市内にひっそりとしたたたずまいを見せているのが、『青山蒲鉾店』だ。
この店構えからも大量生産多売を拒否している、というのがわかるはず。
がんこに昔ならではの「野焼き」を守り伝えている。
さて、今回は比較的新しい製品「地伝酒玉子巻」のこと。
グチやエソなどの高級すり身と卵を合わせて焼き上げている。
切ってそのまま食べて、かなり痛烈にうまいと思った、ところまではこの老舗の野焼きと同じなのだ。
それ以上に、思わぬ拾い物というか発見をしてしまった。
温めて食べると、非常に美味なのだ。
土曜日の夕食、食卓の中央に湯豆腐。
昆布だしに、豆腐がゆらゆら揺れる。
風邪気味なので、冷たいのを嫌って、「地伝酒玉子巻」を一切れ落して、温めてみた。
すると、冷たいものよりも、より白身魚の上品な旨味と、卵の香りが立ち上がる。
京都、大阪などで「うどんすき」を注文すると湯葉などが添えられている。
湯葉よりももっと嫌味がない、しかも旨味のある、しかも温かさを強く感じさせる素材。
「地伝酒玉子巻」はかなりの高級品で、わさび醤油でシンプルに食べるべきだ、と思いながらもついつい鍋に落として、柚を香りつけに楽しむ。
風邪気味の疲れ果てた身に優しい味なのだ。
さて、今回のものは『青山蒲鉾店』さんにいただいたもの。
へそ曲がりなので、頂き物は素直にとりあげないのだけれど、その禁を破って、感動をお伝えする。
青山蒲鉾店 島根県松江市中原町88
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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