魚貝類を探す旅: 2008年6月アーカイブ

 どの町に行っても、頼りになる人がいる、これがぼうずコンニャクの強みなのだけど、石巻市の尾形清雄さんもそのひとり。
 尾形さんとのつき合いは一方的にボクがお世話になっているだけで、これからもお世話になるだけというもの。

 さて「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の規模は大きい。
 市販の地図を見て頂ければわかりやすいのだが、市街図のいちばん大きくて目立つ建物のひとつが「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」なのである。
 尾形さんとは電話だけのつき合いで、だいたいわからないことがあると、いちいちお聞きしていたのだ。
 例えば関東の市場に普通に見られる「ぶわたら(ぶわだら)」というのがある。
 これが「なぜ“ぶわたら”なのだろう」。知る手だてが皆目わからない。
 この頃、いろんなメーカーの“ぶわたら”を食べてみて、たまたまいちばん美味しかったものに「天佑丸」のパーチがのっていた。
 すなわち、そのときいちばんうまい“ぶわたら”を作っていたのが「天佑丸」だということで電話をかけたわけだ。
 もちろん“ぶわたら”に関してはいろいろ調べた。宮城県の各地市役所なんかにも問い合わせたのだが一向にわからない。
 電話はすんなり通じて、「ぶわたらの事など聞きたいのですけど」と言ったら出てくださったのが尾形清雄さん。
「ぶわたら(ぶわだら)」の由来は尾形さんの詳細な説明ですっきり解決したのだ。
 そのときの、あまりに気さくな雰囲気に、てっきり「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の単に社員の方だと思いこんでいた。

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 そして石巻市内に入り、ケータイを入れる。
 市場食堂(石巻魚市場の「斎太郎食堂」)でお昼を食べているというのに押し掛けて、ついでにご馳走にまでなり、名刺を頂いたのに、尾形さんが「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の社長だとは思いも寄らなかった。
 水産会社の一社員だと思っていたので「尾形さんにご馳走になって大丈夫なのかな」なんて考えていたら、同行したヘンリーブロスの江嶋社長が肩をなんども叩いてくる。
「ぼうずさん、あのー、あんたわかってまっかー。名刺に社長って書いてありますよ。尾形さん、社長さんなんですよ」
 このとき初めて尾形さんが「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の代表であることを知ったのだ。
 ここで改めて書いて置くけど、ボクの場合、あんまり肩書きなんて見もしないし、知りたくもない。
 結局人付き合いに肩書き、年齢、性別も関係ないじゃないか、というのが「ぼうずコンニャク流」なのだ。
 尾形さんの場合、電話で話しただけで強い親近感を感じた。初めて会っても、初めてあったような気がしない。

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「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の工場を見学した。その広さ、清潔さ、また最新の器械類に驚く。

 ここで「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の歩みを簡単に書いておく。
 創業は昭和34(1959年)年。
 尾形さんの出身地は現在では石巻市内になる田代島。牡鹿半島には金華山、網地島、田代島の3島が先端部近くに点在する。
 そこで代々、漁業をいとなみ巻き網船を2艘、また北洋漁業にも乗り出していた。
 水産業とくくると尾形さん一族の歴史は非常に古いことになる。
 ここであがる魚の価格安定のために、市内に冷蔵・冷凍施設を作ったのが会社の始まりとなる。
 以後、輸入、輸出業、ぶわたら、漬け魚(これもまたうまい)、干物などの製造販売も手がけている。

 さて、昼過ぎに石巻市内に到着。
 尾形さんにお昼をご馳走になり、3時過ぎにはホテルにチェックインした。
 ここで数時間仮眠をとる。
 疲れがとれたとき、尾形さんが奥様運転のクルマで迎えに来てくれて、夕食も尾形さんにご馳走になってしまった。
 もっと言えば11日、12日ともどもご迷惑ばかりかけたように思える。
 そして「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の製品をいっぱいいただいて帰ってきた。この製品については別項をたてる。

 返す返すも、尾形清雄さん、ご家族の方達、「天佑丸冷凍冷蔵株式会社」の皆さんには感謝。ありがとうございました。

天佑丸冷凍冷蔵株式会社
宮城県石巻市魚町(さかなまち)1の10の8 電話0225-22-3847
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
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●本ページは宮城県の漁港巡りの旅の続きです。
旅の04へは
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夜明け前、定置網を目差す船上からの美保関灯台の光

 雨足が海や大地を押しつけるほどに強い。
 さっきまでどんよりと重苦しい雲が一滴の雨粒すら落とさないでいたのに、まるで大きなバケツをひっくり返したような大量の水を落としてきた。
 6月の島根の旅はスコールのような雨に祟られた旅であった。

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 さて、ボクは島根半島での定置網を見るために、島根県まで遠路来たのだ。定置網の視察(この言葉好きじゃない)、市場を見て、そして会議、そして会議。
 今回の島根の旅は、県水産物アドバイザーとしての旅であり、ぼうずコンニャクならではの旅とはならなかった。
 それでも膨大な量の水産物を見て、水産関係者と意見を交わし、また漁師さんとともに笑ったり、生温い雨に苦しめられたりもした。

 途中に広島県三次市での「わにを見る旅」、大阪での「食い倒れ旅」をオマケにしての島根の旅話がここに始まる。

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 気仙沼を9時前に出て、一路、石巻に向かう。
 薄曇りであったのが、強い日差しが出て、蒸し暑くなってきた。
 道の脇の木々、そして花々が美しい。
 道は海沿いに本吉町、歌津町、志津川町を通り過ぎて、山に分け入っていく。
 右手に北上川を見て、河北町、そして石巻についた。

 気仙沼から石巻市まで仮眠時間をとって3時間ほどかかった。
 たぶん普通に走れば2時間弱で到着しそうだ。

 本吉町の港の岸壁で一休みしたのだけど、防波堤釣りをする老人がふたり。
 狙いは「丸たなご(まるたなご ウミタナゴ)」だという。
「今日はまったく釣れない」と言っているようだけど、言葉が通じない。
 水面をキラキラさせているのは大量の「細たなご(ほそたなご オキタナゴ)」。
「ほそたなごを釣らないんですか?」
「針を小さくすれば釣れるけど、あれはうめかね」
「丸たなごはどうやって食べるんですか」
「三枚に卸して、包丁でたたくだろ。そこい酢みそを加えるわけさ。この辺じゃ“たたき”だ」

 港には小さな島があって、海辺に下りると、岩にびっしりとマガキがついている。
 タマキビ、ムラサキウニ、ヨメガサラなんかが見える。海は透明で澄んでいる。
 ほんの20分ほどであったが老人達のウキはぴくりとも動かなかった。


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ハンバーガーがずれているのは撮影のため

 気仙沼魚市場隣にある「海の市」にはがっかりした。地物だけでは足りないのだろうけど、陸送ものが多々見受けられる。値段も、またお土産などもあまり感心できるものがなかった。ここと「萩しーまーと」の大きな差はどこから生まれるのだろう。まるで月とスッポンに思える。
 意気消沈して目にとまったのが「U-menes(ウ・メネス)」というソフトクリームなどのスナックを売るスタンド。ここにあったのが「もうか(ネズミザメ)」の身を使ったハンバーガーだ。
 サメの肉でフライを作るのが珍しいなんて、一般に思われるかもしれないが、これは良識的な、もしくは定番的な料理。我が家などでは年間何度も作っている。だから「もうかフライ」のうまさはよくわかっているわけで、それでも買ってみないといけないな、と思ったのは「それだけ海の市にがっかりした」せいだ。
「フカバーガー」400円というのはマックが100円なのだから安くはない。きっと日常的に買う値段を遙かに超えているだろう。特に我が家などは子だくさんで一度期に買い込むハンバーガーが20個以上だったりする。これだけで考えると、我が家で「フカバーガー」を購入すると8000円もするわけで言うなれば観光地値段に違いない。

 さてパンが2種類あって選べるのだという。真っ黒な竹墨を練り込んだもの。そして普通のもの。真っ黒なのは鮫肌の色合いを模したものだという。当然ボクも観光客の端くれだろうから、真っ黒なヤツを選ぶ。
 パンに挟まれた「もうかフライ」のディップには豆腐が使われている。
 この「ふかバーガー」がうまかったのだ。
 これなら400円出しても赦せる。
 フライは香ばしく、中のサメの肉も軟らかく、とても滑らかに繊維質だ。淡白でうまい。
 中のディップもよくできている。味がいい。
 これはサメのうまさをアピールする絶品に違いない。

 これだけでも気仙沼に行く価値有り、は言い過ぎかも知れない。
 でも気仙沼に行ったら「ふかバーガー」は食べなきゃね。
 忘れていたけど「ウ・メネス」ってどういう意味だろう?

海鮮 海の市
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 気仙沼漁港に入った途端、あまりの大きさ、そして居並ぶサメの膨大さに圧倒されてしまった。
 それは漁業と言っても、企業的な、また日常とは縁遠いものに思える。
 呆然と立ちつくす我らに、救いの神となったのが佐藤さんである。
 現地仲買に努める佐藤さんは遠洋もの、地物など気仙沼にあがる総ての魚貝類を熟知している。

 市場の中央で呆然と立っている、我々に浅黒い背の高い男性が近づいてきた。
 下げた札に佐藤とあり、なんだかほっとするやら、うれしいやら。
 メカジキ、マカジキ、少ないながらクロマグロがあがっている。
「佐藤さん、この本鮪(ほんま)高いでしょうね」
「いやあ、今は安いですね」
「もうか(ネズミザメ)」の場を超えて、北に向かう。
 遠洋の場所は圧倒的に魚の量が多く、その割に人影はまばらだったのだ。
 北の端には地物が並んでいて、小魚、ホヤ、ホタテなどを囲んで小さいながらも人盛りがしている。
 なんだかやっと気仙沼という土地にたどり着いた思いがする。

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 ホヤもホタテも気仙沼周辺、大島などで養殖されたもののようだ。
 ミズダコ、活けの「川がれい(ヌマガレイ)」。
 タヌキメバル、メバル、エゾメバルにケムシカジカがあって、その先にウミタナゴが並んでいる。

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三陸ではウミタナゴは細かくたたいてみそで味つけする。千葉県のなめろうをウミタナゴで作るのだ

 サツキマスに大きな「大介(マスノスケ)」がある。

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この辺りでとれるマスノスケ(キングサーモン)のことを「大介」と呼び、非常に値が張る。そして非常に美味である。

 マンボウの身、腸、肝。
 小さなゴマサバ、ヤリイカ、マトウダイ、ヒレグロ。
 フグが入ったコンテナーをのぞくとヒガンフグ、ゴマフグ、マフグ。
 麦いかサイズのスルメイカがたっぷり。
 クロソイ、「ぎはぎ(ウマヅラハギ)」、カナガシラにカガミダイ。
 サワラは大小あって、ずばぬけて鮮度のいいものがある。
 ケガニはまとまってとれている。

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 気仙沼ならではというのが「もうかの星」、心臓である。
 これはサメの水揚げ港だけにあるもの。
 このまま生で刺身に、焼き肉風にもなる。

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 ちょうど「めじ」を並べているところなのだけど、総てクロマグロである。

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「もう少ししたら定置網が入ってきます」
 佐藤さんに言われて、いちばん奥の生け簀を見て回る。
 ヒラメ、マツカワガレイ、マコガレイ、ババガレイ、ケムシカジカ、「はも(マアナゴ)」などがいて、手前にキタムラサキウニが小山になっている。
 三陸産のキタムラサキウニは味がいいので有名だ。

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 面白いのは机の上にゆでたホタテガイ。パック詰めになっているのだけど、うまそう。

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 競り場で1パック買い求めるわけにもいかず、ちょっと我慢する。こういったものを買い求め、すぐに食べてみるのが私流なのだけど。

 そのうち定置網の船が入ってきた。
 水揚げの量はそんなに多くはない。
 活けのヒラメ、ホウボウ。「よど(イカナゴの大きくなったもの)」がなんだか三陸らしい。
 大きくなったイカナゴは安くて養殖魚の飼料などになるが、本当は鮮魚で食べてもうまいのだ。

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「よど(イカナゴ)」は飼料になってしまうのだが、刺身にしても干物にしても美味。

 大方、水揚げが終わったとき、ワカサギのようでそうではなく、ウルメイワシでもないものが出てくる。
 なんとこれがマダラの稚魚であるという。
「これもエサになるんです」
 と佐藤さん。
 でもこれを唐揚げなんかにするとうまそうだ。

 6時に市場に到着して、はや8時を回っている。我ながら疲労困憊なのだけど、クルマを運転してきた江嶋さんの顔には余裕が見られる。若いというのは凄いことだ。

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 都心から東北自動車道をまっすぐ北上、一関インターから一般道で真東に太平洋に出る。
 一関インターを下りると、とたんに甘い香りがしてくる。これは明らかに植物の花の香りに違いないが、いったいなんなのだろう。
 この気仙沼に向かう道が美しい。
 気仙沼は宮城県でも最北の町である。
 今回はヘンリーブロスの江嶋力さんと一緒だ。
 考えてみると通り過ぎた奥州市(旧水沢市、江刺市他)、一関市は14日に大型地震(岩手・宮城内陸地震 2008年6月14日8時43分)に見舞われているわけで、自宅でニュースを聞きながらも感慨深いものがある。
 気仙沼市に入るとすっかり夜は明けて、やや蒸し暑く感じるほどだった。この日(11日)予想では梅雨入りの予定だった。

 気仙沼漁港魚市場に到着、クルマを下りて競り場に辿り着くとむっとするような異臭を感じる。
 それは血液と腐敗臭の混じり合ったもので、臭いの素は探さなくても目の前に延々と大量に転がっている。

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 血まみれの「もうか(ネズミザメ)」である。
 大目網(巻き網)などでとったもので内蔵を競り場で抜くために、血まみれとなる。またこの血まみれであることが鮮度のよい証ともなるという。
 体長1メートルから2メートルはある「もうか」が行けども行けどもつきない。
 また取りだした肝臓が集められて洗浄されている。その光景が市場の喧噪の中で、逆に静謐に思える。
「もうか」の場所からほどなくのところに、ヨシキリザメの山が続く。頭を落として内蔵を除去したヨシキリザメは白っぽくて、江嶋さんに「これがはんぺんになり、おでんのスジになるんです」なんて説明していく。

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ヨシキリザメ

 膨大なサメ類は肉だけではなく、鰭も気仙沼名物の「フカヒレ」の原料となる。
 ヨシキリザメの先にはマカジキ、メカジキ、アカマンボウが並んでいる。

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アカマンボウはマグロ漁など遠洋漁業の副産物

 当然あるだろうな、と思っていたマグロ類はほとんどない。中型のメバチマグロ、クロマグロが隅っこに10本足らずあるだけ。

 気仙沼港は非常に長く、しかも一種あたりの数量が膨大である。
 これら遠洋の水揚げ港ならではの光景だろう。

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巻き網のカツオの水揚げ

 競り場がつきるところで巻き網カツオの水揚げが行われている。
 この水揚げ自体が大型器機を使ったもので、気仙沼の雄大さを感じる。

 江嶋さんが、「この向こうでも水揚げをやっているようです」という。
 てくてく歩いていくと「とんぼ(ビンナガマグロ)」が大量に水揚げされている。

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 大きさ4から6キロほどの小振りのもので大きなコンテナーにベルトコンベアーで投げ込まれる。

 気仙沼魚市場は細長く北に切り込まれた湾というよりも水道といった水辺にある。魚市場から海を見ると、その向こうに常に山が迫っている。その直線的な競り場を南に下り、また北に上るとかなりの距離になる。

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 さて、この大きな気仙沼魚市場の近海魚はどこで見られるのだろう。
 ビンチョウマグロの水揚げを見て、ちょうど「海の市(観光市場)」の前までもどったときに、佐藤さんからケータイがはいる。
 さて、これから気仙沼の地魚を見ることになる。
 
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
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 6月10日深夜から、12日まで1泊2日+アルファで気仙沼と石巻を旅する。
「きっと回れるはずだ」と簡単に計画したものの、これが至って強行軍であった。
 実際に東北道を北上し、また帰路を運転したのは江嶋力さんなのでボクにとっては楽な旅であった。
 今回の旅は江嶋さんの商談についていく形のもの。
 江嶋さんに、まずは感謝。

 ボクは疲れないはずだけど、大いに疲れ果てた。
 とにかく気仙沼漁港、石巻漁港は巨大だ。
 気仙沼漁港に延々と並んだ血まみれの「もうか(ネズミザメ)」、ヨシキリザメ。

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血まみれのネズミザメ。血まみれにはワケがある

 ベルトコンベアーで船から上げられる「とんぼ(ビンナガマグロ)」、カツオ。
 遠洋漁業の大型船がそれほど大きく見えない、それほど気仙沼漁港は大きい。

 その気仙沼が小さく思えるほど、石巻漁港は大きく長い。

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 中にはいると、端が見えない競り場に圧倒される。
 あまり入船のない日で魚は少なかったものの、それでも2、3往復するとヘトヘトになってしまった。
 宮城県ならではの養殖のギンザケ、底引き網であがった深海魚、そして定置網。
 念願のイラコアナゴ、生のギンダラがいとも簡単に手に入ったのに感激。

 そして何よりも感謝しなければならないのが気仙沼の佐藤誠さん。
 巨大な気仙沼漁港で佐藤さんの案内がなければ、とてもじっくり魚を見ることなどできなかった。
 佐藤さん、ありがとうござました。

 石巻の尾形清雄さん。
 尾形清雄さんは『天佑丸冷凍冷蔵庫』の社長であるということも知らなかった。

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尾形清雄さん。この笑顔に甘えてしまうのだ。

 だいたい、ボクは尾形さんにいろいろ教わっていただけ、それなのに石巻でのおいしいものをたくさんご馳走して頂いた。また石巻を案内してもいただいて感謝のしようがない。
 尾形さん、ありがとうございました。

 石巻では『石巻魚市場』社長の須能邦夫さんにはお世話になりました。
 魚を手に入れるに当たっては『カネキ』さん、ギンザケのことは向山さんにお聞きしました。

 作家山口瞳の言葉に「旅とは迷惑をかけることだ(正確ではない)」というのがある。
 まことに正しく言い得て妙。ボクの旅は「多くの方達に多大な迷惑をおかけする」、すなわち「迷惑旅行」そのものだ。
 今回の旅で迷惑をかけた方達に、まことに感謝。

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