水産会社、加工品図鑑: 2009年9月アーカイブ

市内にひっそりとしたたたずまいを見せているのが、『青山蒲鉾店』だ。
この店構えからも大量生産多売を拒否している、というのがわかるはず。
がんこに昔ならではの「野焼き」を守り伝えている。

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さて、今回は比較的新しい製品「地伝酒玉子巻」のこと。
グチやエソなどの高級すり身と卵を合わせて焼き上げている。
切ってそのまま食べて、かなり痛烈にうまいと思った、ところまではこの老舗の野焼きと同じなのだ。
それ以上に、思わぬ拾い物というか発見をしてしまった。

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温めて食べると、非常に美味なのだ。
土曜日の夕食、食卓の中央に湯豆腐。
昆布だしに、豆腐がゆらゆら揺れる。
風邪気味なので、冷たいのを嫌って、「地伝酒玉子巻」を一切れ落して、温めてみた。
すると、冷たいものよりも、より白身魚の上品な旨味と、卵の香りが立ち上がる。

京都、大阪などで「うどんすき」を注文すると湯葉などが添えられている。
湯葉よりももっと嫌味がない、しかも旨味のある、しかも温かさを強く感じさせる素材。
「地伝酒玉子巻」はかなりの高級品で、わさび醤油でシンプルに食べるべきだ、と思いながらもついつい鍋に落として、柚を香りつけに楽しむ。
風邪気味の疲れ果てた身に優しい味なのだ。

さて、今回のものは『青山蒲鉾店』さんにいただいたもの。
へそ曲がりなので、頂き物は素直にとりあげないのだけれど、その禁を破って、感動をお伝えする。

青山蒲鉾店 島根県松江市中原町88
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/


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めずらしく、イボダイで作った「えぼ鯛開き」を見つけて買い込む。
我が家では、だれもが「えぼだいの干物」が好きなのだ。
しかもイボダイで作ったものは非常に少ない。
最近ではチリや大西洋でとれた近縁種ばかりが目立つ。

少々言語がこんがらがってきた。
イボダイは標準和名で「エボダイ」というのは東京周辺での方言というか呼び名なのだ。
ここで問題なのは加工品にしたときの「疣(いぼ)」なのだね。
どうにも汚らしい。
幕末、下田に来たハリスが「唐人お吉」のモデルになった女性に、疣や吹き出物があるのを嫌って暇を出す、なんてエピソードがある。
まあ、「疣」でいいイメージを抱く人なんかいないのだよね。

さて、じゃあ「エボダイ」の「えぼ」は何かというと、これまた「疣」なんだから困る。
田中茂穂が東京の市場を研究をかねて歩いていたとき、東京では「いぼ」の「い」が発音できなくて、「え」になっていた。
江戸っ子はハヒフヘホはサシスセソになるのはわかるが、「い」もダメだったのだろうか?
この辺、研究の余地あり。

とにかく「いぼ」も「えぼ」も疣のことで、わからなければいいのだ、という典型だな。
このイボダイがなかなか美味であった。
朝ご飯に塩加減のちょうどいい「えぼ鯛開き」というのも理想的な情景だろう。

ちなみにイボダイの産地は中国。
海域は東シナ海だ。
作ったのがボクが昔、磯釣りで通った、鴨川市浜荻の会社なんだから、流通の発達ってすごい。
昔、以西底引き網船が盛んに漁を行っていたところ。
今、東シナ海の現状はどうなっているんだろう。

長谷屋商店
http://haseyasyouten.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、イボダイへ
http://www.zukan-bouz.com/aji/aji/maaji.html
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