登別温泉駅に到着しても、雨はあがらない。
駅で苫小牧行き普通列車を待っていると、「函館本線は森駅付近で冠水のため運休しています」とアナウンスが流れる。
駅構内はざわざわして、慌ただしい。
見回したところ、ボク以外はほとんど総てが観光客らしい。
幸運なことに在来線は通常運行だった。
赤い2両編成の車両に飛び乗ると、座席は5割方埋まっている。
これはローカル列車としては優秀だと思うな。
虎杖浜は登別温泉駅から一駅。
そういえば駅と駅の区間が長いのも北海道だ。
右車窓からは太平洋が見える。
線路脇にイタドリを探すが見つからない。
昔、この浜はいちめんのイタドリ(たぶんオオイタドリ)が生い茂っていた。
それで虎杖(イタドリ)浜と名付けたのだという。
駅前には何もない。
駅舎というかコンクリートの空間に入ると老婦人がぽつねんと登別温泉方面の列車を待っている。
時刻表を撮影して、「このへんに宮森水産ってありませんか?」
「みやもりですか、そこをまっすぐ行くとあますよ」
駅からの道をまっすぐ浜に向かって歩くと、すぐに宮森水産の作業所がみつかる。
ホッキガイの出荷作業で大忙しの伊藤さん、武田さんが出迎えてくれた。
そして虎杖浜名産のクシロエゾバイの塩ゆでをいただく。
やっぱりクシロエゾバイの塩ゆでは最高なのだ。
この宮森水産の方たちには、貴重な魚や情報を何度もいただいている。
ここに改めて「ありがとうございます」。
本日の荒天のために出荷する荷は思いのほか少ない。
虎杖浜は室蘭と苫小牧の中間にあり、噴火湾、太平洋岸であがるホッキガイ(ウバガイ)を名産としている。
このホッキガイに加えて、アカガレイ、エゾバフンウニ、キタムラサキウニなどが東京へ、川崎へ送られて行く。
正午過ぎには出荷が終わり、宮森水産の事務所でひとしきり北海道の魚のことなど話す。
ここで出迎えてくれた女将さんからは貴重なお話をお聞きした、ここでも改めて感謝。
お昼となって、伊藤さんの案内で近くの浜を見学。
やはり魚はほとんど揚がっていない。
白老の浜に忽然と現れる『蟹御殿』。中国からの観光客がいっぱい
そのあと『蟹御殿』というのを見て、お昼は『炉端焼き 池田』。
この店で今回の旅行でもっともうまい魚を飽食する。
まことに宮森水産さんには感謝、感謝多々なのであった。
午後2時近く、伊藤さんに登別温泉まで送っていただく。
千歳発6時半のANAなので登別温泉で時間つぶし。
ここで改めて観光地と、観光化された温泉場というのが大嫌いであることを再認識する。
登別温泉の公衆浴場のおばちゃんの不親切であること、この旅の汚点となる。
せっかくだから書いておくと、登別温泉は白濁した硫黄の匂いの強い、体によさそうな湯であった。
さて、4時前、登別温泉駅を南千歳まで、千歳空港を定刻よりも20分も遅れて、ANAは北海道を離陸する。
ここに北海道の旅は終わる。
宮森水産 北海道白老郡白老町虎杖浜116
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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