水産会社、加工品図鑑: 2009年5月アーカイブ

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 “桜干し”、“末広干し”、“みりんぼし”などと呼ばれるものがあって、マイワシ、小型のマアジ、カタクチイワシなどで作られる。
 大正時代に九州で作られ始めたもので、甘辛い味の干ものなのである。
 各地で作られ、特に山口県、静岡県、茨城県などに多い。
 ただ本格的に味醂を使ったものと、砂糖と醤油でまるで駄菓子のような甘い味に作り上げてものがあって、見た目も、味わいからも別種とすると、加工品の分類からして呼び方・名称を変えるべきだと思っている。

 その駄菓子的な味わいの最たるものが九十九里の“みりんぼし”。
 原材料はカタクチイワシ、砂糖、醤油、デンプン、アミノ酸。
 関東では定番的なもので、ある意味、食料品店にはなくてはならない。
 しかも今時の超大型スーパーにだって置いてある。

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 軽くあぶって食べるのだけど、熱い内に手でほぐして盛り合わせる。
 砂糖と醤油だから、とにかく甘い。
 そこにごまの香ばしい香りがして、適度な硬さで、噛みしめると確かにカタクチイワシの味がする。

 アミノ酸も使っているし、あんまり上等とはいえない食べものだが、なぜかボクはコイツが好き。
 ときどきビールのともとして、楽しんでいるのだけど、ボクの脇では子供が、やはり駄菓子気分で食べている。
 自然食とかスローフードなんて喧しいが、このような懐かしいような、どこか卑俗な食いものがなくなると寂しいなと思うのである。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、カタクチイワシへ
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 ボクは徳島県人なので竹輪といったら、当たり前だけど竹竹輪が世界一うまいと揺るぎなく思っている。
 竹竹輪とは、細い竹に魚のすり身を巻いて焼いたもの。
 徳島県人にとってはご飯のおかずでもあり、ときにはおやつでもある。

 これだけは練り物に溢れている四国各県にあっても、徳島県の竹竹輪が突出して優秀なのだ、と思っていたのだ。
 あにはからんや、困ったことに、ここに薬師神かまぼこの「竹竹輪」がある。
 姿形は同じようだが、子細に見ると徳島県東部(海辺)で作っているものと、まったく別物だ。
 この違いは驚くべきもので、例えば徳島のは焼いた皮がすり身本体から離れてぶかぶかの焦げ茶色のキャミソールを着たようになっている。
 薬師神さんのは、焼き目がうっすらとベージュ色に思えるほどで、ぜんぜん浮き上がっていないのだ。

 実は食べるともっと大きな違いを感じる。
 徳島のは足(弾力)がなく、ザラサクっといった歯触りで糖分添加のためかまざまざと甘い。
 薬師神さんには足が強く、しかも座り(身が安定)はよく、シコプルっとして魚(白身)の香りと焼いた香りがふわっと立つ。
 甘みは表面的ではなく、むしろ素っ気ないくらいで、魚を食っている実感の方を、練り物なのに強く感じるのだ。

 徳島のキッチュな竹竹輪は、それなりにうまいな、と思う。
 だいたいこの味が体に染みついてしまっているので、定期的に食べないと寂しくなるのだ。
 さてさてさて、宇和島の薬師神さんの竹輪だけど、これってうますぎないだろうか?
 ほめているのではない、やっぱりほめていることになるのだろうか?
 食べると、他の竹輪が空しく思えるほどにうまい。
 毎日、食卓に一本あると幸せだな!

薬師神かまぼこ
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