海藻でも紅藻類テングサ科とイギス科のものは煮とかしてさますとゼリー状に(寒天として)固まる。その海藻を豆腐のように固めたものが日本各地で食べられてる。日本海の「えご」、瀬戸内海の「おご」、形は変わるが福岡県、山口県での「おきゅうと」などもそのたぐいである。
それぞれ原料となる海藻をかえて、その土地度地の味わいを作り出していて魅力的であるが、福岡県博多の「おきゅうと」はエゴノリとイギスである。2種類の海藻を煮とかして、薄く小判状に広げる。ちなみに関東の市場にもよく「おきゅうと」は入荷してくるがほとんどが山口県下関で作られたもの。明らかにあるていど機械化されたもので形はコンニャクのような方形である。たぶん小判状に広げるのは機械ではできない技なのではないだろうか? 厚みも表面の形状もまちまちで、これが食感をよくしているようだし、また海藻の風味も生きている。
食べるときには、これをひも状にとんとんと切り、醤油か酢醤油、好みで辛子などを添えて食べる。薬味もネギ、かつお節、ごまなどを使う。博多ではこれを朝食に食べるというから、東京での納豆と同様の存在だろうか? 我が家でも博多に習い、朝食に食べるのだが、夏の朝方から、もううだるような暑さの日に冷たーく冷やした「おきゅうと」に酢醤油、たっぷりの辛子(ネギは入れたり入れなかったり)でご飯とともにかき込むのは、なんど食べても「納得のいかない味わい」なのにやめられない。どうも「うまい」という思いは予想を遙かに超えて複雑なんだな。
さて、この小判状の「おきゅうと」がなかなか東京では手に入らない。デパートなどで売っていたら必ず買って帰ってくるし、昔は博多の友人に面倒をかけて送ってもらったりしていた。そんな「おきゅうと」がなんと八王子綜合卸売センター「伸優」にあったのだ。全国を歩き回っていろんなうまいもんを探している店長が「探してきました」といって1パックくれたのがいい味わいだ。これが「井上おきうと店」のもの。パッケージもあか抜けない素朴なもので、味がいい。今時、パッケージにばかり凝り、味が今イチのものが多い中、まことに「井上おきうと店」は偉い。
ついでに「おきゅうと」はうまいし、身体にもいいんである。東京のスーパーでも小売店でもなんでもいいからもっとふんだんに取り扱ってくれるとうれしいな。
井上おきうと店 福岡県福岡市博多区吉塚1丁目4-1
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