水産会社、加工品図鑑: 2007年8月アーカイブ

ebitikuwa0708.jpg
●クリックすると拡大

 7月13日、台風4号は四国に近づきつつあった。荒天に強い瀬戸内海でも漁船の出船はほとんどなく、せっかくきたものの魚貝類はほとんど見ることができなかった。しかたなく香川県観音寺市の漁協の方と岸壁で立ち話。いろいろ聞いてみるに、この地の名物は響灘で大量にあがるエビを使った料理、練り製品であるというのを知る。
 この地にあがるエビの代表的なものは「本じゃこ」もしくは「じゃこ」と呼ばれるトラエビだと思われる。これを練り物に混ぜて「ちくわ状」にしたのが「海老ちくわ」である。

 一本一本袋入りになっているのを家族手に手に取りだして、がぶりとやったのである。ボクは当然の如く左手にはビール。ちくわということで、ある程度、味の予想を持っている。「海老」と商品名に書かれているからには、そこにただエビの風味が加わるのだろうと思っていたのである。ところがそこにあったのはまったく予想だにしない味、食感であり、ボクはかなり大きな衝撃を感じたのだ。
「これは、ちくわではない」、「かまぼこでもない」、敢えて言うなればエビと魚のすり身を使ったお菓子、もしくはテリーヌかな? 慌ててネットで商品紹介を見ると、「小えび(えびじゃこ=トラエビ、サルエビ)の頭をとり、殻付きのままミンチにして、しぼり豆腐とすりあげた」とある。とするとふわりとするのは豆腐のためであり、微かにジャリっとするのは小エビの殻であるようだ。
 家族の方を見るとなんのためらいもなくうまそうに食っている。太郎に聞いてみると「ボクだいすきだよ」と2本目に手が伸びている。
 面食らってしまっているのはボクだけのようだ。残念ながらこのざらっとして、柔らかいちくわ、あまり好みではない。練り物特有の「足(弾力)」がないせいか、口の中でふわりと広がる甘味や旨味が濃厚に思える。さわやかではない。「足」がないちくわというと、主に東日本で作られるおでん種、加熱用のものを思い浮かべるだろう。そのまま熱を通さずに食べる、ちくわには「足」があるからだ。その加熱用のちくわより、「海老ちくわ」の方がもっと「足」は弱い。
 翌日、この「海老ちくわ」とジャガイモなどを炊き合わせてみた。ボクはこちらの方が食べやすい。ジャガイモに海老ちくわの風味が煮ふくまる。煮る内に一度膨らみ、また冷やす内にしぼんでしまったちくわが硬くしまっていいのである。

 エビの入った練り製品、「海老ちくわ」と「海老天」は観音寺だけではなく香川県のどこのスーパーに立ち寄っても「必ず置かれているもの」だった。また善通寺のうどんやさんには天ぷらなど「うどんにのせるもの」のひとつでもあった。ようするにこの「足」のない独特の練り製品は香川県を代表する惣菜なのである。

福弥蒲鉾 香川県観音寺市
http://www.niji.or.jp/home/fukuya/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

kotomi0708.jpg
●クリックすると拡大

 今年のシーフードショーは得るところ大であった。たくさんの未知の食材を手に入れられたし、またいろんな知識を得られた。でも大失敗だったのが、毎味水産の出展を見逃していたことである。

 毎味水産のある三河湾一色はウナギ養殖で有名なのであるが、それ以上に日本でも有数の水産物の水揚げ港なのである。そしてなによりも目立つのがエビである。クルマエビ、フトミゾエビ、サルエビ、アカエビ、シロエビなどクルマエビ科のエビの種類の多彩さ、また量の多に、水揚げを見ているだけでワクワクすること間違いなしだ。毎味水産は、その多様な三河のエビに世界中のエビを加えて、三河育ちの藤井社長自ら先頭に立ち加工販売しているのである。またこの会社の凄いところは愛知県でも屈指のエビ問屋でありながら、三河湾海の幸の荷主として日本中に魚貝類を出荷しているところだ。

 ボクは魚貝類を探して東奔西走している。そのあっちこっち旅行くなかでも三河湾一色はもっとも魅力的なところなのである。そんな三河湾の魚貝類の魅力を最初に教えてくれたのが毎味水産の藤井社長である。
「今年はトリガイが大量だけーの、送っちゃるけー、食べてみーよ」
 晩春、ケータイがなり、藤井社長のしゃがれた声が。
 そして送られてきた三河湾産の冷凍トリガイがまことに優れたものであった。寿司職人の「市場寿司 たか」渡辺隆之さんが驚くほどの冷凍トリガイは、これ以上ない丁寧な加工がなされていた。

 会場にはそのトリガイ、また毎味水産ならではの三河湾の小エビが並べられていた。ブースをとりしきるのは藤井社長のお嬢さん。見たところシーフードショーの出展者としては地味すぎるきらいはあった。でもその並べられた商品の優秀さは見る目があればわかるはずだ。
 毎味水産は来年の出展の予定だという。次回はボクも協力しなければ、と思っているのだ。

毎味水産 愛知県幡豆郡一色町大字一色字西塩浜211
毎味水産の水産物のことは、一色さかな広場「一二味」へ
http://www.katch.ne.jp/~ishikisakana/KOTOMI/kotomi.html
毎味水産のことは
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/aitiken/mikawa/issiki05.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、2007年8月以降に書かれたブログ記事のうち水産会社、加工品図鑑カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは水産会社、加工品図鑑: 2007年6月です。

次のアーカイブは水産会社、加工品図鑑: 2007年9月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。