2010年8月アーカイブ

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夏バテ気味だ。
なのに食欲が落ちない。
そろそろ大台が見えてきて焦っている。
だいたい自分で靴下がはけなくなりそうだ。
こんなときそばにいて、そっとはかせてくれる、そんな女(ひと)がいるわけでもなく、本当に本当に靴下二つにも苦労しているのだ。
そこで、とにかくダイエットにはげむ。

市場にあるマルヤ薬局のお姉さんに勧められて秘薬を飲み、朝ご飯をちゃんととるかわりに夜は軽くする、なんてね。
人間努力が必要なんじゃないかな?
とにかく絶対に大台にならないように日々努力なのだ。

そこで朝ご飯につきものなのがお味噌汁。
東京ではおみおつけ(御御御つけ)なんていう。
思い出したのだけど、時々東京人というか、いかにも東京生まれをひけらかす愚か者がいて、「みそ汁じゃなくておみおつけだろ」とか、「ご飯をつぐ、んじゃなくてよそう」と言うべきだ、なんて言いやがる。
いやだね。
こんなヤツに限って表面はいいが、裏ではろくなことをやっていない。
そうだ! 思い出した。
ボクはあくまで姫たちの「父ちゃん」なのだけど、これも「お父さん」の方がいいんじゃない、なんてこと言ってきたりする。
言語というのは、例えば四国生まれの人間には、その地で生まれたために持っている破片というか、魂が絶対にどこかに残っている。
だから、徳島県生まれなら、徳島県人のかけらを子供たちに残す。
これって「いい悪い」なんて関係ないことなのだよ。

いかんいかん閑話休題。
朝ご飯を大切にしようと思っているので、毎日みそ汁を丹精込めて(そんなことはないのだけど)作る。
近所のスーパーにナーベラーがあった。
その昔、畑をやっていた頃、毎年作っていたのがヘチマだ。
ヘチマというと腐らせて繊維だけとり、身体を洗うのに使ったり、ヘチマ水をとったりで、普通食用とは思わないだろうけど、実は食ったらうまい。
大きくなる前のヘチマがあんまりうまいので、作っている時にもほとんど大きくなるまで育つものがなかったものだ。
このナーベラーと、残り物のマサバの切り身で朝のみそ汁に仕立てる。

煮干しだしにサバの切り身を放り込んで、ナーベラーを放り込んだだけの単純なみそ汁。
徳島県由岐町濱宮海産のカマスの干もの。
納豆と「本家 阿おんな」のおたふくしょいのみをぐちゃぐちゃに混ぜたものにネギ。
近所のスーパーで買ったサラダにソースビネグレットをかけて、塩炒りしたスルメイカをのせる。
後は生卵1個。

実はこの場合の主菜はみそ汁なのである。
カマスだって脇役であって、主役ではない。
新潟県長岡産のおいしいみそで作った、このみそ汁のうまいこと。
ナーベラーとは不思議なもので、それ自体は水分の多い物体でしかなく、甘いような甘くないような、なんともとらえどころがないものだが、なぜかうまい。
そこのみそ汁の具の王様的なマサバの切り身なんだから、味は想像以上、天井知らずなのだ。
ここでちょっと書いて置きたいのだが、ご飯は二膳までで我慢した。
人間生きて行くには我慢が必要なのだ!
ついでに、ついでに書いておくけど、ボクの人生って耐える、我慢なんて言葉がよく似合うのだよ。

材料(約二人前で)
サバの切り身半身、ナーベラー半分、いりこだし360㏄、みそ適宜。

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三杯酢材料
酢(我が家のはすし屋専用ミツカン山吹)200㏄、カツオ節だし300㏄、みりん30㏄、砂糖30グラム、塩適宜、薄口しょうゆ30㏄
作り方
1 サバは適当に切る。ヘチマは皮を剥き、湯通し。
2 いりこだしが沸いてきたら1を入れてみそを溶き、火をけす。

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大河ドラマの影響か、高知県は観光ブームにわいているようだ。
坂本龍馬さまさまといったところか。
ただし、高知の人気は、本当は坂本龍馬にはなく、土佐らしさにあるのではないか? と思っている。
高知らしさ、高知のおおらかさに、魅力を感じてついつい「高知に行ってみようか」と思うようになるのだ。

さて、先日、赤坂の高知料理の店に行ってきた。
宴会で、おざなりな料理だったのだろうけど、ビックリするほど高知らしさがない。
土佐の片鱗もなければ、むしろなよなよとしたくだらない料理ばかりだったのだ。
きっと東京に出店して行く年月、土佐の男臭さも、粗野な部分も忘れ去り、形だけの土佐料理を勝手にこねくり回しているようである。
くだらないな、と多いに落胆した。

そして廣丸にいただいた干ものなのだけど、別にこれといった特徴があるべくもないのに、高知らしいものを感じるのだ。
作りが荒々しい。
素朴だし、やや塩加減が強い。
外見は粗野だが、中身がいい、そんな干ものである。
酒が矢鱈に欲しくなる、とともに飯がこれまた矢鱈に「うまい!」。
食らうたびに桂浜からの大きな大きな太平洋と、強い向かい風の記憶がよみがえるのも不思議じゃのー。
永野さん、また土佐からの味の便り、待ってますよ。

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マトウダイの芝煮

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最近ではほとんど使われなくなった言葉に「芝煮」がある。
この場合の「芝」は東京都港区芝のこと。
落語「芝浜」の「芝」でもある。
江戸時代、前浜でとれる魚貝類は芝の地に水揚げされていた。
埋め立てが進んで芝の地から海は遙か遠くなっている。
東京タワーの真横で新鮮な魚貝類が揚がっていたなんて、まことに隔世の感があるではないか。

江戸の町の前浜でとれた魚貝類の水揚げの地、芝だからこそ生まれたのが「芝煮」なのである。
東京の味というと醤油辛い味つけが思い浮かぶ。
でもとれたての新鮮な魚貝類を濃い味つけで調理したのでは、元も子もない。
せっかくの魚貝類の味が醤油辛さにかき消されてしまう。
生きがいいからこそ薄味の汁で煮てうまい。
この薄味の汁気の多い煮物を「芝煮」というようになった所以である。

さて、煮物と汁物の境はどこにあるのだろう。
実はどこにもないのである。
例えば煮物の汁の多いものを汁物だと考えるとわかりやすい。
この汁気の多い煮物がまことにうまいのだ。
素材にはちゃんと煮ることで味がついている。
それなのに煮汁自体を飲んでも塩辛くない。
このように加減したものが「芝煮」だと定義しているのだけど、いかがだろう。
専門家の方がいらっしゃるなら、ご意見などうかがいたいものだ。

今回はムニエルにして残ったサンピエール(マトウダイ)のアラと肝、胃袋、それに大根を使って汁物の酒の肴を作ってみた。
一見簡単に思える料理なのだけど、意外に手間がかかる。
大根は下ゆでしなければならない。
魚は振り塩(必須だとは思わない)をしてから湯通し。
ていねいな下ごしらえだからこそ、澄んだおいしい汁が作れる。
うまみたっぷりなのにくどくない、からこそ酒の肴になるのである。

さて、月になんど作っても「芝煮」はうまいのだ。
今回のマトウダイの「芝煮」もうまかったし、発見があった。
骨についたマトウダイの身が思った以上にしまっている。
皮は薄いのにベロンとゼラチン質であるし、口の中で溶けて強い旨みを放出して消えてしまう。
しゃぶっては骨を捨て、大根を食べて、骨を捨てると、最後に汁が残る。
この汁が実はおおとりを飾るものなのだ。
とすると、これまでは前座、二つ目といったところか?
うまいもんだよ、「芝煮」というやつは。

材料
マトウダイのアラ1尾分、水400㏄、酒200㏄、塩小さじ1、醤油少々で味見しながら加減、日高コンブ6センチほど、大根10センチ幅程度、ユズ1個
作り方
1 マトウダイのアラは湯通しし、冷水に取り汚れなどを洗って水切りをしておく。大根は軽く下ゆでしておく。
2 鍋に水、酒を合わせて、アラを入れ、差し昆布をし火をつける。沸いてきたら大根を加えてアクをよくよくすくい取る。
3 大根が煮えてきたら色がつかない程度の醤油、塩で味つけ。このとき味見してやや物足りないくらいがいい。
4 ほどよく大根に火が通り、煮えたら出来上がり。椀にとり天に柚の皮をのせて、柚を絞り込んで食べる。

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ボクの親戚筋にうまい「しょいのみ」作っている華麗なる女系家族がおりまして、そこが面白いブログを作っている。
オジリン・ぼうずコンニャクも一枚噛ましてもらっているので、お暇ならのぞいていってください。

よろしく!

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関東などにもよく来る白貝(シロガイ)とは、やや北方系のニッコウガイ科二枚貝で、1種類ではなくサラガイ、アラスジサラガイ、ベニザラガイの三種類の総称なのである。
北海道などではホッキガイ(ウバガイ)漁の副産物だ。
副産物だからだろうか? 味がいいのに安い。
「どうして安いんだろうね」
知り合いのすし職人に聞くと、
「味に個性がないからだろ」
そうなのだ青柳(バカガイ)には青柳ならではの、渋みというか個性がある。
白貝を刺身で食べると、クセがなく食べやすいのだけど、どこか物足りない、のである。
白貝は生で食べるよりも焼いたり、ソテーしたり、汁にしたりがいい。

ここに登場するのがタジン鍋である。
もともと北アフリカのモロッコのもの。
水が貴重な風土で少量の水分で調理できるように、形が特化してとんがり帽子のようになっている。
これは素材から上がった蒸気が熱源から遠い先のトンガリ部分で冷やされて水になり、底の素材にもどるようになっている。
要するに少ない水分で蒸し物が出来ることになる。
しかもタジン鍋のいいところは、このまま食卓に出せてしまうこと。

肝心のタジン鍋はどこで手に入るのかというと、最近はどこでも売っている。
我が家には2個タジン鍋があって、その1個は2千円以下で近所のホームセンターで買い求めた。
もう一個は小振りのものが欲しかったので駅前のイトーヨーカドーで買ったもので、小さいのにこちらの方が高くて2400円だった。
どっちにしろそんなに高くない。
どこにでも売っているので、1つくらいは買った方がいい。

さて、サラガイが安い。
キロあたり600円しかしない。
これを6つ買い、百円玉3つでおつりがきた。
そして冷蔵庫をのぞき白菜、ニンジン、三つ葉があったので、後は簡単。
野菜に貝をのせて火にかけるだけ。
島根県奥出雲町、森田醤油のぽん酢をつけつけ食べる。
生で食べると平凡なのに、ほどよく蒸し上げると、甘みがあって貝らしい風味が浮き上がる。
下に敷いた、野菜にはたっぷりとサラガイのエキスが落ちて、これがまた絶品なのだ。
たっぷりの野菜がとれるし、酒の肴としても佳いのであるから、まことに目出度い。

夏バテ気味なので日本酒は重い。
メーカーズ・マークのハイボールを作ってぼんやりとiPadでネットニュースをのぞく。
「へー、梨元勝が死んだのか」

材料
サラガイ6個、白菜、ニンジン、三つ葉適宜
酒80㏄、ポン酢、七味唐辛子

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作り方
1 サラガイは厚みのない方の貝殻を外し、片方の貝柱を切り、流水で砂を洗いながす。ニンジンは千切り、後の野菜は食べやすい大きさに切る。

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サラガイは片方の貝殻を取り、残った貝殻の2個ある貝柱の一個を切り、砂などを流水で洗い流す。サラガイはよく砂を噛んでいる。

2 タジン鍋に野菜を敷き、サラガイを並べ、酒を振りかける。

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3 最初は中火、蓋の鍋から蒸気が出てきたら弱火にして3分。5分ほどそのままにして食卓でタジンの蓋を取る。ポン酢、七味唐辛子で食べる。

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暑いのだけど、毎日が充実している。
腹がよく減る。
ときどき空腹感で目が回る。
けど、おなか周りの脂肪が気になって、好きだったカツカレーにナポリタンなんてダブル糖質の食事は遙か遠くにあって、懐かしいものとなってしまっている。
でも食ったという満足感が欲しい、なーーー。

今年はダイエット中であるのと(結果は出てません)、忙しいので、日々の食事を鑑みるに、「シャバシャバ飯」がいいじゃないか?
思いついたので、イサキ、マイワシ、マアジで連日のごとく「シャバシャバ飯」を作っている。
「シャバシャバ飯」とはボクの造語で、千葉県外房では「水なます」という。
簡単にできるので、魚貝類料理の家庭での基本的なものになるはずだ、と考えている。

外房にはよく通ったものである。
クロダイ釣りに夢中になり、ショッコのカッタクリ釣りにはまり、フグのカットウ釣りにも熱中したのであった。
「水なます」を覚えたのは、船釣りを始めた20代後半のこと。
マダイ狙いで遠路、外房へ。
ところが突然の強風で船が出なくなり、凪待ちの末に諦めたこことがある。
そんな時、船宿でごちそうになったのが「水なます」。
船の生け簀で泳がしていた小イサキ、小アジを使ったもので、これが激うまだったのだ。

さて、「水なます」とは夏の香辛野菜と、魚、みそだけで作る冷たい冷たいみそ汁で、そしてとてもインスタントな食いものである。
本来、漁師が船上で食っていたものだからあらっぽく、いい加減に作らないとうまくない。

これをかき込んで酷暑の中に出かけていく。
不思議なものでみその香りと、ほどよい塩分でとても身体が清々しい。
盛りのミョウガ、青じそ、キュウリなども丼のなかで香り高くある。
激辛の青唐辛子を加えるのはボクの工夫なのだけど、こいつも夏バテに効くのである。
昔、「水なます」で焼酎を飲むのが好きだという漁師の話を聞いたことがあるが、この料理に限ってはアルコールはダメだと思う。
一日の活力源、元気を一杯出すための料理が「水なます」なのだ。

材料
イサキ中1尾、キュウリ半分、ミョウガ2個、青じそ4枚、ネギ、青唐辛子1本、冷たい水320㏄、みそ適宜

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作り方
1 イサキは三枚に下ろして皮を引き、細かく切る。香辛野菜は千切り、小口切りなど切っておく。
2 大振りの器に水を入れる。ここにみそを溶かす。味見して飲むと塩辛いと感じるくらいがいい。

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3 冷たいみそ汁に氷を入れ、キンキンに冷えたらイサキの身を入れる。

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4 香辛野菜も入れて出来上がりだ。青唐辛子は混ぜ込んでもいいし、好みで食べるときに。

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あれば白ごまを入れてもいい。


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8月25日の日記風

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けだし外出するのが恐いような暑さだ。
我が家周辺の雑木林にはセミが鈴なりだ。
ミンミンゼミ、アブラゼミ、ニーニーゼミ。
多摩丘陵ではクマゼミの声を聞かない。

さて、本日水曜日は休市。
夏バテ気味なのでベッドを抜け出したのが、なんと6時半過ぎ。
11時半に寝ているので、やはり睡眠時間が7時間で、これがボクの壁なのかもしれない。
こんなに寝ていては追い詰められるばかりだ。
台所に立ち、とにかく洗い物をする。
起きてすぐに洗い物という日々が続いている。
洗濯機を回す。

昨日(23日)はチカメキントキ、タカベ、イガイの撮影。
ビンナガマグロのコンフィ、親タラモサラダ、タカベの塩焼き、チカメキントキの刺身の撮影。
最近リンゴに興味があって、シナノレッドという品種も撮影。
調味料は沖縄もろみ酢の撮影と味見。

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撮影枚数なんと600枚を超えてしまっている。

本日、この半分の画像整理。
それでも未整理の画像が多く残る。
このようなことが続くと、週末に眠る時間が皆無になる。

画像の整理をしながらタラモサラダ、タカベの甘酢煮を作る。
甘酢煮はなんど作ってもうまい。
体力の限界状態にあってもうまいのだから、これはずば抜けた料理法に違いない。
外出まで、とにかく原稿を書く。
おせんさんに教えてもらった、ネンブツダイのだしじゃこを探すべく、徳島県南陽町に電話。
観光協会、スーパー2軒、ついでに県庁。
けっきょく見つからず。
現在、各地の加工食品を死にものぐるいで探しているのだけど、まことに困難を極めている。
とにかく、干ものや練り製品、また地域性を生かした加工品を集めるためには、そこに行くしかないようだ。

11時に我が家を出る。
夏休みですいている車内では寝ている人が多い。
ボクもついつい眠くなるが、ゲラに目を通す。

12時過ぎにボクの糧となる仕事の場に到着。
1時過ぎにコンビニへ。
実は、朝ご飯の糖質はマフィン1個だけ。
後は作った料理を食べているはずなのだけど、ファミマ(姫いわく、ファミリーマートと言ってはださいらしい)で「SUSHI DOG!」という変なのものを見つけて買う。
すし飯に目玉焼きとハンバーグが入っているのだけど、うまくはないね。

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午後7時、とにかく大急ぎで帰宅。
駅前のイトーヨーカドーでテフロンフライパンと蓋、食品売り場で相模湾産マツダイの刺身(ヤルなー!)。

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その昔、東京には丸のままの魚の姿が見られない、おざなりな魚しかない、といってお役所から表彰されている嘘つき集団に会っているのだけど、そんなことはない。
都内のスーパーは魚貝類の宝庫である。
しかも我が家周辺の8軒のスーパーに限っては非常に懇切ていねいに魚を下ろしたり、料理法を教えてくれたりする。
空腹なのでサラダとざるそば。

帰宅後、原稿を書きながら、校正、そして料理。
チカメキントキのタジン鍋蒸し、キグチの干ものの撮影。
佐世保産イガイの再度の撮影と同定。
タジン鍋はイトーヨーカドーで5月の引っ越しのときに買ったもの。
使うたびに発見がある。

いつの間にか11時を回っている。
イガイの同定に苦しみ気分が悪くなる。
イガイ類はサイズによって形態が大きく違っているのだろうか?
とにかくイガイ類の検索はどうすればいいんだい!
そろそろ葉山の池田先生のところに行かなければだめかも。

本日の撮影枚数は少なくて280枚。
これをコピーして整理しながら、ゲラの校正。
午前2時に限界を感じてダウン。
疲れているはずなのに寝付けない。
なんとなく伍子胥の話を読みたくなって、本棚を探すが見つからない。


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今、いちばん聞きたいことは、なんだろう。
それは普通の人の普通の料理のことではないか?
だから知り合いに会うと、「どんなさかな料理を作ってますか? 最近どんな料理を作っていますか?」と聞くことにしている。
そのなかで非常に面白い料理があって、魚貝を使うのではないが、魚貝を作ってもうまいものが作れそうだ。
ついでに付け加えると簡単に短時間に作れそう。

ああ、最初に書いておくべきだったが、自然保護を考えるとき、その方法はいろいろある。
「乱開発をやめる」、「過剰なエネルギー消費をいましめる」、に加えて「多種多様な生き物を食べる」、「多種多様な料理法を身につける」が今ボクに考えつくことなのだ。
ここで私的に大問題を抱えていて、ついつい魚貝類にのめり込みすぎて通好みに走っているような、そんな気がするのだ。
「通」とは料理や食材に関しての感性の鈍ってしまった人、なのである。
要するに「食の痴呆」が進んだ人と考えるとわかりやすい。
そこでボクも「食の痴呆」が進まないように多様化していこうではないか、ということで今回の焼飯。

仕事で会った女性から聞いた、以下のことから作ってみた。
1 チリソースにはまっている。ホットチリソース(やや辛いけど甘い)、スイートチリソース(甘い甘い甘い)の2種類があって、甘いのが好き。
2 昨年行った台湾でパイナップルの入ったチャーハンを食べたらおいしかった。
3 帰国してパイナップルの入ったチャーハンを作ってはスイートチリソースをかけかけ食べているけど、おいしいんです。

このチャーハンに何が入っていたのか、わからないけどパイナップル入りチャーハンとは、とてもボクに思いつくようなものではない。
そしてスーパーに走る。
ありました、ありました。
近所の『三徳(こことても優れたスーパーなのだ)』に。

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思ったよりもたくさんの種類のチリソースがあって、選ぶ基準がないのでタイ産のスイートチリソースを一本。
これが380円くらいなのだけど、高いのか安いのかも不明である。

これから外出という11時、ようするにチャーハン、というよりは焼飯なのだから、あっという間に早めの昼ご飯を作る。
我が家にはいくつかの使えそうな野菜に、姫の食べ残しのパイナップルがなぜかあるのだ。
そして魚はスズキが一切れ。

作ってみたら、これがなんとも不思議な食べ物だった。
中華のチャーハンにはほとんど野菜が入らない、動物質のものも卵と、チャーシューくらいだよう。
もしも生のものを入れるなら予め火を通してから使う。
とにかく水分が出るものを排除してサラサラに作る。

なのにこのパイナップル入り焼飯は生の野菜が入っているのでしっとりしている。
しかもパイナップルが非常に甘く、ニガウリがちょっとその甘さの暴走を止めてくれるのだけど、その甘さの爆発力のすさまじさに、焼け石に水なのである。
具の主役のスズキはいったいどこに行ったのだろう?
「おーい出てこい!」
ボクが30歳若かったらうまいと思ったかもしれない味なのだ。
そしてスイートチリソースをかける。
これがまた甘い、甘い。
こりゃ大変なことになりそう。
と思ったら甘さの暴走が止まったのである。
スイートチリソースは甘いけれど、ほどよい酸味がある。
そしてちょっと辛い。
でも結局スズキは行方不明のままだった。

ボクはこのような、旅好きの若い女性のコペルニクス的発想についていける男にはなれそうにない、けどそれではいけないなー、なんて考えながら、ノンアルコールビールをぐびりなのである。
外は炎熱地獄に違いない。
蝉の声が窓を閉めていても聞こえてくる。
後、3分でそこに飛び出して行かねばならぬ。

材料
スズキ1切れ、ニガウリ、玉ネギ、卵1個、赤パプリカ4分の1、パイナップル適宜、ご飯茶碗1杯
塩、コショウ、フィッシュソース少々
スイートチリソース
作り方
1 ニガウリはほどよく切り、塩で和えて、少し置いて水洗いする。スズキは塩コショウしてフライパンでこんがりソテー。取り出し適当に切っておく。
2 スズキを焼いたフライパンに溶き卵を入れ、ご飯を入れて炒め、刻んだパプリカ、玉ネギ、パイナップルを加えて炒める。
3 塩コショウで味つけ、フィッシュソースで香りづけしてできあがり。
スイートチリソースをかけながら食べる。

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関西に行くと必ず買ってくるのが焼き穴子。
内湾性のいわゆるアナゴというのは標準和名のマアナゴ。
面白いことに、関西では主に焼く、関東ではしょう油味で煮るのである。
煮物は料理だが、焼きものは加工食品という違いがある。
関西の焼き穴子は主に専門店で焼き、これを料理店などが買ってくる。
プロでなくても一般家庭でもしばしば買い求めて、ちらしずし、湯豆腐、酢の物、そのままで、といろいろ重宝に使っている。

さて、酷暑続きの今日この頃、ついつい作ってしまうのがきゅうりもみである。
関西では「ざく」という。
「きゅうりもみ」よりも「ざく」の方が涼しげでよろしいな。
半夏生を過ぎたら、毎日「ざく」が食卓を飾る。
なんとなく関西らしい光景ではないだろうか?

さて、一人暮らしのボクが「ざく」を作るのは、遅く帰り着いた、ちょっといっぱいの酒の欲しいとき。
冷蔵庫からきゅうり一本取りだして、トントンと刻み始めて、ほんの数分。
きゅうりを塩で殺して、焼き穴子をあぶる。
この材料を合わせておいてシャワーを浴びるわけだ。
「ざく」はあくまで酒の肴なので、グラスに日本酒、氷を入れて、冷凍庫に放り込んでおく。

シャワーを浴びたら、盛り合わせておいた「ざく」に作り置きの三杯酢をそそぐ。
「ざく」の薬味はわさびなのだけど、全体を混ぜ合わせてしまってもいい。
そのままきゅうりはきゅうり、焼き穴子は焼き穴子で食べてもいい。
ボクの場合は混ぜない主義なので、そのまま焼き穴子をくらい、日本酒ロックを流し込み。
きゅうりを食べて、三杯酢で口中をさわやかにして、また日本酒ロックを流し込む。
酷暑の深夜に飲む酒は生よりもロックの方がいいようだ。
私的な密かなブームなのだ。

さて、「処暑過ぎて いつまで続く 酷暑やら」なんてついついまずい俳句がこぼれ出る。
疲れ果てた五十路男の身体は悲鳴をあげているのだ。

材料
キュウリ1本、焼き穴子小1本、塩、三杯酢
三杯酢材料
酢(我が家のはすし屋専用ミツカン山吹)200㏄、カツオ節だし300㏄、みりん30㏄、砂糖30グラム、塩適宜、薄口しょうゆ30㏄

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作り方
1 まず三杯酢を作る。酢とだしなど塩以外の材料を鍋に合わせて、温める。沸いたら、味見して塩で加減する。これは冷蔵庫などで保存しておくと便利。
2 きゅうりは縦半分に切り、種の部分を取り、薄く切る。塩を加えて手でもむ。

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3 10分くらい置き、きゅうりから水分が出てきたら流水で余分な塩分を洗い流す。このとき塩の抜け加減を見て、ほとんど塩気を感じなくする(甘酢を利用する場合もあり、このときはほどよい塩気を残す)。よくよく水分を絞り、三杯酢に浸して、もう一度絞る。

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4 焼き穴子はあぶって刻む。水気をしぼったきゅうりと穴子を器に合わせておく。ここに三杯酢をそそぎ、わさびを添える。

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徳島県に新盆で帰っていて、久しぶりに「こんこにもスダチ」という生活を味わえた。
この〝こんこ〟はたくわんのことで、「徳島県人はたくわんを食べるときもスダチを振りかける」、そのくらいに何にでもスダチ、スダチという意味合い。
そして、特に徳島県人のスダチまみれの実態を表す料理に、魚をスダチだけで締める(〆る)というのがある。
県内でとれる柑橘類の種類は多く、ユズの生産量も多いので、スダチもしくはユズというのが正しいかもしれない。

そして、徳島県人のソウルフードで魚の代表を務めるのが、イボダイだろうな。
県内全域で「ボウゼ」、「ボーゼ」などと呼ぶ。
普通、マアジとともに姿寿司になるのだが、刺身に、酢じめ、煮つけに唐揚げと大活躍するのだ。
「魚をスダチで締める」となったら、まずはマアジかイボダイとなり、ボクも本当のスダチの旬だと思っている8月後半から以降は、とにかくイボダイを見つけたらスダチでしめて、酒の肴にしているのだ。

作り方は簡単。
要するに酢のかわりにスダチの果汁を使うだけ。
今回使ったスダチは徳島県美馬市、東みよし町近辺でとれたあまり手入れをしないで、季節に素直に実った「庭そだち庭すだち」なので香りが抜群にいい。
ちなみに「庭そだち庭すだち」が欲しかったら『本家 阿波おんな』に問い合わせて欲しい。

さて、スダチのさわやかな酸味と香りに包まれたボウゼが「うまいんじゃー」と突然徳島県人に立ち返って叫びたくなる。
なんと軽い味わい、であるのに適度に旨みも脂から来るしっとり感もあるのだろう。

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合わせる酒はバカルディのスダチソーダ割りなのである。
最近、我ながらさわやかな男を目差しているのだけど、だんだんこのような酒が似合ってきている。
「うふふ」なのだ!

材料
イボダイ小適宜、スダチ適宜、塩適宜

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作り方
1 イボダイを三枚に下ろして、腹骨、気になる血合い骨を取る。
2 やや強めの塩をして15分置く。
3 軽く水洗いして水をよくよく拭き取っておく。
4 4をバットに並べて、スダチをこれでもか、と絞る。数時間で食べられるが、一日おいてもよい。


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5 適当に切り、+スダチ、わさびを添える。


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徳島県人の好きなものをあげると、一・スダチ、二・しょいのみ、三・ちりめん。
じゃないかな?
「しょいのみ」とは「醤油の実」のこと。
「ひしお」とも「もろみ」という地域もある。
徳島県でも「ひしお」もしくは「しょいのみ」という言い方が両立して相半ばしている。

醤油は大豆の麹と、煎った麦で作る。
麹と麦は、発酵がすすみ出来上がったときに、漉して捨てられてしまう。
この現在では捨て去ってしまう、漉して残ったもの、すなわち「しょいのみ」は古くは醤油造りの貴重な副産物だった。
これはボクが実際に経験したことだけど、自家製して醤油を漉すそばからつまみ食いをすると、やめられなくなるくらいにうまい。
それでいつのまにか、「しょいのみ」専用の麹が作られるようになった。
これを瓶などに入れて醤油を加えるだけで手軽に、実にうまい「しょいのみ」ができるのだ。

徳島県では各家庭で作られているものだし、そんな手間がないという向きには出来上がったものまで市販している。
一家に一瓶「しょいのみ」状態が普通と思っていい。
徳島県人の家庭になくてはならないものが、もうひとつ。
それはユズの変異で出来上がった徳島県ならではのスダチなのだけど、このふたつは常に同じ食卓に並んでいる。
なにしろ、こんこ(たくわん)にだってスダチだし、おかずの合いの手には必ず「しょいのみ」になのだから。
これぞ徳島の平均的食卓の風景ともいえそう。
さわやかなスダチの香りと酸味が加わった「しょいのみ」がまことにご飯に合う。
うますぎる! 感動的でときどき涙が頬からポタポタして困るくらいだ。

ただし、ここで問題が発生しているのがおわかりだろうか?
「ご飯=糖質」、「麹=アミノ酸+植物系タンパク質+塩分」、「スダチには柑橘酢+ビタミン」の取り合わせには動物質のものが皆無なのである。
今回、お盆に徳島に帰郷して、「本家 阿波おんな(実は義姉の家)」でその解決策を垣間見ることになる。
そこに、これまた徳島名産のちりめんを加えて、かき混ぜるだけ、もしくは「しょいのみ」に漬け込んでしまう、というもの。

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これで三杯飯に「しょいのみ+スダチ」より遙かに健康的な組み合わせが成立したのだ。
めでたし、めでたしだ。
いけるなら、4杯飯も辞さず、いやいや五杯飯だってという気分になれること請け合いだ。

ちなみに「本家 阿波おんな」が作る「おたふくしょいのみ」には大豆、麦にもうひとつ、空豆が投入されている。
ここにより穀物性の高い「しょいのみ」が出来上がったわけで、しかも味わいはとてもまろやかなのだ。
スダチだって、そんじょそこらのスダチではない。
徳島県を流れる吉野川流域で粗放栽培された露地もの。
というか各家庭の庭、もしくはあまり手入れしていない農地でほったらかされたスダチなのである。
ボクはこれを勝手に「庭そだち庭すだち」と呼んでいる。
手入れの行き届いたふっくらとしてきれいな栽培ものに比べると、汁は少なめだけど、香りは2倍するというもの。
ちりめんも小松島産か阿南産にしたかったが、愛知県産でがまんした。

ご飯にのせた、「しょいのみ」に、スダチの香りというのは著しく郷愁誘う味わいなのだ。
ふと初恋のひとの顔が浮かんでくる。
失恋して飛び込んだ、吉野川の水は冷たかったなー、なんて。
飯を食うだけで懐かしい情景や出来事が、こんなに思い出せるなんて知らなかったのである。

本家 阿波おんな


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ワタリガニ(ガザミ科の大型のカニ、ガザミ、タイワンガザミなど)を生のまま調味料に漬け込んだものを、韓国ではケジャンという。
ケジャンに二種類ある。
醤油ベースのナツメやニンニク、トウガラシで香りつけした漬け地に生きているカニを漬け込んだカンジャン ケジャン。
唐辛子粉などの薬味をベースにしたタレに漬け込んだものをヤンニョム ケジャンという。
本来、ケジャンというのはカンジャン ケジャンをいい、比較的見かける機会の多いヤンニョム ケジャンはトウガラシを使うことからしても、16世紀以降に作られるようになったものだろう。

さて、コリアンフーズのオバチャンが作ったカンジャン ケジャンをいただいた。
横須賀産の活けタイワンガザミをそのまま醤油ダレに漬け込んだもので、抱卵している時期ではないので、あくまでも試作品。
漬けダレはまだ試行錯誤しているところだとのこと、で子細わからず。
ナツメ、ショウガ、ニンニク、唐辛子、そしてタイワンガザミが瓶の中にある。

コリアンフーズのオバチャン曰く。
「ちょっと醤油が入り過ぎたのかな、辛くなり過ぎよ。今回は試しに作ったものだからね」
とはご謙遜。

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4等分してかぶりついたら、実にうまい。
醤油でとろっとコロイド状になった身があって、それを吸い、吸い、食らうのだけど、甘みがあって、それは明らかにカニ自体から来るもの。
ミソがこれまた独特の渋みがあってうまい。
酒を合わせるなら間違いなくマッコルリがいい。
甘くてさらっとした味わいが、この濃厚な味わいにぴったりだ。
酒の肴としてもよし、ミソの詰まった甲羅にご飯を入れてかき込んでもよし。
肝心要の卵巣がなくても、麗しの味なのであった。

さて酒の肴とした残りで汁を作る。
水から煮て、アクをすくい、すくい、ほどよくうまい汁となったら塩加減する。
漬けダレで味つけするよりも、塩味の方がさっぱりして美味だ。
さて、これだけの美味。
早く次ぎの試作品が出来ないものか、コリアンフーズの前を通るたびに、
「そろそろ作ってよ」
必ず声をかけることにしているのだ。

八王子の市場に関しては

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帰宅しました

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徳島から帰ってきました。
新盆での帰郷、しかも酷暑だというのが重なり疲労困憊、頸椎症が悪化して左半身が痺れています。
ちょっと病人のようです。
本日はシャワーを浴びてダウンしたいと思います。
しかし、こんなに疲れる仏事を一周忌、三回忌と続ける必要がある。
仏教徒ではないのでただただ無意味に疲れる、だけなんですね。
それに仏事の問題点は死者に対しての思いが減少すること。

さて、明日からはメールの返信など平常通りに行います。


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明日から徳島です

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父の新盆で明日から徳島県でいます。
帰宅は週末の可能性大。
とにかく四国は遠いのです。

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牛の小腸を「しろ」というが、これをよくよく掃除して、オイスターソースと炒めたのが好きだった。
けれでも魚貝類以外のものを食べることを原則的にやめてしまったので、もう遙か彼方にある幻の味になってしまっているのだ。
残念ではある、が魚貝類、食の勉強に没頭している限りは、これくらいの極端さは致し方ない。

そんなとき目の前にあったのがマンチョウである。
「マンチョウ」とはボクの造語である。
わかりやすい造語なので、ボク以外にも使っていそうだけど、「翻車魚腸」を「マンチョウ」とした、その実績は確かに私にもある。
まあ、くだらない話はよして、っと。

マンボウは定置網などに入ると、身と肝と腸を切り取ってしまう。
肝と身を合わせて、しょうゆをぶっかけて食うのが浜ならではの楽しみ。
だが、やはり消費地ではなかなかこんなことは出来ない。
マンボウ三種の神器(みくさのかむだから)が身、肝、腸だとして、実はもっとも流通上で価値があるのが腸なのである。
焼き鳥風にする、みそと炒め煮にするなど、いろいろ使い道がある。

さて、マンチョウだが、よく見れば、これがまごう事なき「しろ」ではないか!
買い置いてあったにんにくの芽、セロリ(大好きなのだ)、ニンジンなどとオイスターソースで炒める。
よよよ、おおおお、食ってみたら「しろ」とはまったく異質なものだが、その旨さ、醍醐味は、ここにもちゃんと存在するのだ。
うまい!
ロックで傾ける紹興酒が、これがまたうまい!

さて、私的偏愛食物でホルモン関連といえば、もうひとつある。
それは「まめ(腎臓)」である。
魚貝類に代用品を探しているのだけど、まったく見つからない。

材料
マンチョウ10センチ四方、にんにくの芽、セロリ、ニンジン
ソースに
オイスターソース、紹興酒、砂糖少々、にんにく、コショウ、ラー油
作り方
1 マンチョウは細かく切れ目を入れて、一瞬湯通し、冷水に取り、水を良く切っておく。
2 野菜は適当に切る。紅花油をフライパンに注ぎ、野菜、マンチョウを炒める。
3 マンチョウに火が通ったら、ソースを回しかける。あまり炒めすぎないように。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マンボウへ


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市場を歩いていると、ときどき面白いものに出合える。
『十一屋ジャパン』で見つけた、コイツもそんなもののひとつ。
ここにある「山わさび」は当然、ホースラデッシュのことだろう。
当然、北海道産? ラベルを見ると、案の定、北海道網走で作られている。
そして、金印の製品なのだから、ホースラディッシュとは切っても切れないメーカーだ。
粉ワサビの原料がホースラディッシュ(ワサビダイコン)なのであり、その最大大手が金印なのだ。

荒く下ろしたホースラディッシュをやや甘口の加減醤油につけ込んだもの。
辛さ、醤油辛さがほどよく、野菜などに和えても、刺身にくるんで食べてもいい。

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特に出合いのものだな、と思ったのがミズダコ。
ミズダコをさっとゆでて、山わさび醤油味をくるんで食べるのだけど、まったく新しい味となっている。
いつもの柑橘醤油よりもまろやかな味わいで、とても、うまい!
魚好きにもおすすめである。

市場で1瓶500円前後。
スーパーなどで買うともっと高そうである。
ただし、80グラム入りを買うと、非常に使い出がある。

金印


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まことに深刻であるのだよ夏バテが。
だいたい本日の午前9時、都心に向かう電車で隣り合わせた男がひどいヤツだった。
股を左右に張り、ケータイを大声でかけては切り、かけては切り。
仕方なく調布で下りて意味もなく準特快に乗り換える始末に。
そして10時半、東日本橋のアーズでいろいろ教わって。
これでまた市場魚貝類図鑑に、新しい展開ができそうだなんて思う。
関係ないけど、ホームページのことならアーズにお任せなのだ。
アーズへ
そして神保町にもどって暫し、生きるための仕事。
またまた日本橋にもどって散髪。
考えてみると、学生の時から散髪は日本橋室町なのだ。
「しまね館」をのぞき、三越でクロワッサンとフランス田舎パンを買う。

そして帰宅したのが5時半なのだけど、なんだか疲れているのだ。
微熱があるせいだろうか。
その上、電車でついつい居眠りして、頸椎症にいちばん悪い姿勢だったらしく、右手が著しく痺れてしまう。
このままダウンしたいのはやまやまだったけど、それでも料理の写真撮影。
暮れに出る本の校正を済ませて、ふと時計を見ると、もう9時を回ってしまっているのだ。

さて、本日の食事を振り返ると、早朝5時過ぎにネギだけの暖かい素麺。
午前10時過ぎに馬喰横山で春菊天そば。
アーズでアイスコーヒー。
仕事場で爽健美茶。
夕方に作ったのがスルメイカのゴーヤチャンプル、マンチョウの山椒焼き。
自家製サンマのみりん干しにしらす干し。

料理撮影後、写真整理に没頭して、あらあらもう10時を回っている。
あまりに腹が減ったので、冷凍しておいたフランスパン。
デュラムセモリナ粉をまぶして揚げたカタクチイワシの冷凍保存も出す。
トマトを切り、ナスをソテーする。
これを焼いたフランスパンにのせると出来るのがブルスケッタなのだ。
近所のグランルパ(スーパー)で買ったシャブリで、ほっと一息。
エキストラバージンオイルの香りって、夏バテにきく。
ような気がするのだけど、気のせいかな?

材料
フランスパン2センチ厚みを2個(腹がへっていると厚くなるのだ)
ナススライス4、冷凍保存しておいたカタクチイワシの唐揚げ6、7本
トマト少々
あればイタリアンパセリ
エキストラバージンオイル
にんにく
作り方
1 フランスパンをこんがり焼く。
2 パンの表面ににんにくをなすりつける。エキストラバージンオイルをかける。
3 カタクチイワシは30秒チン。
4 パンにトマトをのせて押しつけるようにパンの表面でつぶす。ナス、カタクチイワシをのせて、イタリアンパセリを飾る。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、カタクチイワシへ


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お盆前であるし、台風接近中、海は大荒れなので、魚があるわけがない。
ボクの方も慌ただしさが、慌ただしさを産み、てんやわんやだ。
だいたい雑用が多すぎる。
大量の郵便物が来る、そして郵便物を出す。
たまの平日の休みなので、近所の大型スーパーで材木を買い。
錐に釘に、ガスの口。
部屋の片付けもままならず、また落ち着いて仕事もできやしない。
ああ、気立てが良くて、美人さんのボランティア秘書いないだろうか?
いるわけない、よなー。

さて、どん底の市場で見つけたのがゴマフグである。
『マルコウ』のクマゴロウが毒を除去したもの。
きれいに真空パックしたものがキロあたり1800円也。
300グラムほどなので500円玉で買える。

そしてツルムラサキ、ナスなどの夏野菜を買ってと。
作りますものは「いしる鍋」。
なんだーー? 夏に鍋はないだろう!
こう思う人は愚か者なのである。
冷えの原因は夏場にあり。
暑い夏にこそ、身体が温まるものを食うべきなのだ。

鍋汁の基本は「いしる」。
輪島朝市で買った魚醤である。
これを水でちょうどいい塩加減にするだけだから、インスタントなのだ。
本当に3分で出来てしまう。

9時を回ってしまった遅い晩酌に、酒は福井県越前大野の花垣。
ねずみふぐさんにもらったものだけど、いい味なのだ。
忘れないうちに、ねずみふぐさん、ありがとう(パソコンを内ながら頭を下げております。見えねーだろうけど)。
そういえば、20年以上も前のこと。
朝市のある通りの酒蔵で買ったことがある。
当時はまずかった酒が今様に変わってしまっている。
無個性になってしまって、ちょっと残念だがこれでいいのだろう。

汁ごとフグをすくい、スダチをぎゅっとしぼり、汁の中で崩しながら食らうのだけど、うまいねーー。
身体の底の方に冷えてしまった部分がある。
これを温めてくれる味わいだ。
冷めた純米吟醸が、夏の鍋には合う。
そろそろエアコンをとめて、風でも入れよう。

材料
ゴマフグ300グラムをぶつ切り
ツルムラサキ、ナス、玉ネギ、ニンジンなど野菜適宜
いしる(フィッシュソース、しょっつるなど魚醤ならなんでもいい)、水
柑橘類(レモン、すだちなど)
作り方
1 フグのぶつ切りは湯引き。冷水にとり、ザルなどに上げて水切りをしておく。
2 土鍋に水を5分目入れ、沸いてきたら、いしるを飲めるくらいの塩加減になるまで加える。
3 野菜は適当に切り、まずはフグを入れ、野菜を加え、煮ながら食べる。皿にとったら柑橘類をしぼりながら食べる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ゴマフグへ


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市場に魚がない。
まことにまったくめぼしいものが見当たらない。
そしてそんななか堅調に入荷してきているのがスズキだ。
しかも安い!
なんでだろうね、この白身の少ない時期に、こんなに安いなんて。
30センチのセイゴクラスで400円出しておつりが来る。
まことに漁師さん、もうしわけない。
でも貧しさ故についつい手が出ますね。
ついつい手が出て、欲張って二本。

スズキは和の食材としてよりも洋(フレンチ、イタリアン、アメリカン)として重要なのではないか?
なぜなら和の定番、洗いは活魚もしくはそれに準じたもので初めて作れるもの。
市場にキロあたり500円とか800円で並んでいる、いわゆる活け締め、野締めのスズキで作ろうにも作れない。
東京湾ではとれすぎて、北海道にまで陸送しているスズキ。
このほとんどが活け締め、野締めであって洗いにはとても使えない。
だとすると和では煮るか焼くか、だ。
焼くと、途端にスズキ独特の臭みが浮かび上がる。
これをおぎなうのが、ショウガ酢とか、ショウガ醤油だろうが、それでも上の部類とはいえません、なー。

そこへいくと、洋は香辛料が多彩であるし、また白身魚を生かす料理が多い。
スズキと言えばムニエルだし、ポワレだし、そしてフライだし。
どれも平凡な料理法だが、それだけにていねいに作るとうまいのだ。
そしてフライだが、これだってなかなか難しいのである。

皮を引き、塩コショウし、パン粉をつけて焼くだけだけど、外は香ばしく、なかは豊潤でなければならない。
これをトンカツを揚げるように、塩コショウ、小麦粉つけて、溶き卵つけて、パン粉でジャーっなんてことではいけません。
第一、パン粉選びから始めなくては。
なぜ、市販のパン粉はこんなにきめが粗いのか、粒がでかいのか、わけがわからん。
スーパーを数軒探して、できるだけ細かいパン粉を見つけてから、さあ、作るのだとなる。
パン粉など自分で作れよ、と思われるだろうが、残念ながらボクはそんなに暇ではない。
だいたい今時、暇を持てあましていては餓死するしかない。
それくらいきびしいのだよ、不況というのは。

まま、いいか。
とにかくていねいにフライを作り、安い白ワインを冷やして、ついでにブルスケッタを作る。
サルサソースと市場で買い求めた安いモッツァレラチーズをのせただけの、超手抜きブルスケッタ。
これで簡単な夕食にして、食後はまた魚のお勉強に没頭する。
ちなみにボクのモットーは「一日一ミリでも前進」なのだ。

材料
スズキ30センチの半身(皮を引き腹骨をとったもの)、塩コショウ
アングレーズ(小麦粉カップ3分の1、卵1個、紅花油小さじ1、水カップ3分の1)
パン粉(「細目パン粉。静岡の旭食品が作り、シジシージャパン販売)
揚げ油
飾りにレモン、パセリ
作り方
1 スズキの血合い骨を切りはなし、棒状に切る。塩コショウしておく。
2 アングレーズの材料を合わせて、よく混ぜ合わせておく。
3 スズキの分量外の小麦粉をまぶし、アングレーズをつけ、パン粉をつけてかりっと色よく揚げる。

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買い物日記

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相も変わらず、忙しい日々を送っている。
しかも土日になると、また休日にしかできないことが待っている。
そして今年の夏は父の新盆でもある。
この帰郷の準備もある。
さてそんな週末の買い物は。
土曜日の市場では『高野水産』で小振りのアカムツ、フッコ(スズキ)、ワラサ(ブリ)半身。
マルコウで室蘭『宮森水産』から来たキタムラサキウニ1個(400円)。
姫にスイカ4分の1。
帰宅して仕事。
そしてワラサは塩漬けにする。
お昼は簡単に済ませて、八王子に出る。
毎年のことだけど、つらいつらい八王子祭だ。
姫はすっかりギャンブルにはまる。
途中、たこ焼きの撮影。
どんなときでも前進を忘れないのだ。

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横山町の「米屋守谷富蔵商店」で竹ザル2個、便利バケ1、木の杓子2を買う。
この店、何回来ても(数年に一度しか来ないけど)面白い。
南大沢にもどって、駅近くの「おっけい」で、たかさん、ミノルちゃん、コマちゃんと宴会。
この焼き鳥屋「おっけい」なかなかうまいのだ。
したたかに酔っ払い。
それでもグランルパで鰹のたたきを買う。

翌早朝、鰹のたたきを撮影。
早朝から仕事仕事。
朝ご飯はクルミバターを塗ったトースト。
長野県飯綱町の「サンクゼール」が作っているクルミバターはうまいよ。

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午前11時にお昼とも朝ご飯ともつかないが、とにかくご飯。
ナスと玉ネギのみそ汁、アカムツの煮つけ、ぶっかけ納豆、だしジャコのたいたもの、めかぶ、ごはん。
午後4時まで仕事。
午後4時に姫を送りがてら、スターバックスでお茶。
姫はケーキ。
イトーヨーカドーでカラスガレイの干もの、アカシタビラメ1尾、相模湾産生しらすを買う。
本日とれたという生しらすというのがすごい。
最近つくづく思うのはスーパーの魚売り場の多彩さと充実振り。
帰宅して生しらすの撮影。
そして仕事。
11時過ぎに眠くなり、ベッドで「栄養と料理」を読む。


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7月末から8月初旬にかけてのハモの腹には、たっぷり真子が入っている。
なぜならば市場に並ぶ、ほぼ総てのハモが雌だからだ。
ハモはまさに蚤の夫婦。
雄は雌の半分くらいしかなく、産卵期にやせて見る影もない。
食用としても見向きもされないものなのだ。

さて、この腹にたっぷりため込まれた真子を丁寧に丁寧に取り出す。
真子は長く、浮き袋や肝、胃袋などを包み込むようにある。
これを真子は一口大に、胃袋は半割、肝を二つ、三つに切り、一緒に煮つける。

魚などの煮つけの味つけはなかなか難しいものだ。
醤油が辛みとなるが、そこに甘みである、みりん、酒、ときに砂糖が加わる。
醤油にも薄口と濃い口、たまり醤油があり、これも使い分ける。
そして非常に難しいのが、酒とみりんの比率。
「みりん、酒を同量にする」場合、「みりん、酒のどちらかを大目にする」場合、「酒だけ」ということもある。
真子を煮つけるときには必ずみりんを加える。
なぜならみりんは素材が煮崩れるのを防いでくれるからだ。

あっさりした真子の煮つけは、いうなればオマケというやつだろうか?
市場には真子だけ取りだしたものが並んでいる。
でもあれはダメだ。
ときどき1パック買って煮つけるが、活魚から取りだした真子からすると一段も二段も下がる。
真の真子の味わいはハモを料る人だけのものなのだ。

さて真子は乙な味なんである。
ついつい箸の伸びる味。
酒の肴にも、ご飯にも合う。
子供とついつい取り合いになる味でもありますな。

材料
ハモから取りだした真子・肝・胃袋、酒、みりん、薄口、水、ショウガ
作り方
1 鍋に水2、酒1、みりん1、醤油2分の1、を合わせて煮立たせる。
2 真子、適宜に切った肝、胃袋を入れて、短時間で煮る。
3 火が通ったら、最後にショウガの絞り汁を振って出来上がり。

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ハモ料理の代表的なものが、「落とし」だ。
骨切りしたものを熱湯に「落とす」のでこの名がある。
「ちり」ともいう。
熱湯のなかで「ちり」と花びらのように開くためだ。
これは天然パーマの人の髪の毛を「ちりちり」なんていうのと同じ。

もっとも骨切りの腕前と、ハモ自体の良し悪しがわかるのがこの料理。
8月になると、途端にハモの脂が落ちてくる。
同時に値も下がるわけで、現在の市場流通のよさが、ここに垣間見える。

さて、「落とし」に添えるのは、梅肉酢。
すり鉢でねっとり滑らかに、すり、だしで適度に薄めたもの。
煮切りみりん、砂糖で甘みを加える。

夏の宵に鱧の「落とし」で冷や酒。
これは関東では魚好きの特権ではないだろうか?
料理屋さんで、しゃっちこばって箸を出すよりは、自分でハモを下ろし、骨切り、ちりちり花びらを咲かせて、キリリと冷えた純米吟醸などを一献。
よくよく考えてみると「落とし」というのは肴以外のなにものでもない。
酒なくして「落とし」はありまへん。

材料
骨切りしたハモ、梅肉、だし、煮切りみりん、砂糖
作り方
1 すり鉢で梅肉をすり、だしで緩めて、みりん、砂糖で甘みをつける。
2 骨切りしたハモは熱湯に落として、チリっと花を咲かせたら、氷水に取る。水分を出来る限り取る。

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骨切りが終わったら、まずは「ぼたんはも」を作る。
一般的には椀物、吸い物などとされるものだ。
カツオ節、昆布のあっさりしただしに酒と塩で味つけ。
椀に魚や貝などの種を入れて、だしをはったもの。
吸い物は別名を「お澄まし」などともいう。
透明な汁で割烹料理の世界では非常にあっさりして、上品な味わいで味蕾を活性化させる。

が、家庭で作るものは濃厚でもいい。
我が家ではハモに限っては骨やアラでだしを引き、酒、みりん、塩、薄口醤油で味付けし、旨みのある汁にする。
汁はどうしても白濁してしまうが、味は断然上だ。

骨切りしたハモの身のひだに、片栗粉(葛粉の方がよろしいな)をはけなどでまぶす。
これを湯に落として花びらのように咲かせる。
切りこんだ身が開いて花びらのようになる。
花びらが薄くて、まるでボタンのようなのだ。
これを濃厚な旨みのハモのだしに加えると、なんとも豊かな一椀となる。
ボクは常々、椀物こそ日本料理の華、主役だと思っている。
日本料理の世界の中心にあるのは、刺身でも焼きものでも、煮物でもなく、汁ものなのだ。

バランスのとれた味わいの椀物は、酒の肴としても最上級だ。
酒を含み、それを汁で流す。
ハモを口に入れるとほどよく、ほどけて口の中でとろける。
酒は旨みのあるものでも、辛口でもいい。
椀一杯で酒一合なんて理想的かも知れぬ。

材料
骨切りしたハモ3センチ幅を一人前4〜5切れ、片栗粉(あれば葛粉)適宜、ハモの中骨・アラ1尾分、昆布10センチ前後、三つ葉、酒、みりん、塩、薄口醤油適宜
作り方(4人前前後)
1 水800㏄、ハモのアラ(適当に切る)、昆布を鍋に入れて火をつけてゆっくり温度を上げていく。沸いてきたら昆布を取りだし、中火にし、アクを徹底的に取り去る。
2 ハモのだしを漉し、酒、みりん、塩、醤油で味付け。味つけは飲んでやや物足りないくらいがいい。
3 骨切りしたハモの切れ目に片栗粉を刷毛などでまぶす。これを湯に落とし、花びらが開いたら、冷水に取り、ザルなどに上げて水分を切る。

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4 だしの中にハモの切り身を入れて温め、椀にハモを取り、ゆでた三つ葉を加えて、だしを張る。

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