鯖しおから(塩辛)は、島根県で古くから連綿と作られてきた伝統食品である。
島根沖でとれたマサバを、塩だけで熟成させた単純極まりないもの。
添加物をまったく使わず、サバと塩だけで作ったなんて、とても信じられないほどに濃厚な味だ。
適量取りだして、トントンと包丁でたたく。
箸でほんの少し口に含むとなにより甘みを感じる。
実は甘いと感じたものは、幾種類ものアミノ酸が作り出す非常に複雑な味わいなのだ。
それが舌に長々と残る。
後味が悪そうな表現になってしまったが、この長々しい旨さが、まことにまことに心地よく喜ばしい。
ある意味官能的でもある。
マルコウの「鯖しおから」がボクには迷惑な存在に思えてくる。
本日も四合瓶が空となってしまったではないか。
酒の肴としての話は置くとして、このいかにも伝統的な加工品が洋食系の料理にも大活躍してくれる。
油とレモン汁と合わせて、ドレッシングにしたら絶品だし、油ニンニクと合わせて食パンに乗せてみる。
このままトーストしても、トーストしたパンに乗せてもいいのだけど、ビールのつまみに最高なのである。
ああ、だめだやっぱり酒がつきまとう。
バターに混ぜても生臭さはまったくなく、焼き上がりの白身魚のムニエルなんかに乗せると、料理の味わいが一段も二段も上がるのだから愉快。
立川の居酒屋『太鼓』のオヤジが最近作るものに、カツオの塩辛にチーズというのがある。
これをまねて塩辛にブルーチーズというのが定番の肴となっている。
思いついて「鯖しおから」でやったら、これがまたものすごくうまい。
島根県にこれほどの隠れた「うまうまもの」があるなんて、知らなかったなー、不覚であった。
マルコウ 島根県松江市鹿島町大字御津351-1
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マサバへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/saba/saba.html
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