徳島県の練り製品を特徴づけるものは一に「竹ちくわ」、二に「かつ」だと思っている。
「かつ」はトンカツ、メンチカツの「かつ」で古くはフランス語の「コートレット」が「かつれつ」と変異したもの。要するにフライのことだ。
徳島で「かつ」というのは「フライ」、「とんかつ」などをさすのではなく魚肉をミンチ状にしてカレー風味で味付けし、パン粉をつけて揚げたもの。
このようなものは島根の「赤てん」、山口県、大分県の「ギョロッケ」など似たようなものが各地にある。
総て現在もある「魚肉ソーセージ」の誕生したとき、非常に人気がでたために多くの練り製品の加工状が打撃を受ける。
それならと工夫開発されたものたちなのだ。
(開発したメーカーなどについては今回は省く)
練り製品としては戦後生まれだから比較的新しい。
昔は単に「かつ」と呼ばれていたはずだ。
振り売りのオバサンの油揚げや竹輪の横に必ずあったもの。
子供の頃のものは表面が油で滲んでいて、じめじめしていて、完全にぺったんこ。
決して上等の食べ物とは言えなかった。
なぜなんだろう。
ボクは、幼稚園に通っていた頃、45年ほども前から、この「かつ」が大好物だ。
だから徳島に帰ると、いろんなメーカーのものを買ってしまう。
今回のものは「かつ」に「天」とあるが、徳島での「天ぷら」は関東では薩摩揚げのこと。
この練り製品の地に味付けして揚げた物という意味合いだろう。
要するに名前はどうでも「かつ」は「かつ」でしかない。
ただし、あの昔の油でギロギロしたイメージは消え去っており、厚みがある。
ちょっと下級食品としてのよさが失われて残念に思うのだが、味はいい。
カレーの風味はやや控えめ、味付けも控えめなのではないか。
それでもカレー風味で甘味のある練り物の味が惣菜風で親しみやすく、ご飯に合う。
さて、徳島に帰るとついつい買い求めてしまう「かつ」。
懐かしい「かつ」。
今朝は生醤油にスダチをたらしていただく。
「かつ」にソースはいけませんなー。
谷ちくわ商店
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