水産会社、加工品図鑑: 2006年12月アーカイブ

 津軽海峡とくると、最近ではクロマグロ一色の報道がなされている。いかにもケレンの多い、しかもドラマ性にとんだ番組作りとなっていて見ていて恥ずかしくなるようだ。その青森沖合でこちらはいかにもしずしずと水揚げされているのがアブラツノザメなのだ。
「サメをなぜとっているの」なんて今時の都会人は思うかも知れないが、ほんの一昔前まではサメは惣菜魚としてありふれた存在であった。それが証拠に八王子市内の魚屋さんでは1970年代くらいまでサメの皮むきが朝一番の大仕事だった。これを道行く人がながめて「今日はサメでも煮てみるか」なんて思ったモンなんだろうね。
 そのサメのなかでも一番うまいのがアブラツノザメだという。煮つけ用やムニエル用にと生でも、そして最上級の練り物材料としても使われる。この青森産のアブラツノザメの頭を取り去り、皮を剥いたのを「棒ざめ」とか「むきざめ」とか言うのだが、これを関東の市場まで送り出してくるのが青森市内の田向商店である。だからサメに関わる商品・加工品が多い(その他の海産物もいっぱいあつかっているのだけど)。そのなかでもボクとしてはもっとも気に入っているのが「さめ煮つけ」である。
 サメは肉食魚なので今時問題となっている水銀の含有量が多い。でもそれを補ってもあまりあるのが素晴らしい栄養価である。特に多いのがコンドロイチン、コラーゲンという美肌のもと。美しい肌を保ちたかったらサメを週一くらいには食べるべきだ、と思うほどである。それにこの田向商店の煮つけの味付けがいい。骨密度が気になるお年寄りにもいいのではないか。またボクのような寂しいお父さんの晩酌にもイケル。
 田向商店の「さめ煮つけ」を食べるなら津軽海峡冬景色なんて演歌を流してみるのも一興である。ボクは勝手に「北風小僧の寒太郎」を唄っているけど。

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田向商店のサイトへ
http://www.tamukaisyoten.co.jp/
市場魚貝類図鑑のアブラツノザメへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 市場にはいろんなものを仕入れてきて、どさっと売り払ってしまう。そんな店があって、八王子総合卸売協同組合「三恵包装」なんて最たるものである。そこには全国各地からの名産品もよくくる。そして見つけたのが「にいや蒲鉾店」の珍味かまぼこの詰め合わせなのだが、これが実にうまかったというか、むしろ面白かった。
 正統派の魚の味わいをじっくり精製仕上げたというのではなく、思いっきり遊んでしまったというのが鄙にある店としては「やるな!」と思う。ボクは小田原などでつくる蒲鉾にときどき違和感を覚える。どうにも上品で食べやすくはあっても、これ「お魚なんでしょうか?」というくらいに素の味わいが消え去っている。それならウニやカニ、アワビなんかを練り込んで「遊んでしまった」んだろうね。ちなみにカニとウニはなかなか蒲鉾になじんでよかったのだが、アワビはどうかな。むしろ「ちりめん」なんかの方がいいかも? でも珍味だから高級感に欠けるかな。
 またこれだけ面白い発想をする蒲鉾店ならスタンダードな竹輪(ちっか)や天ぷらもうまそう。ボク的には「そっち」に魅力を感じまするのじゃ。

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にいや蒲鉾店 徳島県海部郡美波町木岐535-1


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 和歌山の魚々ちゃんは魚屋さんである。しかもうら若き美人さんなのであーる。女性が魚屋にいる利点というかよさはなんだろう? と考えるに食への好奇心の強さと広さではないかと思われる。どうもやり手の研究熱心な男たちでもてんで食に対しての探求心や、魚自体を知りたいという欲求にも欠けるのが多すぎる。彼らにとっては食べ物も魚も商品ではあっても愛の対象物ではないのである。そこから生まれてくる魚屋なんて、うまいもん好きのもとめる「+アルファ」があるわけがない。楽しさがない。この楽しさを生み出すのが食への好奇心なのだ。
 魚々ちゃんが和歌山で魚貝類の水揚げでは「いちばんおもっしょいところです(面白いところ)」と言うのが有田(ありだ)である。有田市はミカンで有名なところ。東京に暮らしていると魚貝類が豊富なところとは結びつかない。
 有田に魚を見に行く(仕事)ついでに彼女はなにをしてるんだろうね。男ならただ魚を仕入れ、せいぜい飯でも食って帰ってくるのが関の山。それがうまいもん好きなら当然、有田のうまいもんをいろいろ探してくるのだ。
 そして魚々ちゃんが送ってきてくれたのが「嶋田商店」の“えびつまみ”というもの。
 お礼の電話をかけると
「あっれっ、おいしいでしょう。一度食べてみて欲しかったんです。包装紙もかわいいし、見た目の楽しいでしょ」

 実を言うとこのとき何気なく“えびつまみ”を一袋あけて、ほんの十数分で空っぽにしてしまったところだった。どうして手がとまらないんだろうね。香ばしい揚げたせんべいにエビの風味がふわり。塩味のなかに甘さが感じられて、後味が軽い。後味が軽いんだけど「尾を引く味わい」なんだろうね。やっぱり手が止まらない。やめられない。
「いや魚々ちゃん、このうまさにはまいりました」
 また和歌山へ行きたいね。

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嶋田商店 和歌山県有田市宮崎町2130-1
http://www.ebisenking.com/tokutei.html


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