちょっと心配なのがharseeさんとjasminさんという強力な「買い上手」がいないこと。しかも初参加者には築地場内を見たいという方が多い。これではいかほど魚を購入していいのかわからない。

 場内歩きも淡々と終わるのかなと思っていたら、予想外というか、若いんだから当たり前かも知れないけど、賑やかさと、華やかさを添えてくれたのが古草さんとekoさん。冷凍マグロがゴロンゴロンと並んでいるのを見て、「うわー」と言い。マグロ用の長い包丁見て、これでチャンバラをして二、三人斬り殺してみたいと言い。ズワイや生きているマハゼに驚き。養殖マダイをその場で血みどろにして締めているのを見て感激している。しかもこのふたり、「お魚さん、死んでしまって可愛そう」なんて思ってはいないらしい。恐るべし!

 長太郎さん、ノンちゃん、他、ボクは人の名前が憶えられないので、ひとりひとりの当日の行動は見ていないのだけど、やはり場内が別世界であることには感動してくれたようだ。

 さて、一通り歩いて見て、やはり、今回は「買い」の土曜会ではなく「見学」が主となったようだ。ひとりがんばっていたのがヒモマキバイさんで旬のホウボウ、せいこがに(ズワイガニのメス)、つぶ(エゾバイ科の巻き貝)、ながらみ(ダンベイキサゴ)、活けシャコ、ボクとヒモマキバイさんとで八角(トクビレ)などで、あまり買い物らしい買い物をしていない。

 場内歩きで恐いのが、魚の値段の幅である。それこそ同じ種類の魚で1キロ1本1000円前後から、数万円までの開きがあって、プロにとっては納得いく値段でも一般人には理解できないもの。だから場内は難しい。そんな危惧がまったく不必要なほどに「買い気」のない会であった。やはり、今回しみじみ感じたのがharseeさん、jasminさんの偉大さである。次回から主催者になってもらおう。

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 10時前には大都魚類第二会議室に入り、反省会と買い物を分ける会を催す。ここでもヒモマキバイさんの慎重さには驚嘆するが、ボクのようないい加減をもっとうとする生物には面倒くさくて見ていられない。でもこの慎重さゆえに買い物分けッ子会は無事終了。しかもなんと大都魚類の尻高鰤さんからお土産までいただきました。ありがとう尻高鰤さん。

 さて、それでは二次会に参りますかね、つきじろうさん。


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 連日慌ただしい日が続いている。なかでも比較的仕事の少ない金曜日で、それでも布団にもぐり込む前に見た、道路特定財源のニュースに眠れなくなってしまった。ほんとうに自由民主党の道路族というのは悪質な生物である。撲滅すべし、なんて思う。
 ということで眠れなくなって、気が付いたら、そろそろ4時。そのまま気分転換に歯を磨き、パソコンをつけて、返信を2通。4時半には我が家を出る。駅までの道はまっくら。中央線が見下ろせるところに来たら4番線に電車が滑り込むのを見る。ということは39分発に乗り遅れたわけだ。4時台の中央線は本数が少なく総て各駅停車。
 そこに乗り込こんでくる人たちが面白い。きちっと身なりを整えた若い女性は、早朝からどんな仕事なんだろう。明らかに繁華街で一夜を明かした集団。新宿駅で山手線に乗り替えて新橋へ。原宿駅周辺が真っ暗闇なのに驚く。
 新橋から中央市場行きのバス乗り場に急ぐと、無常にもバスは発車したばかりで交差点を右に曲がろうとしている。頭がクラクラするので、生まれて初めて入るドトールで、一度も飲んだことのないカプチーノ。テーブルまで来ると砂糖がない。頭脳は砂糖が欲しいと言っているが、どこでもらえばいいのか、わからないので我慢する。カプチーノが意外にうまい。ちょうど飲み終わったときバスが来る。

 6時半過ぎ、バスが場内に入っていくと、まだ薄暗い中、すでに一般客、外人さんが右往左往している。そして、例の大和などのすし屋前には長い長い行列。

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早朝から行列してまで食べるすし。いわゆる「築地グルメ族」というのは市場に何を求めてくるのか?

 なにか食べてから場内というのがいつものことなのだけど、この一般客のガヤガヤに混ざるのがいやなので、とにかく茶屋を通り抜けて、場内扇の要から一直線に抜けて外側から仲卸を見て回る。

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 実を言うとボクは場内にある茶屋の雰囲気が好きだ。建物の片隅で飲み物を温めたいたり、暇そうに椅子に腰掛ける老人がいたりする。ここだけ時間が止まっているように思えるのもいい。

 相変わらず白熱灯が煌々とともる場内。やはり、正月ものが目立ってきている。数の子、新巻鮭、蒲鉾。蒲鉾の赤い包装紙が白熱灯の下でやけに浮いて見える。サケを専門に扱う店舗が、なんだか慌ただしい様子なのも師走らしいな。

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国産もののサケよりも輸入されたギンザケやベニザケの方が高い

 ちなみに店頭にある塩鮭は「秋鮭(サケ)キロ当たり580円」、「時鮭(サケの北洋や遠洋のものの若魚。脂がのっている)キロ当たり900円」、「養ぎん(チリ産ギンザケ)キロ当たり850円、800円」、「ベニザケキロ当たり1400円、1350円」、

 それに反して鮮魚は低調で、面白いものは皆無だ。やっと琴線に触れたのが多分厚岸産だろうエゾボラ属の巻き貝。見たところエゾボラモドキ、クリイロエゾボラと現在の資料では種名のわからないもの。
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「まつぶ(エゾボラ)」、クリイロエゾボラ、エゾボラモドキと不明のつぶ

 また産地がまったくわからないものにウスムラサキエゾボラ、フジイロエゾボラなどがある。八王子では見られない大型のエチュウバイは山口県、石川県産。このところ島根県産をあまり見かけない。

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アカガレイは裏側が赤いほど鮮度がいい。隣のパックはマダラの白子

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根室産の殻付きエゾバフンウニは毎年いちばん寒い時期に入荷してくる。厳寒の海でどうやってとるのだろうね

 今期初めての根室からのエゾバフンウニ、見事なアカガレイ、メスガニ(ズワイガニ)が溢れている。熊本からはハマグリの特徴がまったくない「ハマグリ」らしいもの。
 コウイカ(築地では「墨いか」)、ワカサギ、カワハギ、キアンコウ(本あんこう)が見事だ。「あんきも(輸入もののキアンコウの肝)」、「白子(輸入もの、国内もののマダラの精巣)」もたっぷり。
 他にはキジハタ、アオハタ、ニシン、スケソウダラ、ババガレイ、こはだ、なかずみ(コノシロの8センチから15センチ前後)、「なまこ(マナマコ)」、アカガイ、オオマテガイ。マイワシはいいものではあるが、ほとんど2000円前後なのに驚く。
 冬を思わせるのはマダラのフィレ、マダラの一本入り。一本入りはメスがキロ当たり800円、オスがキロ当たり1500円。
 並ぶトラフグのみがき。天然もので1本17000円、養殖で6000円〜8000円ほどだ。

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この「みがき」は毒の部分を除去して身と皮などをきれいに箱詰めしたもの。鮮魚としてのトラフグを買うより上だと思う

 またヒガンフグ(築地では「あかめふぐ」)、マフグ、ショウサイフグ、シロサバフグもある。マダラもフグも鍋材料で、仲卸の店頭に浅葱というのも冬らしい。


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『虎定』の前まで来てオヤジさんにこの前にもらった「きぐち」が検索ではフウセイだったという話をしていると、なんと7時15分を回っている。大急ぎで場外に向かう。
■場内での価格はほとんど総てが「キロ単価」


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