厳寒の夜に山陰に旅立った。目的地は島根県であるが、とにかく鳥取県を目差す。
今回の旅はあくまでも島根県の魚貝類を見るのが目的。主題は島根県だが、予め調べるたくさんの項目があり、また東西隣接する県の漁業も見てみるべきだというのが、ボクの考えだ。
深夜バスを降りると、思ったよりも寒くない。ここから山陰の旅が始まるかと思うと、拍子抜けするほどだ。
この山陰到着が11日早朝、ここから夕方には島根県に入る。そして松江市、出雲市、境港市、大田市、浜田市、益田市と長い長い島根県を東西に踏破する。
鳥取県での松葉がに(ズワイガニ)、ばばちゃん(タナカゲンゲ)、じいぼ(「ジイボ」もしくは「シーボ」と発音)というイソギンチャクなどを見て驚き。
以後の島根に期待したら、そこは吹雪き、高波でほとんど水揚げが見られなかった。
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これが標準和名のわからない「じいぼ」もしくは「じーぼ」。ツブカゴやズワイの底引き網にはいるもの
荒天の海を見て、「これは誰のせいだろうか?」ということでヤマトシジミさんが「ボクのせいでしょう」と言ってくれるが、どうやら「責任はぼうずコンニャクにあり」であるようだ。ヤマトシジミさんの欠点はこの優し過ぎるところ。
それでも島根の水産物は素晴らしいものだった。
12日、松江市内から魚貝類を見ていく。
松江魚市場でみた宍道湖の巨大かつ美しいシラウオ、フナ(オオキンブナらしい)、隠岐産の松葉がに(ズワイガニ 島根県隠岐周辺はズワイガニの一大産地である)、サワラ、ブリ、カレイ類(ババガレイを「いんどがれい」と呼ぶのには笑えた)。
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市内で魚屋を営む笑顔が可愛い本川保成さん。
松江市内、恵曇などの平凡な魚屋、スーパーにおかれた魚貝類の安さ、新鮮さ。これなど旅人をして、感動を呼ぶに充分だ。ボクなど松江の銘菓に加えて、水産物をお土産にするべきだと旅人にアドバイスしたい。
また出雲市日御碕の大国紀子さん、民宿幕島の女将さんには、そぞの料理を作っていただく。これがまことにうまかったし、出雲女の魅力にも触れられた。
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これぞ日御碕を代表する美女。画像よりも実物の方がより美しい
大社漁協でのお話しがあって、直売所を覗く。船は出ていない。
松江市内での宴も素晴らしかったな。結論めいたことを言うようだが、松江にきたら、宍道湖のものだけではなく、豪華絢爛、多種多様な日本海の幸も食べないと損である。この豊富さ、味の良さは有名な富山をしのぎそうだ。
13日は強行軍だった。早朝、松江市内から鳥取県境港へ向かう。
鳥取県境港の巨大な市場のほとんどを占めているのが、隠岐をはじめ島根の魚貝類なのも大発見だった。築地などで「境港だから鳥取県産だね」なんて仲卸が答えているのが大きな間違いであるわけだ。
「境港は鳥取にあるが、並ぶ魚貝類のほとんどは島根県産」なのだと銘記されたい。
美保関での漁師さんたちとの語らいも楽しかった。
そこから松江市内を抜けて、出雲市を通り、懐かしい多岐を通り過ぎて大田に。和江の港では元組合長の月森さんの話が面白く、また和江で作られる「漁協かまぼこ」が知る人ぞ知る一品であることを、遅まきながら知る。この「漁協かまぼこ」の顛末は後に語る。
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夏の静かな日本海しか知らなかったので、荒れ狂う海も新鮮ではあった。ただし漁船は出られないよな!
夜には浜田市に入る。なんと夕食は「すし蔵」という回転寿司。ここで、ばとう(マトウダイ)やミズダコの握りを食べたのだが、寿司飯のあまりの甘さ、追い打ちをかけるかのごとき醤油の甘さに八王子『市場寿司 たか』の握りが懐かしくなる。
14日、早朝は浜田港での水揚げを見る。その量、また種類の多さには圧倒される。また、浜田の水産物を支えているのが干物などの加工業であることもすぐにわかる。懐かしい「水産物仲卸市場」の凄さも、より実感できた。これは五十路オヤジめ! と一喝されそうだが、この市場には美人が多い。この港前の市場はその内お魚好きの聖地ともなりそうだが、名前の長さや知名度の低さが残念でならない。
浜田市内には『浜田食品市場』という可愛らしい市場があった。この市場は地元のトーボくん(さん)がいてこそたどり着けたものと思われる。ここでたくさんの発見をする。トーボくんありがとう!
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浜田では魚貝類の洪水に合う。このもの凄い量を一度経験すると島根の水産物に対する認識は変わる
浜田の水産技術センター、漁協などに立ち寄り、興味深い話を聞いて、昼には益田を目差す。
益田市は県ではいちばん西部にあり、静かな自然豊かな町である。市内を流れる高津川は清流日本一に輝いている。
ここで県のトーボくん、ヤマトシジミさん、バシさん、中東さんとお別れする。
またここで向かえてくれたJFしまねの佐々木さんには夕食までご馳走になる。
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佐々木さんにはまことにお世話になった。3月20日の「清流高津川日本一を祝う会」の成功を祈る。
ここでちょっと話はそれるが、ボクの旅はいろんな人に迷惑をかけて、やっと成立する呈のもの。鳥取の浜勝商店さん、十九百(つづお)さん、川上寿郎さん。
島根県水産部の方たち、JFしまねの皆さん。漁業者の方達、市場で出会った方達。
また出雲市日御碕の大国紀子さん、民宿幕島の女将さん。
山口県では「道の駅萩しーまーと」の篠原充さん、瀬戸内海を愛する、セトポンには萩から山口、山陽道まで送っていただいた。
まことにみなさんご迷惑でしょうけど、ぼうずコンニャクをこれからもよろしく。また物質的な感謝はできませんが、心から、そして一生感謝致します。
夜9時半には寂しい寂しい一両編成山陰本線で萩を目差す。ここで初対面の「道の駅萩しーまーと」の篠原充さんの家で休ませてもらい。また翌日にも大変お世話になった。萩魚市場の場長藤田さんにも感謝。
15日には早朝に萩での水産物の水揚げをみて、篠原さんとFM萩に出演。篠原さんはラジオパーソナリティーとしても有名だったのだ。しかし初めてのラジオ出演は緊張した。
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篠原さんのもうひとつの顔はラジオパーソナリティー。番組をいくつももっている
「道の駅萩しーまーと」にまた戻り、「マフグのフルコース」をご馳走になる。これがうまかった。ついでにつけ加えると萩の「道の駅萩しーまーと」がいかに優れた水産物の施設であるかは、歩いていて楽しく、おいしいものがたっぷり、安く買える。それだけでわかって頂けると思う。萩に行くならお土産は「道の駅萩しーまーと」というのがいい。
ここでぼうずコンニャクという迷惑きわまりない五十路オヤジを篠原さんからセトポンにバトンタッチ。
山口市では川端市場を案内してもらう。この市場が、まさにボクがもっとも未来に残したい素晴らしいものだった。こんな市場に出合えるのも、釣りと食を愛するセトポンに出会えたからだ。愛してるよ、セトポン。
セトポンに徳山まで送っていただき、倉敷を目差す。そう言えば徳山市が「周南市」に名を変えていたのが残念だ。これは市の名前を合併で変更するときには慎重に、いろいろ考えてやるべきだ、という代表的なもの。
夜8時過ぎには倉敷市酒津の武内立爾さんのお宅にお世話になる。ボクの旅はこうやってどんどん迷惑をかける人を増やしていく。その夜の楽しかったこと。
翌16日朝には武内さんと岡山を目差す。お別れに送っていただいたお母様と、奥様には感謝。お母様にはお身体に気をつけていただきたい。
9時過ぎの岡山中央市場は残念ながらすでに終了していた。武内さんに市場案内をするつもりが、残念。ふたりで児島湖、児島湾を一周する。堰にあった波止(防波堤)で老人達がボラを釣っていた。この波止の名が「年金波止場」という。
中央市場に帰り着き、武内さんと分かれる。「武内さん、こんどはじっくり遊ぼうね」と心に誓いながら、関連棟でビニール袋、アラ(海苔の佃煮)を買う。
今回の中央市場は岡山県水の合地さんなどに島根の水産物に関してお聞きするため。これがまことに面白いし、また深く考え込まざる終えないものだった。
岡山駅には合地さんに送って頂く。まことに感謝。
1時過ぎには、のぞみで帰途に着く。東京ではたくさんの雑用が待っているのだ。
島根県庁
http://www.pref.shimane.lg.jp/
島根県水産課
http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/
JFしまね
http://www.jf-shimane.or.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/